GOKIGENRADIO

バーボングラス片手のロックな毎日

吉川晃司 探偵由利麟太郎 暗いぞ

2020-06-21 16:12:01 | MUSIC/TV/MOVIE

吉川晃司はかっこいい男である。

‘男’より‘漢’と書いたほうが似合う。

 

新ドラマ「探偵・由利麟太郎」が始まった。

(以下、ネタバレ多少あり、まだ観てない人は気をつけて)

さて、先に結論書いておく。このドラマは、はっきり言って面白くない。つまらないと言った方がいいかもしれない。

吉川晃司のかっこよさを差し引くと何も残らないドラマ。吉川晃司のPVとして見る分には堪能できてご満悦って感じだが、ドラマとしては、まぁ今時ここまでつまらんドラマをよく作れたなぁって感じ。

 

吉川晃司の役は探偵。元警視庁捜査一課課長。その経歴と実績を買われ、現在は犯罪心理学に関する本を書きながら、嘱託で事件の捜査協力を依頼されてる。

銀髪の吉川晃司がロングコートで颯爽と現れる姿に期待したのよ。

かっこいいなぁ。ダンディズムの塊だなぁって。

昔はそう思わなかったのだが、「下町ロケット」で阿部寛と対峙するシーン見て「吉川晃司ってかなり身長が高いなぁ」と思った。今回の、普通の人が着たら地面に擦りそうなロングコート姿を見てやっぱり背が高いなぁと。

そういや「COMPLEX」で組んだ布袋も高身長だったな。

今回の相棒(助手)志尊淳も低くはないはずだがちょっと見劣りするくらいだもの。

 

このドラマの見どころと言えばこれだけだ。

吉川晃司は背が高いなぁ、変わらずかっこいいなぁ。ってドラマだ。

 

これじゃぁわからんよね。スマンスマン。

 

まず、このドラマ、暗いのだ。

横溝正史原作だからか、とにかく暗いのだよ。

ドラマコンセプトは「偽りなしの本物、スリル・サスペンスの王道」、一切の妥協なしって感じらしい造りだが、それは好きな人はたまらんが、そうじゃない人は「もう来週から見ない」になるだろう。

視聴率も心配だ。まぁ俺が気にすることじゃないけど。

 

何もここまで横溝ワールドを踏襲しなくてもって思うくらい、アングルも映像処理も暗いのだ。往年の犬神家の一族とか八つ墓村の感覚。沼に足だけ突き出てたり、蝋燭を頭に巻いたババアが出てきてもおかしくない。鵺がどこかで鳴いていてもいい。

それくらい暗いのさ。

 

画面は常にぼかされてるか、彩度を落とされてる。色鮮やかな原色アニメ好きが見たら、モニターの色調が壊れたのかって勘違いしそうなほどグレーだ。

時代設定を曖昧にするためか、サスペンス感を演出するためか、常に画面にもやがかかってる。4Kとか言ってる場合じゃない。昔のサンテレビ(UHF)の深夜放送見てる感覚になるくらい画面がもやってる。

スモークが焚かれてるのか?霧がかかってるのか?横溝ファンは「これでこそ横溝正史ワールドだ」と納得するのかもしれないけれどね。

 

同じ暗さでも「TRICK」や「SPEC」とは違う暗さだ。

堤監督ならサスペンスでも随所に息抜きように細かなネタを散りばめ、エグいシーンの後には緩急つけてボケを、グロいシーンの後にはシニカルなギャグを、わかる人にだけ気づく人だけわかればいいってな感じで入れてくれる。

しかしこのドラマにはそれがない。

志尊淳がちょっとボケた感じを出してみたり、おっちょこちょいをかましてみたりするも、空回りするようにドラマは淡々と進んで行く。

ただしこれは志尊淳の演技力のせいでもある。石原さとみ主演の「Heaven?〜ご苦楽レストラン〜」の空気読めないウエイター志尊淳はうざかったが、あれは天然キャラを演じてるせいだと思ってた。

でも違ったようだ。このドラマではさらに輪をかけてウザいもの。「Heaven?」のあれは演出ではなく地だったみたいだ。

 

志尊淳は本来なら、シャーロック・ホームズにおけるワトソン、「臨床犯罪学者 火村英生の推理」で言えば窪田正孝のポジションなのだが、明らかに吉川晃司の相棒とか助手と呼ぶには役不足。

志尊淳はこのドラマでは、作家志望で由利麟太郎(吉川晃司)の事件を記録し、小説を書こうとしてる‘語りべ’三津木俊助役なのだからさ。

ストーリーテーラーのように、もっと視聴者にわかるようにしてくれないか。

 

そして志尊淳は、吉川(探偵)の推理力や洞察力の凄さを視聴者にわからすために、「多分こうしたんですね」とか「わかった、こういったトリックだ」とかトンチンカンな見解を吉川晃司より先に言わなければいけない。

