今日は青くて砕けないヤツです。
メイド・イン・アメリカ。ナッツ類は、ナッツそのものよりも、表面についてる塩のほうがメインだと思っています。食べ始めたら止まらない、いつまでもボリボリやっちゃう香ばしいヤツ。
かつてコミックボンボンという雑誌がありました。1981年創刊で、2007年に廃刊になった、児童向けマンガ雑誌です。
講談社が、小学館のコロコロコミックに対抗する形で発刊し、両誌は長らくライバル関係にありました。
子供のころ愛読していましたが、当時はガンダム情報、ガンダムマンガがメインで、スーパーマリオやロックマンなどのゲーム作品のコミカライズもありましたね。あれ、ボンボンでしたよね?コミカライズはコロコロにもあったから、混同しちゃってるのかも。
ガンダムといえば、当時はSDガンダムが流行ってまして、よくカードダスを買ってました。プラモデルも多少。懐かしい・・・。
カードダスって今、プレミアついてるんですかね?実家にまだ残ってるはずですが。
オリジナル作品だと水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』なんかが載ってました。あと『温泉ガッパドンパ』みたいなお色気ものとか。御童カズヒコの絵柄っていかにもマンガマンガしていて、今見ると稚拙そのものなんですけど、子供のときはけっこう刺激的でした。永井豪の作品もあったかな。
あ、それから『OH!MYコンブ』ね。リトルグルメ、マネして作ってみたことが、あったような、なかったような。秋元康が企画・監修であったことは、長じてから知りました。
雑誌に最も勢いがあったころはコミックボンボン増刊号と、デラックスボンボンという、2種類の別冊も出しており、大元のボンボンと合わせて月に3冊も刊行していました(僕の記憶違いでなければ)。
父方の祖父母が自宅の近所に2人で住んでいまして、ちょいちょい遊びに行ってたんですが、おばあちゃんが僕と弟のためによくボンボンを買ってくれていたんですね。でも、毎号似たような表紙だし、お年寄りということもあって、間違って同じ号を買っちゃってることがよくありました。ボンボンだけじゃなく、コロコロもでしたけどね。
中学あたりからすっかり興味を失っていたのですが、いつの間にかなくなっていたのですね。
このボンボンには、赤塚不二夫のマンガがずーっと載ってまして、『天才バカボン』(『平成天才バカボン』だったかもしれません)が連載していた時期もありました。
んで、これはあまり知られていないことなんですけど、ボンボンに載ってた『おそ松くん』か『バカボン』の中で、イヤミが「パシェー」っていうギャグをやってたんですよね。「パシェー」ってのは、「シェー」の発展形ギャグです。「シェー」よりもさらに強いのが「パシェー」。ポーズは「シェー」と同じですけど、「パシェー」のほうが飛距離が高いのです。「シェー」は有名ですけど、「パシェー」はほとんど知られてないでしょ。ボンボンにはあったんですよ。
そしてマンガとともに読み物のページがありまして、その中で読者になぞなぞを募集するというコーナーがあったんです。読者が送ってきたなぞなぞにバカボンのパパが答える、という体裁になっていました。もしパパがなぞなぞに答えられなかったら景品を進呈するというルールでした。景品がなんだったかは覚えていません。
僕はそのコーナーになぞなぞを応募して、採用されたことがあったんです。それが何年何月号だったかも覚えていません。
細部の記憶が曖昧なのですが、僕のなぞなぞは、確かこのように掲載されていました。「めがあるのにまゆはなく、はながあるのにみみはなく、はがあるのにくちはないものってなーんだ?わからなかったらお年玉くれ~!」。
まずお断りしておきたいのは、僕は普通になぞなぞを送っただけで、「わからなかったらお年玉くれ~!」などとは書いていなかったということです。勝手に付け足されていたのですね。うっすら名誉を傷つけられてしまったのです。そして、掲載されたのが何年何月号だったか覚えていないと言いましたが、お年玉ということは、おそらく1月号だったのでしょう。バックナンバーをお持ちの方、いらしゃいましたらご確認ください。
ちなみにこのなぞなぞ、ほかの本にあったのをまんまパクったもので、自分で考えたわけではありません。子供だからしょうがないですよね。
んで、そのなぞなぞにバカボンのパパが答えていました。「残念だけど、答えがわかったからゲンコツしかあげないのだ。答えは花。芽があって葉があるのだ」。
僕は、掲載され、バカボンのパパとやり取りできてうれしく感じると同時に(このコーナーを作っていたのは編集者で、赤塚不二夫はいっさいかかわっていなかったでしょうし、目を通してもいなかったのかもしれませんが)、「正確には花じゃなくて植物なんだけどなぁ」と思いました。はな(花)は問題文の中に出てますから、それが答えっていうのはちょいと不自然ですよね。
なぞなぞに答えられてしまったので、掲載されたにもかかわらず、景品のたぐいは送られてきませんでした。児童向け雑誌なのにそのへんはシビアでしたね。
なので、景品をもらうため、「花じゃなくて植物です」という反論のハガキを送ろうかと真剣に考えたのですが、母親から「意味はほとんど同じなのだからそんなことをしても受け入れてもらえない」と諭され、断念しました。これでよかったのか?
