猫じじいのブログ

子どもたちや若者や弱者のために役立てばと、人権、思想、宗教、政治、教育、科学、精神医学について、自分の考えを述べます。

安倍晋三が殺されたことが直接に民主主義への攻撃か、御厨貴の戯言

2022-07-09 22:40:53 | 安倍晋三批判

安倍晋三が殺されたことを岸田文雄は自分の参院選挙戦に利用している。いっぽう、池上彰、藤原帰一は、安倍晋三が殺害されたことと直前の選挙と区別すべきだと主張している。

日本人が暴力的になっていることと、安倍晋三が殺害されたこととは、確かに関係があるだろう。しかし、暴力こそが正義だとするのは、安倍晋三を大将とする極右ではないか。究極の暴力は殺人であり、戦争である。岸田がこれを選挙戦に利用することは茶番である。

安倍晋三を手作りの銃で殺害した犯人の動機は、政治信条からではなく、特定の宗教団体に恨みがあり、その宗教団体と関係の深い安倍を狙った、と奈良県警察が発表している。犯人はべつに「特定の宗教団体」と告白したわけではない。ネットでみると、「旧統一教会」と書かれている。「旧」がついているのは、統一教会が分裂したからだ。「元祖」統一教会である。ネット上では、犯人は統一教会から分かれた分派に属していると言われている。

だから、犯人の言うように、政治信条からくる殺人ではない。「暗殺」ではない。「テロ」ではない。政治学者の御厨貴が言うような民主主義への攻撃ではない。

御厨はまず「民主主義」を「選挙」と考えている。ここが第1の間違い。第2の間違いは、政治的信条ではなく、個人的恨みからくる殺人であることだ。もちろん、犯人の個人的恨みは妄想の可能性がある。その点で精神鑑定がこれから必要になる。

御厨だけでなく、多くのテレビは、選挙の最中に安倍晋三が殺されたから民主主義の攻撃だと語っている。そして、安倍晋三がいかに偉大な政治家かとほめそやす。どこかの政党が安倍を殺せと言っていたのか。そんなことはないのに、「民主主義への攻撃」と主張することは、安倍晋三殺人事件を政治利用していることになる。

いっぽう、この事件を通して、安倍晋三が統一教会と深い関係にあることを私は知った。その関係は、祖父の岸信介が宗教団体に働きかけ勝共連合を作ったことに始まるという。一昨年に首相をやめた安倍晋三は、昨年、トランプとともに統一教会の大規模集会にお祝いのビデオメッセージを送っている。もしかしたら、今後、安倍晋三に統一教会からお金が流れていたことが明らかになるかもしれない。

犯人は、統一教会にお金を搾り取られて、一家が破綻したことに恨みをもっていたという。

安倍晋三の死を明日投票の参院選選挙活動に利用することはやめて欲しい。安倍晋三は、単に「祖父の悪口を言う革新をぶっ飛ばせ」しかない保守政治家にすぎない。すこしも偉大でない。ネットによれば、世界に先駆けて安倍がトランプに会えたのも、統一教会の口利きだという。


安倍晋三、死んだからといって悪人が善人になるわけでない

2022-07-08 22:51:28 | 安倍晋三批判

安倍晋三が殺害されたのは思いがけないことのようで、起こりべくして起きたようにも思える。

暴力こそが争いを解決する唯一の道だと平然として主張する人が、最近、日本に増えている。自民党がそうであり、日本維新の会がそうであり、国民民主党がそうである。自民党副総裁の麻生太郎は、弱いからいじめられるのだ、と4日前に参院選応援演説で言ったばかりである。敵基地攻撃能力とか軍事力をもって外交するという考えは、まさに、暴力こそが正義であるとするものである。

その暴力肯定派の棟梁である安倍晋三が、手作りの銃をもった元海上自衛隊員に、あっけなく殺されたのである。自分が作った暴力的風潮の被害者になったのである。

安倍を殺した犯人は、政治信条からではなく、特定の宗教団体に恨みがあり、安倍がその宗教団体に関係しているからだ、と警察に動機を語っているという。宗教団体の名前は警察が明かしていない。妄想から殺人にいたった可能性が高い。これから精神鑑定も必要になるだろう。