そしてそれを吉川晃司に否定されたり、盲点突かれたり、論破されたりしなくてはいけないのだ。それがお約束だ。それでこそ探偵のかっこよさが引き立つってもんだ。

確かにやってはいるよ。だが、なんか空回りなのだ。

これは脚本が悪いのか?演出のせいか?志尊淳の演技力か?どれかわからんが、とにかくダメだ。

「火村英生〜」で窪田正孝はドラマの‘語りべ’であり、斎藤工演じる火村准教授の助手でもある。苦言も言えば、助言もする。そして記録をとって本にするって設定(原作者有栖川有栖の分身)だ。

同じような役どころなのだが、この志尊淳のダメだ¥さはどうしたらいいんだろう。

 

その代わりと言ってはなんだが、田辺誠一がいい。

彼は京都府警の警部役なんだが、彼はいいねぇ。

見当違いの見立てをして速攻吉川晃司に否定され、言い直したりする。志尊淳だけでは不安だから田辺誠一に一部やらせてるのかな?

そういや、「火村英生〜」では生瀬勝久(捜査一警部)がこのポジションを担ってたな。あれもよかった。なんやかんや言って結局探偵に丸投げ、捜査や推理はお任せ状態。

昔の「探偵物語」でも、何かと工藤俊作(松田優作)に突っかかるくせに、見立てや見解を頼りにしていた刑事がいたなぁ。成田三樹夫だ。よかったなぁ。面白かったなぁ。

そういや「火村英生〜」では、斎藤工の住んでるアパートの大家を夏木マリが演じてたが、このドラマで吉川晃司の大家はどんぐりだ。それもちょっとなぁ。

「火村英生〜」では若手の捜査官を優香が演じてたが、今回の森山くるみもそのポジションなのかな。説明も台詞もないままプンプンしてるから設定がよくわからない。まぁ、本編にはあまり関係ないけど。

 

京都が舞台なのだが、沢口靖子の「科捜研の女」や上川隆也の「遺留捜査」のような感じでもなく、沢村一樹の「刑事ゼロ」みたいなのでもない。

京都が舞台なのだが、場所もわからない。いや、だからスモークや霧やもやが多すぎるんだってば。

これじゃぁ京都を舞台にした意味がわからない。

 

何より時代設定がよくわからない。

 

原作が書かれた時代からかなり経った現代に設定を変えたからなのか、ほころびも目立つ。

吉川晃司が乗ってる車はクラシックなフォード(多分'50くらい)で似合ってるが、その車である必要性がよくわからない。

住んでるところは古い家屋だし、事件の起こる場所も古さ感じさせる洋館だ。

第1話は生体実験の研究が絡んだ悲惨な事件なのだが、記録は全て手書きのノートだった。今ならクラウドとかUSBメモリーってなるのだろうが、これは時代を感じさせるためか。

とか言いながら引きこもりの少年はゲーム機で遊んでたりする。まぁ、ソフトやハードはひと昔前のものっぽい感じだったが。

昭和の話なのか、現代の話なのかがいまいちよくわからんのよ。

 

第1話では、届いた殺人予告のされた解体工場で、運び込まれた廃品の中に隠された肩を刺されてる女(新川優美)を見つける。

止血(手で押さえ)救急車を呼ぶ。そこまではいい。そして廃棄処理業者に傷口の止血を代わりに任せ「救急車が来るまでそのままで」と言い残しその場を去る。

いやいや、そりゃ無茶やで。

 

吉川晃司は彼女は最近話題の新進画家と知り、彼女の実家に行く。荷物の廃棄を依頼された家に行く。どっちだ。

彼女の実家の前でこの家の主人・日下(中村育三)の友人・湯浅(坂戸井けん太)が会う約束してたからと現れ、一緒に家に入る。

いくら友人とはいえ、いとも簡単に入る。まぁ昔からしょっちゅう出入りしてるのか。

吉川晃司はすでに勝手に家に上がり込み、案の定そこで日下が死んでいるのを発見。

 

殺人現場を土足のまま鑑識が来る前にズカズカ歩き回り、現場にあるものを素手で平気で触る。とても元元警視庁捜査一課課長とは思えないほどだ。

これは現「捜査一課長」(内藤剛志)での武藤(矢野浩二)さんや、「相棒」の米沢(六角精児)さんならめっちゃ怒られるぞ。

同じ京都を舞台にした「科捜研の女」のマリコさん(沢口靖子)も好き勝手に現場に臨場するけど、なんやかんや触ったり回収するのは鑑識の後だぞ。

 

さらにそこへ新川優美が帰ってくる。

すごいなぁ、失血死寸前で意識失って、救急車で運ばれたのに、警察が来るよりも早く家に帰ってくるなんて。いつ意識が戻ったんだ。事情聴取もされないで。しかも歩いて帰ってきたのか?