あとですね、ボンボンで納得いかなかったことがありまして、読者プレゼントで、抽選じゃなくて先着何名様っていうのがあったんですよ。そんなの、東京に住んでなきゃ当たんねーじゃんって思ってましたよ。東京の読者優遇じゃねーかって。地方は雑誌の販売日も遅かったですしね。
コミックボンボンについてもっと語りたい気もしますが・・・これ以上思い出せないですね。
バカボンのパパとなぞなぞ合戦をした、そんなほろ苦い思い出です。
パシェー!!
メイド・イン・アメリカ。ナッツ類は、ナッツそのものよりも、表面についてる塩のほうがメインだと思っています。食べ始めたら止まらない、いつまでもボリボリやっちゃう香ばしいヤツ。
かつてコミックボンボンという雑誌がありました。1981年創刊で、2007年に廃刊になった、児童向けマンガ雑誌です。
講談社が、小学館のコロコロコミックに対抗する形で発刊し、両誌は長らくライバル関係にありました。
子供のころ愛読していましたが、当時はガンダム情報、ガンダムマンガがメインで、スーパーマリオやロックマンなどのゲーム作品のコミカライズもありましたね。あれ、ボンボンでしたよね?コミカライズはコロコロにもあったから、混同しちゃってるのかも。
ガンダムといえば、当時はSDガンダムが流行ってまして、よくカードダスを買ってました。プラモデルも多少。懐かしい・・・。
カードダスって今、プレミアついてるんですかね?実家にまだ残ってるはずですが。
オリジナル作品だと水木しげるの『ゲゲゲの鬼太郎』や『悪魔くん』なんかが載ってました。あと『温泉ガッパドンパ』みたいなお色気ものとか。御童カズヒコの絵柄っていかにもマンガマンガしていて、今見ると稚拙そのものなんですけど、子供のときはけっこう刺激的でした。永井豪の作品もあったかな。
あ、それから『OH!MYコンブ』ね。リトルグルメ、マネして作ってみたことが、あったような、なかったような。秋元康が企画・監修であったことは、長じてから知りました。
雑誌に最も勢いがあったころはコミックボンボン増刊号と、デラックスボンボンという、2種類の別冊も出しており、大元のボンボンと合わせて月に3冊も刊行していました(僕の記憶違いでなければ)。
父方の祖父母が自宅の近所に2人で住んでいまして、ちょいちょい遊びに行ってたんですが、おばあちゃんが僕と弟のためによくボンボンを買ってくれていたんですね。でも、毎号似たような表紙だし、お年寄りということもあって、間違って同じ号を買っちゃってることがよくありました。ボンボンだけじゃなく、コロコロもでしたけどね。
中学あたりからすっかり興味を失っていたのですが、いつの間にかなくなっていたのですね。
このボンボンには、赤塚不二夫のマンガがずーっと載ってまして、『天才バカボン』(『平成天才バカボン』だったかもしれません)が連載していた時期もありました。
んで、これはあまり知られていないことなんですけど、ボンボンに載ってた『おそ松くん』か『バカボン』の中で、イヤミが「パシェー」っていうギャグをやってたんですよね。「パシェー」ってのは、「シェー」の発展形ギャグです。「シェー」よりもさらに強いのが「パシェー」。ポーズは「シェー」と同じですけど、「パシェー」のほうが飛距離が高いのです。「シェー」は有名ですけど、「パシェー」はほとんど知られてないでしょ。ボンボンにはあったんですよ。
そしてマンガとともに読み物のページがありまして、その中で読者になぞなぞを募集するというコーナーがあったんです。読者が送ってきたなぞなぞにバカボンのパパが答える、という体裁になっていました。もしパパがなぞなぞに答えられなかったら景品を進呈するというルールでした。景品がなんだったかは覚えていません。
僕はそのコーナーになぞなぞを応募して、採用されたことがあったんです。それが何年何月号だったかも覚えていません。
細部の記憶が曖昧なのですが、僕のなぞなぞは、確かこのように掲載されていました。「めがあるのにまゆはなく、はながあるのにみみはなく、はがあるのにくちはないものってなーんだ?わからなかったらお年玉くれ~!」。
まずお断りしておきたいのは、僕は普通になぞなぞを送っただけで、「わからなかったらお年玉くれ~!」などとは書いていなかったということです。勝手に付け足されていたのですね。うっすら名誉を傷つけられてしまったのです。そして、掲載されたのが何年何月号だったか覚えていないと言いましたが、お年玉ということは、おそらく1月号だったのでしょう。バックナンバーをお持ちの方、いらしゃいましたらご確認ください。
ちなみにこのなぞなぞ、ほかの本にあったのをまんまパクったもので、自分で考えたわけではありません。子供だからしょうがないですよね。
んで、そのなぞなぞにバカボンのパパが答えていました。「残念だけど、答えがわかったからゲンコツしかあげないのだ。答えは花。芽があって葉があるのだ」。
僕は、掲載され、バカボンのパパとやり取りできてうれしく感じると同時に(このコーナーを作っていたのは編集者で、赤塚不二夫はいっさいかかわっていなかったでしょうし、目を通してもいなかったのかもしれませんが)、「正確には花じゃなくて植物なんだけどなぁ」と思いました。はな(花)は問題文の中に出てますから、それが答えっていうのはちょいと不自然ですよね。
なぞなぞに答えられてしまったので、掲載されたにもかかわらず、景品のたぐいは送られてきませんでした。児童向け雑誌なのにそのへんはシビアでしたね。
なので、景品をもらうため、「花じゃなくて植物です」という反論のハガキを送ろうかと真剣に考えたのですが、母親から「意味はほとんど同じなのだからそんなことをしても受け入れてもらえない」と諭され、断念しました。これでよかったのか?
