徳丸無明のブログ

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菓道 いか太郎

2024-06-21 23:59:23 | 
今日はいか家の太郎くんです。




イカ粉とカットスルメと魚肉すり身を混ぜ、薄くのばして焼き上げ、さいの目にカットしたもの。写真のような焼きイカと思ったら大間違いさ。
そろそろ夏。蚊の季節。蚊の話でもしましょうかね。
世の中には、いろんな蚊がいます。たとえば、マヌケな蚊。
血を吸いすぎて、飛べなくなってる蚊がいたりしますよね。畳の上を何かが動いていて、よく見てみたら蚊だった、ということがありました。
そいつは僕の血を吸っていたんですけど、血の吸いすぎで体が重くなり、飛べなくなっていたんです。それでやむを得ず、歩いて帰ろうとしていたのです。
ノロノロとした歩みだったので、しっかり潰してやりました。

あと、臆病な蚊もいますよね。慎重すぎるというかね。
そのタイプの蚊は、刺したかと思ったら、些細なことに反応してすぐ逃げるのです。そのようにして、何度も刺しては逃げてをくり返すのです。なかなか血を吸う段階までいかない。
なのでそのタイプの蚊に狙われると、何箇所も噛まれてしまう。刺され痕がたくさんできてしまうのです。
血をやるから一箇所だけにしといてくれって言いたくなりますね。

あとあと、吸血の仇を取ってもらったこともあります。
自宅の窓の桟(さん)のところに、蚊が止まっていたことがあったんですね。蚊は、お腹がふくれていました。気づかないうちに血を吸われていたのです。
蚊は僕の血を吸って、帰ろうとしたけど、窓ガラスにぶつかって、外に出られずにいたのです。よくありますよね。
叩こうとして近寄ったら、クモが蚊に飛びかかりました。僕より先に、クモが蚊に狙いを定めていたのです。
蚊より少し体が大きいクモ。足を蚊に絡みつかせ、噛みつきました。蚊はもがいていましたが、徐々に大人しくなっていきました。
「クモ、ナイス!」と思いました。クモに仇を取ってもらったのです。
クモは捕獲した獲物の体液を吸うそうですが、僕の血も一緒に吸ったのでしょうか。だとしたら、血の味の感想を聞いてみたいものです。

あ、ところで、蚊に刺されたら特にかゆい場所ってあるじゃないですか。
指とかすごくかゆいですよね。かゆみを感じる神経が特別多いってことなのか。
でも僕ね、アキレス腱が一番じゃないかって思うんですよ。かゆみを感じやすい場所っていうのもありますし、表を歩くときだと、刺された箇所が、靴と微妙にこすれるんですよね。そのこすれ具合によって、なんとも言えない、感情を逆なでされるようなかゆさが引き起こされるのです。
いやー、思い出しただけでゾッとしますよ。
あります?アキレス腱刺されたこと。

また、蚊がどうなったかわからなかったこともありました。
蚊が飛んでるのに気づいたから、両手で叩いた。そしたら、手には血だけが付いていたのです。
蚊は潰れておらず、下に倒れていたわけでもなかった。蚊の姿はどこにもなく、鮮血だけが付着していたのです。
血が付いていたということは、血を吸った蚊を叩いたということです。じゃないと血が付くはずがない。
なのに、蚊の姿はどこにもなかったのです。蚊は、血だけを残してどこかへ行ってしまったのです。
どう叩いたら、どういうふうに当たったらそうなるのでしょうか。いまだにわからないままです。

それと、知らないうちに殺していた蚊っていうのもいますね。
朝目が覚めて、寝間着のTシャツの背中を見たら、蚊が貼りついていたことがあったのです。布団のシーツには血が付いていました。
これはつまり、寝ているときに蚊がやってきて、背中を刺した。たぶん横向きに寝ていたのでしょう。そしてちょうどそのタイミングで寝返りをうって、蚊を潰したのです。
睡眠中の自分を褒めたくなりました。
テレビを観ているときに指がかゆくなり、ほぼ無意識で指を掻いてたら、蚊を潰していたこともありました。
蚊ってのは、人間に気づかれないように麻酔みたいなやつを注入してから血を吸うそうなんですね。だから、刺されてしばらくしてからかゆくなる。
しかし、中には麻酔の注入を忘れるうっかりものの蚊がいるのですね。そうなると刺されてすぐにかゆくなるから、血を吸ってる途中でバレたり、かゆい所を掻いた指に潰されちゃったりするのです。
マヌケめ!