 

ってな感じの、もう何が何やらがそこらへんに散りばめられてる。

こんな穴だらけの設定の推理ドラマ、どう共感しろと。突っ込みどころが満載で見てて疲れてしまった。

5話完結らしいが、第1話目でダウン。多分来週からはもう見ない。

 

 

吉川晃司はロッカーである。

モニカだよ、モニカ。すごいよな。それもマリアとかマリーじゃなくてモニカ。どこの国の女だ。イタリア系かスペインかブラジルか。

サザン・桑田佳祐や佐野元春のようにヌメッと歌う。実はロックに日本語詩を載せようとするとこれが正解なのだが、「何を歌ってるかわからない(聞き取れない)」と評判悪かったなぁ。

 

上條淳士の名作「TO-Y」の哀川陽司は吉川晃司そのままである。

でも、デビュー時からチェッカーズと同じく、ロックアイドルというわけのわからないジャンルに入れらてしまったせいで、吉川晃司はアーティストとかロッカーとしては認識されなかった。

それが嫌でもがいてるように見えた。

紅白歌合戦でギターに火をつけたり、ライブで武道館の緞帳を破ったり、アンプの上から飛び降りて骨折したり。それだけ過激なパフォーマンスやっても世間の認識は「元水球選手のちょっと過激なかっこいい歌い手」って感じだった。

まぁ、実際、レコード会社もその線で売ってたもんね。

白いスーツで海辺でシャンパンだもの。

バブルそのままである。

鍛えてた上に肩幅があるから肩パットなんていらなかっただろうな。

 

世間の認識が変わったのは、BOOWY解散後、布袋寅泰とCOMPLEXを結成したあたりじゃないか。

吉川晃司はロックだって。

でも俺はこのCOMPLEXの「BE MY BABY」とかはあんまり好きじゃないのよ。氷室京介が嫌がった「聴きやすいロック」「売れるロック」なんだもの。わかりやすく言えばロックもどきである。とか何とかいいながら東日本大震災復興支援チャリティ再結成はちょっと熱くなってしまったけどね。

 

吉川晃司はモニカもそうだけど、アレンジがポップにされてしまってるだけで曲は十分ROCKだったのよ。6thシングルの「RAIN-DANCEがきこえる」や8th「MODERN TIME」くらいはもう十分ロックしてる。

特にリミックスシングルとして発売された「NERVOUS VENUS」は衝撃的だった。一発で気に入った。俺の会社はそもそも会社名からしてロックバンドの曲名からつけられてるのだが、この曲名も使用させていただいた。

翌年のアルバム「A-LA-BA LA-M-BA」や「GLAMOROUS JUMP」もカッコイイ。かっこいいがゆえに一般的にヒットせず、売れなくなった。

不思議なもんだ。チェッカーズやTWISTなんかと同様、偽物の聴きやすい「もどき」の時は売れ、本格的なロックになったら売れない&受けないなんてね。唯一の例外はサザンオールスターズくらいだな。

 

吉川晃司はサザン桑田とユーミンが中心になって作られた、伝説の歌番組「メリークリスマスショー」に2年とも出てたなぁ。

この番組は忌野清志郎やARB、鮎川誠など多数の普段テレビでは見ない(見れない)ロックニュージシャンが多数参加してる。あのBOOWYも出てる(吉川晃司が依頼したそうだ)。

吉川晃司はアンルイスと放送禁止コードすれすれの艶っぽいデュエットを見せた。吉川晃司がロックアイドルではなくロッカーとして業界では認識されている証明だ。ラストの豪華メンバーでのGIGセッションは見ものだ。

 

村上‘ポンタ’秀一の活動30周年記念ライブでは、中森明菜(井上陽水)の「飾りじゃないのよ涙は」を歌ってるぞ。めっちゃカッコイイぞ。(MY PREASUREに収録されてる)ぜひ聞いてみてくれ。多分SAXは武田真治だ。

 

そんなロッカー・吉川晃司だが、最近は役者として認識されてるよね。

 

「天地人」では織田信長。彼は吉川家(毛利三本の矢の一つね)の子孫のはずだがいいのか?(諸説あり)織田信長を演じても親族からクレームはなかったのか?

 

「るろうに剣心」では佐藤健の敵・鵜堂刃衛。無敵の剣術遣いだが、戦いを避ける抜刀斎(佐藤健)を人斬りに戻し戦う気にさせるために、薫(武井咲)に念術をかけ(あれ?薬飲ませたんだっけ?記憶曖昧)息をできなくする非道っぷり。まぁ、この映画の悪役はほぼ全員非道なんだが。

 

「精霊の守り人」では、綾瀬はるか(バルサ)に戦いを教える短槍の使い手ジグロ。かっこいいのよ。

映画「さらば あぶない刑事」では柴田恭兵と舘ひろしの最後の敵にふさわしい悪役。役のためにバイクの練習をしてて足を折ってしまった。

多分、撮影が「精霊の守り人」と時期的に重なるのだが、吉川晃司は足を骨折していたはずだがあれだけの動きをしていたの?って感じ。ちょっと怖い。痛み感じないのか。

 

「下町ロケット」では、町工場のプライドを持った阿部寛に理解を示す大会社(帝国重工)の財前部長。グレイヘアのスーツ姿がかっこいいんだ。こんな上司がいればなぁって思った人多いだろうね。

 

で、この「探偵・由利麟太郎」。

期待していただけに残念だ。

次週も多分暗いだろう。志尊淳は外しまくるだろう。

もう見ないだろう。



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