あとですね、ボンボンで納得いかなかったことがありまして、読者プレゼントで、抽選じゃなくて先着何名様っていうのがあったんですよ。そんなの、東京に住んでなきゃ当たんねーじゃんって思ってましたよ。東京の読者優遇じゃねーかって。地方は雑誌の販売日も遅かったですしね。
コミックボンボンについてもっと語りたい気もしますが・・・これ以上思い出せないですね。
バカボンのパパとなぞなぞ合戦をした、そんなほろ苦い思い出です。
パシェー!!
ようやく真夏日もなくなり、暑さに朦朧とすることもなくなりましたが、昼夜の寒暖差がけっこう大きいので、それはそれでしんどい今日この頃、「お笑いの日」はすでに年中行事になっているのかどうかが気にかかる、キングオブコントの感想をお届けします。
最近めっきり感想文が遅めの公開になってて申し訳ありません。年々批評の精度が上がっていると自負してはいるのですが、そのぶん書き上げるのに時間がかかっちゃうんですよね。
今年のファイナリストは全員知ってる組。だいたい毎年1組くらいは初見がいるものですが、今年はゼロ。なので、フレッシュ感はないのですが、全組の過去と現在の変化(および成長)を観測できる大会になりました。
個別の評価は以下の通り。まずはファーストステージから。
カゲヤマ・・・仕事でミスをしたサラリーマンが得意先に謝罪するネタ。ふすまの奥で謝っていた先輩が、いつの間にか裸になっていた。
正直言うと、あまり好きではありません。裸にはあまり好意的ではないというか、「裸になりゃそれでいいと思ってんのか?」って気になっちゃうんですよね。笑い取りやすいじゃないですか、裸って。だから安易に脱いでほしくないというか、脱ぐならそれなりの工夫が欲しいのです。だから、裸が出てくるとどうしても厳しめに見てしまう。
益田がふすまの向こうで早脱ぎ早着替えをしている姿を想像すると笑えますし、だらしな目のボディもたしかに面白いですが、ここまで高得点になったのは理解できません。あと、前半までふすまの間から何か黒いのがチョロっと出てるのが気になりました。アキラ100%的ヒヤヒヤ要素が入っていたのと、靴下が白なのはよかったですね。裸に靴下の場合、靴下の色は白が一番面白いですからね。
ニッポンの社長・・・親友2人が思いを寄せる女性をめぐってケンカする。ひとりは普通に拳で殴りかかるのに、もうひとりは武器を使う。しかも相手がそれを当然のように受け入れている。
こういう暴力的なのって受け付けない人もいたりしますけど、そういった拒否反応が起きていなかったのは、2人のキャラクターゆえか、世界設定の妙か。
バカバカしさの極致。好き。単純に武器の破壊力がエスカレートしていくだけで面白い。なぜこれがカゲヤマより低いのかがわからない。
や団・・・劇団員のネタ。厳しくて、灰皿を投げるタイプの演出家の演技チェックを受ける。灰皿が薄っぺらいうちは激高しまくるが、重厚な灰皿に替わると怒りづらくなってしまう。
まず、よくこの灰皿見つけてきたな、ってところに感心しちゃいます。底がちょっとコマみたいになってて回転する。ですが、中嶋の灰皿の置き方が不自然でしたね。「ちゃんと回るように」って意識しすぎたのか。灰皿が回転して止まるまでの「間」が笑いどころで、僕はこのような間が大好きなのですが、灰皿を置く動きを自然に見せてくれないと、素直に笑うことができません。あと、演出家がよくわからない横文字使うキャラなら、その横文字が灰皿投げにも絡んでくるというふうにしてはどうでしょうか。
蛙亭・・・彼氏にフラれた女と、自分の誕生日に寿司を買った帰りの男。いかにも蛙亭っぽい世界観。
中野が登場とともにハデに転んで寿司を潰す場面がインパクト強く、大きな笑いが起こりましたが、あとはそれを超えることができませんでした。面白いし、セリフの流れもよく出来ているのですが、笑いはちょい弱め。笑いよりもドラマ性が優っているというか、「単独ライブの10本中4,5番目」くらいのネタというかんじです。これが今持ってこれるベスト?蛙亭はまだまだこんなもんじゃないと信じたいです。しかし、中野のキャラは得難いものであるとつくづく実感。
ジグザグジギー・・・市長の就任記者会見のネタ。元お笑い芸人であるため、大喜利のようなマニュフェスト発表になってしまう。
「IPPONグランプリ」と「笑点」観たことないと面白さが伝わりづらいように思いました。チェアマンの目の前でモノマネのイジリができたのは、さぞ気持ちよかったことでしょう。バカリズムっぽいフリップもありましたね。
かまいたちの山内が指摘していたように、元芸人なら大喜利だけでなく、もっといろんな「芸人あるある」や、ついうっかり出てしまう「芸人のクセ」を盛り込んでいればメリハリが出たと思います。
ゼンモンキー・・・親友の彼女に言い寄ってしまった男。それがバレてケンカになる。ケンカのさなかに純朴な男子高校生がお参りにやってきて、いつの間にか3人の争いになってしまう。