私は、安倍晋三をしぶとい悪人だと思っていたから、こんなに簡単に死ぬとは思っていなかった。その意味では思いがけないことだった。いっぽうで、「暴力こそ正義」という考えが広がれば、殺人は起きうることである。

数年前に安倍の『新しい国へ 美しい国へ 完全版』 (文春新書)を読んで、政治家になった動機が「祖父をバカにする革新をぶっ飛ばす」しかないことを知り、ドン引きしてしまった。

日本は病気になった人や死んだ人には、その人の悪行をとがめず、理由もなく持ち上げる。しかし、それは間違っていると私は思う。私たちは、遺族を思いやっているかのようにふるまう葬儀屋でないのだ。死んだからと言って、公人をほめそやすべきでない。安倍晋三は、首相をやめたといえ、自民党最大派閥の領袖であり、日本の軍備増強や憲法改正の先頭に立ってきた。彼は、死しても批判されるに値する公人である。


『元首相の介入 石川県知事選』の記事に陰謀政治、密室政治を感じる

2022-02-17 21:26:51 | 安倍晋三批判

きょうの朝日新聞4面に注目すべき記事『元首相の介入 石川県知事選』がのった。

地方でよくある、いわゆる保守分裂選挙、自民党内のゴタゴタなんだが、つぎの記述が気をひいた。

《 2月8日、日本維新の会が馳氏の推薦を打ち出した。安倍氏は決定の直後、周辺にこう語ったという。「私が維新に頼んだけどね。情勢調査も良くなってきた」。》

これは、安倍晋三が日本維新の会とのパイプがあるということを誇っているということである。

ことしの1月17日の岸田文雄首相の施政演説のあと、国会質問で日本維新の会が立憲民主党より激しく岸田を攻撃していた。昨年の衆議院選挙では、日本維新の会は自民党の公約に一番近かった。だから、同じ保守の日本維新の会が岸田政権を攻撃することに違和感があった。

そのときの日本維新の会の選挙公約をひろってみよう。

「世界平和に責任が果たせる国に向け、防衛費のGDP1%枠を撤廃し、テロやサイバー・宇宙空間への防衛体制を強化する」

「解雇ルールを明確化するなど規制改革で労働市場の流動化・活性化も促す」

「廃炉技術の伝承と使用済み核燃料の有毒性低減のため、小型高速炉など次世代の原子炉の研究開発を強化・継続」

いま、考えると、安倍が岸田を恫喝するために、日本維新の会に激しい国会質問をするように仕向けたのでは、という疑念を私はもつ。

新型コロナの件でも、岸田は、安倍や菅義偉の意見をお伺いに出かけている。

もちろん、岸田は、安倍や菅の無茶ぶりに いじめられている ふりをして、反安倍や反菅の同情を集めようとしているのかもしれない。そうではなく、安倍は、安倍派を固めるために、自分の影響力を必要以上に誇っているのかもしれない。

どちらにしろ、健全な政治とは言えない。

私は、きのうの朝日新聞『(耕論)国民的議論 できるもの?』でニールセン北村朋子が紹介してデンマークの政治風土をうらやむ。政治は駆け引きや勝ち負けを争うものでもなく、だれでもが普通に参加できる日常的な議論にもとづいて政治が行われてこそ、民主的社会ではないか。

[補遺]

地方で保守分裂のゴタゴタが起きるのは、1つは野党が弱いということ、もう1つは、国会が国民の代表であることを自民党幹部は無視し、中央の都合で自民党候補を決めることである。石川県知事選の場合、安倍晋三など中央が決めた候補が馳浩で、地元が押すのは山田修路である。

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変わらぬ極右自民党をぶっ潰すため、野党にぜひとも頑張って欲しい

2021-09-18 23:26:58 | 安倍晋三批判

9月30日開票の自民党総裁選には、河野太郎、岸田文雄、高市早苗、野田聖子の4人がでている。9月14日の朝日新聞を読んで、自民党は少し変わるかもしれないと希望をもったが、いまは、安倍極右の巻き返しに、それも消えつつある。

安倍の高市支援で、岸田は森友事件公文書書きかえの再調査を撤回している。そして、安倍がこれまで統制できなかった一般党員票の切り崩しのために、野田を出馬させた。原発稼働、使用済核燃料再処理が、正統な自民党である踏み絵になっている。