それから、蚊と同棲していたこともあります。12月に、家の中で蚊を見つけたのです。白黒のヒトスジシマカではなく、茶色のアカイエカ(もしくはチカイエカ)でした。
とっさに叩こうかと思いましたが、そいつは壁に止まっているだけで、刺してくる気配がありません。
そうか、こいつは冬を越えようとしているだけなのだ。今は血を吸うつもりなどさらさらないのだ。僕と同じように、寒さに凍えているのだ。寒さをしのぐために僕の家の中に入ってきたのだ。そう気づきました。越冬つばめならぬ、越冬蚊です。
言わば、今は休戦状態なわけです。それなのに攻撃を加えるなど、武士道に反する行為です。僕はそいつを殺さず、住まわせておくことにしました。同棲生活の始まりです。
そいつは、日ごと時間ごとに、家の中のいろんな場所に止まっていました。四六時中意識していたわけではないのですが、ふとした瞬間に目につきました。
そのたび、「よぉ、調子はどうだい」などと、心の中で話しかけていました。
そしたら、夏を迎えるはるか前に、そいつはいなくなってしまいました。まだ血を吸う季節ではないのに。彼女に何があったというのでしょう。
もしやクモに捕食されてしまったのでしょうか。それとも、寿命が尽きてしまったのでしょうか。
真相はわからぬままです。さらば、ひと冬の友達よ。

それからまた、偶然に生体実験みたいなシチュエーションになったこともあります。
ある日、自宅にいたとき、蚊が飛んでいるのに気づいたので、叩きました。蚊は、手のはじっこに挟まりました。
よく見てみると、お腹のところだけ潰れており、跳び出した血が、手に付着していました。僕は蚊をゴミ箱に捨てました。
しばらくして、ふとゴミ箱を見ると、蚊が丸めたティッシュの上に立ち上がっていました。死んだと思ったら、生きていたのです。
「あー、死ななかったのか」と少し驚き、でもほっときゃそのうち力尽きるだろうと、そのままにしときました。
さらにまた少しして、ゴミ箱を見ると、蚊がいなくなっていました。飛び去っていたのです。
腹が破けるという重傷を負っていながら、よくも動けるものだと、不覚にも感心してしまいました。
そこからまた少しして、ふと腕を見ると、なんと先程の蚊が止まっていたのです。重傷を負ってなお、果敢に血を吸おうとしていたのです。見上げたファイトスピリッツです。
しかし、ちょっと待てよと思いました。
この蚊は、腹が破けている。そんな状態で血を吸ったらどうなるか。
吸った血は、破れ目からダラダラと漏れていくのではないか。血が漏れるということは、蚊は、いくら吸っても満杯になったと感じないのではないか。
ということは、吸ったはしから血は漏れ出し、お腹からは血が流れ続け、吸っても吸っても終わりがこない、ということになりはしないだろうか。
だからこの蚊は、半永久的に血を吸い続けるということになりはしないだろうか。
なんか、ちっぽけなようで凄まじい状況だな、と思いました。僕がこのまま蚊を潰さなければ、ひたすら血を吸い続けることになるのです。
しかし僕は、すぐに叩いて潰してしまいました。そしてそのあとで後悔しました。なぜそっとしとかなかったのだろうと。
こんな特異な状況、めったに起こるものではありません。だからひとつ、体を張った実験として、そのまま吸わせておくべきだったのではないか。少なくとも、お腹から血は漏れ出すのかどうかだけでも見届けるべきだったのではないか。そう思いました。
ですがもう手遅れです。蚊は潰してしまいました。
人生とは取り返しのつかないことの連続です。それを蚊から教わりました。
皆さんの中に、お腹が破けた蚊に血を吸われたことのある人はいますか。もしいたら、お話聞かせてください。


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