三者三様のキャラ設定で、トリオの特性を充分に活かせており、掛け合いも絶妙でした。ですが、バイきんぐ小峠が指摘していたとおり、先の展開が読めてしまいます。高校生が、「絶対に付き合いたい人がいる」と言った時点で、その相手が、2人が奪い合ってるアヤカのことなのではないかと。なので、その予想を裏切ってくるか、予想通りになってなお、その先の予想外の展開を持ってくるかにしたほうがよかったですね。
あと、ステージ中央にデーンと鎮座してる賽銭箱。このストーリーに必要なセットではあるのですが、せっかく目立つ場所にあるなら、賽銭入れる以外の使い方をしてほしかったです。
隣人・・・動物園でチンパンジーに落語を教える噺家・・・ってなんだそりゃ?こういう奇抜な設定って、ヘタすりゃ大スベリの可能性がありますので、このネタで挑んだ度胸は称えたい。片方がしゃべれないというハンデもありますしね。
落語家が途中からチンパンジー語で話し出す。それは落語を教えるための工夫ですが、いわば「歩み寄った」わけですよね。だったら、いつの間にかチンパンジーのペースに乗せられて、主導権を握られ、こちらが教えられる側に回っていた、みたいな展開だったらどうでしょう。いかにも落語っぽいダジャレのサゲは好き。
「浜ちゃんに叩かれたら売れる」というジンクスがあるため、気持ちはわからなくはないのですが、橋本、いくらなんでも喜びすぎ。ヤザキくらい抑えましょう。
ファイヤーサンダー・・・サッカー選手の日本代表選抜発表。代表候補の選手かと思わせといて、実はモノマネ芸人。
いいですね。お笑いに必要な「裏切り」と「意外性」。それを冒頭でガツンとかまされます。ほかのモノマネ芸人との競合、ゼロから何かを生み出せない、ご本人の記者会見乱入と、起伏に富んだ展開がありました。全体的なまとまりの良さでいったら今大会一ですね。僕は一番面白かったです。
サルゴリラ・・・てっきり芸歴10年ちょいくらいかと思ってたのですが、まさかファイナリスト史上最年長とは。TKOよりも上?ジグザグジギーやラブレターズより苦労人だったんですね。
感覚がズレたマジシャンがネタ見せをする。わかりづらかったり、違うポイントが気になってしまうマジックばかり。
なんかチョコプラっぽい。2人の演技はうまいけど、おかしなマジック自体は、ちょっと考えれば誰にでも作れるんじゃないかって気がしました。雰囲気のためにBGMを流していたので、これが伏線になってるのかと思いきや何もなし。だったらいらなかったのでは。靴下にんじんがイカ箱からペロンと出てるのがマヌケで笑える。最後に赤羽が怒りの表情のまま無言で終わる演出はよかったですね。児玉の声は個性的でクセになる。手を震わせながら頑張りました。
ラブレターズ・・・彼女の両親に挨拶に行く男。アパートでシベリアンハスキーを飼っており、隣人トラブルをかかえていた。
室内なのにサンバイザー?おばさんの記号?狂気性の表れのようでもあります。
壁をバンバン叩いていたため、若干セリフが聞き取りづらくなっていました。壁を叩く回数が多いほど異様さが強まるわけですが、そのぶん「騒々しさ」も高まってしまい、「騒々しい不快感」が「面白さ」を相殺してしまっていたかもしれません。お隣さんがVチューバーという設定も、もう少し活かしようがあったのでは。最後にボケとツッコミが逆転するのは強引なかんじ。
まつもときんに君が「順番が違っていたら」と言っていましたが、本当に順番が早ければもっと高得点だったでしょうか。僕はそうは思えませんが。
続きましてファイナルステージ。
ニッポンの社長・・・外科手術のネタ。単純な盲腸手術のはずなのに、臓器を次から次に摘出してしまう。
今回ニッポンの社長は、「エロ・グロ・バイオレンス」の、グロとバイオレンスで勝負したわけですね。このように前フリが長い場合、一発目の笑いはかなり大きいものになるべきなのですが、ちょい小さめ。笑いの手数も少なめで、ならばそのひとつひとつの笑いが大きかったかというとそうでもなし。このネタで挑んだ度胸には拍手を送りたいですが、失敗だったと思います。大腸(?)に掃除機の黄色テープついてたのはよかったですね。
あと、手術中というリアリティのために照明を薄暗くしていましたが、これも失敗だったかもしれません。人間心理として、「明るいほうがより面白く感じ、暗いほどつまらなく感じる」という傾向があるかもしれませんから。
カゲヤマ・・・仕事ができる優秀なサラリーマンの部下。しかしなぜかデスクの上にウンコを置いた犯人だった。
「益田君のDNAと一致したよ」からの長い間。その間のあとのセリフは「僕はどうなるんですか」ではなかったな・・・。あれだけたっぷり間を取ったなら、もっとドカンとでかい笑いが起こるセリフを持ってくるべきで、明らかに間の長さに比べて笑いが小さい。残念。頑なに動機を話さないことで立場を逆転させる筋書きはお見事。サイコパス感ただよう、ちょっと怖いネタでもあります。
サルゴリラ・・・高校最後の試合を終えた球児を励ます監督。すごく感動的なことを言いそうなのに、すべて魚にたとえるため、意味不明になってしまう。
