梓みちよさんがお亡くなりになられた。
若い人はほとんど知らないかもしれない。俺もギリギリ知ってるくらいだ。歌謡曲というものが全盛だった頃の人だ。
「こんにちは赤ちゃん」という、赤ちゃん誕生を歌った稀な歌のヒットで有名だが、俺は「二人でお酒を」の方が好きだ。
「恨みっこなしで 別れましょうね さらりと水に すべて流して」
この出だしの歌詞。インパクトあるねぇ。全ての男女がこうやって別れられたらいいのにね。このころは尾崎紀世彦の『また逢う日まで』もそうだけど、綺麗に別れるのがブームだったのか。
「心配しないで ひとりっきりは こどもの頃から 慣れているのよ」
という強がり。マリコという友人に電話をかけて男と遊んでる芝居を演じてる中島みゆきの歌(『ひとり上手』)の女みたいに強がってる女。
「それでもたまに 淋しくなったら 二人でお酒を 飲みましょうね」
別れるのは仕方がないし、泣いてすがったり、わめくようなみっともないことは意地でもしないけど、本当はね・・・って強がっていてもいじらしい女の心情が表されている。
昔の歌謡曲の歌詞ってすごいよね。ちあきなおみの『喝采』や沢田研二の『追憶』とか、情景がありありと浮かぶ歌が多いもんね。作詞家ってプロが作ってるからかなぁ。
もちろんフォークソングからニューミュージックブームで、自分で歌詞書いて自分で曲付けて歌うシンガーソングライタースタイルが流行ったことを否定する気はない。ユーミン、中島みゆき、拓郎、陽水・・・いい歌詞・いい曲はいっぱいある。
でもやっぱり、60-80年代の歌謡曲には「いい歌詞」「すごい歌詞」ってのは結構多いのよね。
話はいきなり変わるけど、梓みちよさんの『こんにちは赤ちゃん』は昭和39年の選抜高校野球甲子園の入場行進曲だ。
昭和37年の35回大会で坂本九の『上を向いて歩こう』が選ばれて以降、歌謡曲やヒット曲が使われてる。
しかし、よくもまぁ『こんにちは赤ちゃん』を行進曲に使おうと思ったなぁ。高校球児と赤ちゃん。もし作ったら大変なことになるのだが・・・。
44回大会では尾崎紀世彦の『また逢う日まで』が使われてる。高校生が二人でドアを閉めるのか・・・?
55回大会の岩崎良美『聖母たちのララバイ』は「さぁ眠りなさい」だし、72回大会での宇多田ヒカル『First Love』の出だしは「最後のキスはタバコのフレーバー」だ。54回大会の寺尾聰『ルビーの指輪』なんて大人の歌だ。しかもサングラスかけトレンチを着た男が、バーでカンパリソーダなんかを咥えタバコで飲みながらってイメージの曲。
歌詞は選考には全く関係なかったのかな。
66回大会のZARD『負けないで』や67回大会のSMAP『がんばりましょう』はいかにもふさわしいぜってタイトルだが、68回大会岡本真夜『TOMMOROW』、74回大会ウルフルズ『明日があるさ』なんかはどうなん?甲子園は負けたら明日はないのだが。
まぁタイトルや歌詞などは行進曲アレンジされ、ブラスバンドなどがインストで演奏する分には問題ないっちゃぁ問題ない。しかし、明らかに「行進には向かんやろ!」って突っ込みたくなる曲が選ばれてる年もあるのだ。
41回大会の水前寺清子『365歩のマーチ』なんかは行進にはふさわしい。まるで行進のために作られたような曲といっても過言ではない。3歩進んで二歩下がっても人生はワンツーパンチだ。なんじゃそりゃ。63回大会のB.B.クイーンズ『おどるポンポコリン』や、79回大会のTOKIO『宙船』なんかはいい。
しかし50回大会の松崎しげる『愛のメモリー』。スローな出だしから徐々にスピードが上がって途中で熱唱に変わる曲。何故選んだ。行進しにくくないか。
他にも57回大会チェッカーズ『星屑のステージ』や、73回大会サザンオールスターズ『TSUNAMI』などのバラードが選ばれてたり、75回大会の平井堅『大きな古時計』なんて荒技もある。
選考基準がほんまよくわからん。
ちなみに今年は『パプリカ』だそうだ。
「ノーサイドゲーム」の『馬と鹿』の方が行進曲には向いてそうだが、ラグビーのイメージが強すぎるからかな。まぁレコード大賞受賞曲だし、子供にも大人気の歌だもんね。
数年前までは知る人ぞ知るインディーズだった米津玄師。2014年のアイネクライネあたりからメジャーになっていった気がするぞ。まぁ昔からのファンには「いや、●●からだ!」とか言われそうだけど、一般論としてスルーしてね。
石原さとみ主演ドラマ『アンナチュラル』主題歌『Lemon』でめっちゃメジャーになって紅白に出て以降、もうメジャーもメジャーよね。
菅田将暉君に提供した『まちがいさがし」なんかは「いいなぁ」「いい曲だなぁ」って思うと同時に「これは米津節だなぁ」って思うんけどさ、嵐が歌った『カイト』はどうも・・・。嵐は嫌いじゃいけどさ。米津メロディには向かない気が。
嵐は天皇陛下御即位の国民祭典で歌った『Journy to Hermony」も全然ダメだった。どちらも嵐に向かないメロディラインなんだろうね。
話が相変わらずあっちゃこっちゃ行ってしまった。
梓みちよさん。ご冥福をお祈りします。
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