個人的には一本調子にかんじました。「相手の気持ちを逆なでるな」のような変化をもっと混ぜてほしかったです。焼き魚とか刺身とかウロコとかさかなクンとかね。サカナクションをBGMにするとかね。
しかし最年長優勝は喜ばしいです。苦労人が報われました。
去年優勝したビスケットブラザーズのコント、僕は2本ともいい評価をしませんでした。世間の評価と自分のそれはズレてることがある。今回はそういうことだと。しかしそのビスブラ、いっこうにブレイクせず。なんか示唆的だなあと思っちゃいましたよ。
今回トップバッターのカゲヤマが高得点をたたき出したこともあり、全組点数高めになりました。例年80点代が出るものですが、今回はゼロ。そのうえ、「1番手は優勝しない」というジンクスを打ち破ってカゲヤマが優勝するのではないか、という期待さえ持たせてくれました。なので、個人的にはイマイチだったけれども、カゲヤマが今大会のMVPと認めざるを得ませんね。
なぜか「ひとりの女性をめぐって争う」のと「娘さんをくださいの挨拶」でネタかぶり。サル・ゴリラ・チンパンジ~♬が勢ぞろい。
浜ちゃんの奇行は結果発表とともに名物になっていくのでしょうか。そして、今年も西村はいらなかった。
最近めっきり感想文が遅めの公開になってて申し訳ありません。年々批評の精度が上がっていると自負してはいるのですが、そのぶん書き上げるのに時間がかかっちゃうんですよね。
今年のファイナリストは全員知ってる組。だいたい毎年1組くらいは初見がいるものですが、今年はゼロ。なので、フレッシュ感はないのですが、全組の過去と現在の変化(および成長)を観測できる大会になりました。
個別の評価は以下の通り。まずはファーストステージから。
カゲヤマ・・・仕事でミスをしたサラリーマンが得意先に謝罪するネタ。ふすまの奥で謝っていた先輩が、いつの間にか裸になっていた。
正直言うと、あまり好きではありません。裸にはあまり好意的ではないというか、「裸になりゃそれでいいと思ってんのか?」って気になっちゃうんですよね。笑い取りやすいじゃないですか、裸って。だから安易に脱いでほしくないというか、脱ぐならそれなりの工夫が欲しいのです。だから、裸が出てくるとどうしても厳しめに見てしまう。
益田がふすまの向こうで早脱ぎ早着替えをしている姿を想像すると笑えますし、だらしな目のボディもたしかに面白いですが、ここまで高得点になったのは理解できません。あと、前半までふすまの間から何か黒いのがチョロっと出てるのが気になりました。アキラ100%的ヒヤヒヤ要素が入っていたのと、靴下が白なのはよかったですね。裸に靴下の場合、靴下の色は白が一番面白いですからね。
ニッポンの社長・・・親友2人が思いを寄せる女性をめぐってケンカする。ひとりは普通に拳で殴りかかるのに、もうひとりは武器を使う。しかも相手がそれを当然のように受け入れている。
こういう暴力的なのって受け付けない人もいたりしますけど、そういった拒否反応が起きていなかったのは、2人のキャラクターゆえか、世界設定の妙か。
バカバカしさの極致。好き。単純に武器の破壊力がエスカレートしていくだけで面白い。なぜこれがカゲヤマより低いのかがわからない。
や団・・・劇団員のネタ。厳しくて、灰皿を投げるタイプの演出家の演技チェックを受ける。灰皿が薄っぺらいうちは激高しまくるが、重厚な灰皿に替わると怒りづらくなってしまう。
まず、よくこの灰皿見つけてきたな、ってところに感心しちゃいます。底がちょっとコマみたいになってて回転する。ですが、中嶋の灰皿の置き方が不自然でしたね。「ちゃんと回るように」って意識しすぎたのか。灰皿が回転して止まるまでの「間」が笑いどころで、僕はこのような間が大好きなのですが、灰皿を置く動きを自然に見せてくれないと、素直に笑うことができません。あと、演出家がよくわからない横文字使うキャラなら、その横文字が灰皿投げにも絡んでくるというふうにしてはどうでしょうか。
蛙亭・・・彼氏にフラれた女と、自分の誕生日に寿司を買った帰りの男。いかにも蛙亭っぽい世界観。
中野が登場とともにハデに転んで寿司を潰す場面がインパクト強く、大きな笑いが起こりましたが、あとはそれを超えることができませんでした。面白いし、セリフの流れもよく出来ているのですが、笑いはちょい弱め。笑いよりもドラマ性が優っているというか、「単独ライブの10本中4,5番目」くらいのネタというかんじです。これが今持ってこれるベスト?蛙亭はまだまだこんなもんじゃないと信じたいです。しかし、中野のキャラは得難いものであるとつくづく実感。
ジグザグジギー・・・市長の就任記者会見のネタ。元お笑い芸人であるため、大喜利のようなマニュフェスト発表になってしまう。
「IPPONグランプリ」と「笑点」観たことないと面白さが伝わりづらいように思いました。チェアマンの目の前でモノマネのイジリができたのは、さぞ気持ちよかったことでしょう。バカリズムっぽいフリップもありましたね。
かまいたちの山内が指摘していたように、元芸人なら大喜利だけでなく、もっといろんな「芸人あるある」や、ついうっかり出てしまう「芸人のクセ」を盛り込んでいればメリハリが出たと思います。
ゼンモンキー・・・親友の彼女に言い寄ってしまった男。それがバレてケンカになる。ケンカのさなかに純朴な男子高校生がお参りにやってきて、いつの間にか3人の争いになってしまう。
三者三様のキャラ設定で、トリオの特性を充分に活かせており、掛け合いも絶妙でした。ですが、バイきんぐ小峠が指摘していたとおり、先の展開が読めてしまいます。高校生が、「絶対に付き合いたい人がいる」と言った時点で、その相手が、2人が奪い合ってるアヤカのことなのではないかと。なので、その予想を裏切ってくるか、予想通りになってなお、その先の予想外の展開を持ってくるかにしたほうがよかったですね。
あと、ステージ中央にデーンと鎮座してる賽銭箱。このストーリーに必要なセットではあるのですが、せっかく目立つ場所にあるなら、賽銭入れる以外の使い方をしてほしかったです。
隣人・・・動物園でチンパンジーに落語を教える噺家・・・ってなんだそりゃ?こういう奇抜な設定って、ヘタすりゃ大スベリの可能性がありますので、このネタで挑んだ度胸は称えたい。片方がしゃべれないというハンデもありますしね。
落語家が途中からチンパンジー語で話し出す。それは落語を教えるための工夫ですが、いわば「歩み寄った」わけですよね。だったら、いつの間にかチンパンジーのペースに乗せられて、主導権を握られ、こちらが教えられる側に回っていた、みたいな展開だったらどうでしょう。いかにも落語っぽいダジャレのサゲは好き。
「浜ちゃんに叩かれたら売れる」というジンクスがあるため、気持ちはわからなくはないのですが、橋本、いくらなんでも喜びすぎ。ヤザキくらい抑えましょう。
ファイヤーサンダー・・・サッカー選手の日本代表選抜発表。代表候補の選手かと思わせといて、実はモノマネ芸人。
いいですね。お笑いに必要な「裏切り」と「意外性」。それを冒頭でガツンとかまされます。ほかのモノマネ芸人との競合、ゼロから何かを生み出せない、ご本人の記者会見乱入と、起伏に富んだ展開がありました。全体的なまとまりの良さでいったら今大会一ですね。僕は一番面白かったです。
サルゴリラ・・・てっきり芸歴10年ちょいくらいかと思ってたのですが、まさかファイナリスト史上最年長とは。TKOよりも上?ジグザグジギーやラブレターズより苦労人だったんですね。
感覚がズレたマジシャンがネタ見せをする。わかりづらかったり、違うポイントが気になってしまうマジックばかり。
なんかチョコプラっぽい。2人の演技はうまいけど、おかしなマジック自体は、ちょっと考えれば誰にでも作れるんじゃないかって気がしました。雰囲気のためにBGMを流していたので、これが伏線になってるのかと思いきや何もなし。だったらいらなかったのでは。靴下にんじんがイカ箱からペロンと出てるのがマヌケで笑える。最後に赤羽が怒りの表情のまま無言で終わる演出はよかったですね。児玉の声は個性的でクセになる。手を震わせながら頑張りました。
ラブレターズ・・・彼女の両親に挨拶に行く男。アパートでシベリアンハスキーを飼っており、隣人トラブルをかかえていた。
室内なのにサンバイザー?おばさんの記号?狂気性の表れのようでもあります。
壁をバンバン叩いていたため、若干セリフが聞き取りづらくなっていました。壁を叩く回数が多いほど異様さが強まるわけですが、そのぶん「騒々しさ」も高まってしまい、「騒々しい不快感」が「面白さ」を相殺してしまっていたかもしれません。お隣さんがVチューバーという設定も、もう少し活かしようがあったのでは。最後にボケとツッコミが逆転するのは強引なかんじ。
まつもときんに君が「順番が違っていたら」と言っていましたが、本当に順番が早ければもっと高得点だったでしょうか。僕はそうは思えませんが。
続きましてファイナルステージ。
ニッポンの社長・・・外科手術のネタ。単純な盲腸手術のはずなのに、臓器を次から次に摘出してしまう。
今回ニッポンの社長は、「エロ・グロ・バイオレンス」の、グロとバイオレンスで勝負したわけですね。このように前フリが長い場合、一発目の笑いはかなり大きいものになるべきなのですが、ちょい小さめ。笑いの手数も少なめで、ならばそのひとつひとつの笑いが大きかったかというとそうでもなし。このネタで挑んだ度胸には拍手を送りたいですが、失敗だったと思います。大腸(?)に掃除機の黄色テープついてたのはよかったですね。
あと、手術中というリアリティのために照明を薄暗くしていましたが、これも失敗だったかもしれません。人間心理として、「明るいほうがより面白く感じ、暗いほどつまらなく感じる」という傾向があるかもしれませんから。
カゲヤマ・・・仕事ができる優秀なサラリーマンの部下。しかしなぜかデスクの上にウンコを置いた犯人だった。
「益田君のDNAと一致したよ」からの長い間。その間のあとのセリフは「僕はどうなるんですか」ではなかったな・・・。あれだけたっぷり間を取ったなら、もっとドカンとでかい笑いが起こるセリフを持ってくるべきで、明らかに間の長さに比べて笑いが小さい。残念。頑なに動機を話さないことで立場を逆転させる筋書きはお見事。サイコパス感ただよう、ちょっと怖いネタでもあります。
サルゴリラ・・・高校最後の試合を終えた球児を励ます監督。すごく感動的なことを言いそうなのに、すべて魚にたとえるため、意味不明になってしまう。
個人的には一本調子にかんじました。「相手の気持ちを逆なでるな」のような変化をもっと混ぜてほしかったです。焼き魚とか刺身とかウロコとかさかなクンとかね。サカナクションをBGMにするとかね。
しかし最年長優勝は喜ばしいです。苦労人が報われました。
去年優勝したビスケットブラザーズのコント、僕は2本ともいい評価をしませんでした。世間の評価と自分のそれはズレてることがある。今回はそういうことだと。しかしそのビスブラ、いっこうにブレイクせず。なんか示唆的だなあと思っちゃいましたよ。
今回トップバッターのカゲヤマが高得点をたたき出したこともあり、全組点数高めになりました。例年80点代が出るものですが、今回はゼロ。そのうえ、「1番手は優勝しない」というジンクスを打ち破ってカゲヤマが優勝するのではないか、という期待さえ持たせてくれました。なので、個人的にはイマイチだったけれども、カゲヤマが今大会のMVPと認めざるを得ませんね。
なぜか「ひとりの女性をめぐって争う」のと「娘さんをくださいの挨拶」でネタかぶり。サル・ゴリラ・チンパンジ~♬が勢ぞろい。
浜ちゃんの奇行は結果発表とともに名物になっていくのでしょうか。そして、今年も西村はいらなかった。
今日は某芋です。
あみじゃががあればぼうじゃがもある。それでいい。
これはもう、15年くらい前のことですかね。とある古本屋さんに行ったときの話です。
それは福岡市内にある、町の小さな古本屋さんでした。今はブックオフによってあらかた駆逐されてしまってますけど、当時はまだ個人経営の古本屋さんもけっこうありまして、そこは20~30年は経営しているであろう、おじいさん店主のお店でした。
昔ながらの古本屋だと、マンガや雑誌を扱ってない所もあったりしますけど、そのお店は幅広い種類の本を売買しており、エロ本やエロビデオまで置いてありました。
以前はよく本屋巡り、古本屋巡りをしていまして、その日も古本屋のハシゴをする中で、その店舗を訪れました。
めぼしい本がないか、軽く立ち読みをしながら店内を物色しました。店内には、小学校高学年の男の子3人組もいました。
そのお店はポケモンカードも取り扱っており、男の子たちは、レジカウンター横に並べられたカードを見ながら、「これがほしい」だの「お金が足りない」だのとおしゃべりをしていました。僕はそんなやり取りをなんとなく聞きながら、本を漁っていました。
すると突然、おじいさん店主が男の子たちを怒鳴りつけました。
「こらっ、いつまでペチャクチャしゃべりよるか!買うか買わんかさっさと決めろ!」
男の子たちは、ただ普通におしゃべりをしていただけです。ポケモンカードについて、普通におしゃべりをしていただけで、大声で騒いでいたわけでも、店の悪口を言っていたわけでもないのです。それに、1時間も2時間もしゃべりこんでいたわけでもなく、せいぜい10分程度のことでした。
なのに、おじいさんは怒鳴りつけた。
僕ははたから聞いていて、理不尽に思いました。男の子たちは何も悪いことなどしてないじゃないかと。
怒鳴られた男の子たちの間にはシラケた空気が流れ、何も買わぬまま無言で帰っていきました。
おじいさん店主は僕のところにもやってきて、「本を見るのはいいけど散らかさないでね」と注意してきました。しかしその古本屋は、本棚の隙間に本をぎゅうぎゅうに詰め込んだり、本棚に入らない本を床に平積みしたりしているタイプのお店でした。破れそうなくらい本の詰まった紙袋や、ビニールひもで縛ったままの本の束なども無造作に置かれていました。そのため、通路は人がやっと通れるくらいの幅しかなく、いつ雪崩が起きてもおかしくないくらい至る所に本が積み上げられていたのです。
だから僕は、「あ、はい」と答えつつも、「散らかすなも何も、元から散らかり放題散らかってんじゃねーか!そういうセリフは店ん中ちゃんと片付けてから言え!」と思いました。
まーなんか、いますよね、こーゆーおじいさん。よくわからないタイミングで急に怒りだしたり、相手が何もしていないのに非をでっち上げたりするような人。
年寄りっつーのは徐々に脳が衰えていきますから、本人はなんの自覚も悪意もなく、周囲に迷惑をかけてしまっているのかもしれません。
しかし、それにしても、自分の言動がおかしいと自覚が持てないというのは、なんとおそろしいことでしょう。自身の誤りに気付くことなく、それによって周囲と軋轢が生じれば、支離滅裂な理論で己を正当化し、悪いのは相手のほうだと決めつけるのです。
実に厄介です。意識が自己中心的に凝り固まっているので、説得はほぼ不可能。その人と距離を取れるならいいですけど、どうしても付き合っていかなきゃならない人もいるでしょうからね。
んでこのことを考えると、自分はこうはなりたくないって思いますけど、ある種の病気と一緒で、どんなになりたくないと思ってもなっちゃうかもしれないんですよね。
ああ、イヤですね。僕がそうなったら、周りの人はどう接してくれるのでしょうか。少しずつ離れていって、そして誰もいなくなるのでしょうか。
この古本屋さんには、もう10年以上行ってません。おそらくはもう閉店していると思いますが、もしもまだやってるとすれば、どうなっているでしょうか。
本はますます増殖し、店の前の歩道にまであふれ、おじいさんはさらに偏屈になり、客が店内に一歩踏み入ると同時に、解読不能な言語で怒鳴りつけてハタキで追いかけまわし、何度も警察沙汰を起こすとか、そんなふうになっているのかもしれません。
怖いもの見たさで行ってみたい気もします。
あみじゃががあればぼうじゃがもある。それでいい。
これはもう、15年くらい前のことですかね。とある古本屋さんに行ったときの話です。
それは福岡市内にある、町の小さな古本屋さんでした。今はブックオフによってあらかた駆逐されてしまってますけど、当時はまだ個人経営の古本屋さんもけっこうありまして、そこは20~30年は経営しているであろう、おじいさん店主のお店でした。
昔ながらの古本屋だと、マンガや雑誌を扱ってない所もあったりしますけど、そのお店は幅広い種類の本を売買しており、エロ本やエロビデオまで置いてありました。
以前はよく本屋巡り、古本屋巡りをしていまして、その日も古本屋のハシゴをする中で、その店舗を訪れました。
めぼしい本がないか、軽く立ち読みをしながら店内を物色しました。店内には、小学校高学年の男の子3人組もいました。
そのお店はポケモンカードも取り扱っており、男の子たちは、レジカウンター横に並べられたカードを見ながら、「これがほしい」だの「お金が足りない」だのとおしゃべりをしていました。僕はそんなやり取りをなんとなく聞きながら、本を漁っていました。
すると突然、おじいさん店主が男の子たちを怒鳴りつけました。
「こらっ、いつまでペチャクチャしゃべりよるか!買うか買わんかさっさと決めろ!」
男の子たちは、ただ普通におしゃべりをしていただけです。ポケモンカードについて、普通におしゃべりをしていただけで、大声で騒いでいたわけでも、店の悪口を言っていたわけでもないのです。それに、1時間も2時間もしゃべりこんでいたわけでもなく、せいぜい10分程度のことでした。
なのに、おじいさんは怒鳴りつけた。
僕ははたから聞いていて、理不尽に思いました。男の子たちは何も悪いことなどしてないじゃないかと。
怒鳴られた男の子たちの間にはシラケた空気が流れ、何も買わぬまま無言で帰っていきました。
おじいさん店主は僕のところにもやってきて、「本を見るのはいいけど散らかさないでね」と注意してきました。しかしその古本屋は、本棚の隙間に本をぎゅうぎゅうに詰め込んだり、本棚に入らない本を床に平積みしたりしているタイプのお店でした。破れそうなくらい本の詰まった紙袋や、ビニールひもで縛ったままの本の束なども無造作に置かれていました。そのため、通路は人がやっと通れるくらいの幅しかなく、いつ雪崩が起きてもおかしくないくらい至る所に本が積み上げられていたのです。
だから僕は、「あ、はい」と答えつつも、「散らかすなも何も、元から散らかり放題散らかってんじゃねーか!そういうセリフは店ん中ちゃんと片付けてから言え!」と思いました。
まーなんか、いますよね、こーゆーおじいさん。よくわからないタイミングで急に怒りだしたり、相手が何もしていないのに非をでっち上げたりするような人。
年寄りっつーのは徐々に脳が衰えていきますから、本人はなんの自覚も悪意もなく、周囲に迷惑をかけてしまっているのかもしれません。
しかし、それにしても、自分の言動がおかしいと自覚が持てないというのは、なんとおそろしいことでしょう。自身の誤りに気付くことなく、それによって周囲と軋轢が生じれば、支離滅裂な理論で己を正当化し、悪いのは相手のほうだと決めつけるのです。
実に厄介です。意識が自己中心的に凝り固まっているので、説得はほぼ不可能。その人と距離を取れるならいいですけど、どうしても付き合っていかなきゃならない人もいるでしょうからね。
んでこのことを考えると、自分はこうはなりたくないって思いますけど、ある種の病気と一緒で、どんなになりたくないと思ってもなっちゃうかもしれないんですよね。
ああ、イヤですね。僕がそうなったら、周りの人はどう接してくれるのでしょうか。少しずつ離れていって、そして誰もいなくなるのでしょうか。
この古本屋さんには、もう10年以上行ってません。おそらくはもう閉店していると思いますが、もしもまだやってるとすれば、どうなっているでしょうか。
本はますます増殖し、店の前の歩道にまであふれ、おじいさんはさらに偏屈になり、客が店内に一歩踏み入ると同時に、解読不能な言語で怒鳴りつけてハタキで追いかけまわし、何度も警察沙汰を起こすとか、そんなふうになっているのかもしれません。
怖いもの見たさで行ってみたい気もします。