自民党総裁選では、1回目で過半数が取れないと、上位2名による一般党員が投票できない決選投票が行われる。これまで、一般党員が投票権を持つ1回目の投票で、もしかしたら、河野が過半数をとる可能性があった。野田の出馬で、この可能性がなくなったというという評がメディで流れている。

17日の4名による討論会では、岸田、高市、野田の3人は、河野太郎つぶしに必死になっていた。見苦しい限りである。

高市の「国民の生命と財産を守るため」「美しい日本の領土と領海と資源」を守るため海外出兵・敵基地先制攻撃はごめんこうむる。

変わらない極右自民党を潰すために、立憲民主党や共産党に、これからある衆院選挙でぜひとも頑張ってもらいたい。

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安倍政権の7年8カ月に好意的な論壇時評に驚く

2020-09-25 22:42:17 | 安倍晋三批判
 
きのう、きょうと、朝日新聞に安倍政権の7年8カ月に好意的な記事がのった。9月24日の津田大介の《論壇時評》『安倍政権の功罪 問題の責は彼個人ではなく』と、9月25日の佐伯啓思の『この7年8カ月の意味』である。
 
佐伯啓思は、保守の視点からみて中途半端で不十分だが、「疑いもなく、近年、これほど『仕事』をした政権はなかった」と評価している。佐伯は保守の人だからそう評価するのは当然である。
 
しかし、津田大介がそう評価したのにはびっくりした。津田は、昨年、国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の芸術監督をして、「表現の不自由展・その後」に関して批判され、臆病になったのではないか。
 
《論壇時評》といっても、評者が中立的である必要はない。論者たちは常に時流に流される可能性がある。私からみれば、彼らは、ちゃんとした職業につかず、文筆で生活するのだから、お金をもっている人たちの意識に影響されがちである。実際、多くの論者はクソである。だから、評者が時流から離れ、定点の自分から、論壇が右傾化している、左傾化していると批評できなければ、評者の存在自体が無意味である。
 
津田は、吉田徹の発言「皮肉なことに安倍政権は十分に民主的な政府だった」を、なんの説明もなく引用しているが、「民主的」とは何を言うのだろうか。普通選挙で選ばれた政府なら、戦後の日本政府はすべて「民主的」であろう。「選挙に勝ち続けた」ことを言いたいのだろうか。
 
横浜市が今年まで使ってきた育鵬社の「偏向」公民教科書につぎのように書かれている。
 
〈政治の最大の目的は、国民の生命と財産を守り、その生活を豊かに充実させることにあります。したがってその基礎をなす基本的人権の保障と充実は、なにより重要な政治目的のひとつとして位置づけられています。〉
 
逆でしょう。政治の最大の目的は、自由と平等、基本的人権、国民主権を実現することでしょう。育鵬社の表現では、格差の存在について何も語られていない。また、生命は守られても、死ななければ、奴隷であっても良いのかという問題もある。
 
2014年から2019年にかけて、「若年世代は物価の変化を考慮してもなお、安倍政権期を通じて賃金が上昇したそうだ」と津田は書くが、本当だとしても、この間の政治は民主的だったのか、ということである。
 
政府の公文書を改ざんしたり、情報を隠蔽したりする安倍政権のどこが民主的だろうか。政府が発表する資料は信頼できるのだろうか。若年世代の賃金が増えたとしても、他の世代の賃金は減少し、平均賃金では減少しているのではないか。
 
コロナ感染が流行する前までの私の観測では、リーマンショックの時よりも雇用が改善されたといえ、みんな安いものを買うのにあくせくしている。良い品質のものを売っていても、価格が他店より ちょっと高ければ、その店はつぶれてしまう。みんな安物を安く買っているだけである。貧乏なのである。
 
非エリート官僚までが官邸に忖度しなければならない社会のどこが民主的なのか。官僚だって自由に官邸の誤りを指摘できてこそ、健全な社会である。
 
安倍政権は「女性活躍」というが、その前に男性が活躍できているのか。経営陣が労働者の自由な判断を受け入れているのか。自由がない企業は衰退するしかない。近年の日本の製造業が国際競争力を失っているのは、自由な発想を経営陣が取り入れることができないからだ。
 
「女性活躍」の「女性」は誰のことか。多くの女性は、すでに賃金労働者として働いている。賃金をもらわなければ、子どもを育てることができないからだ。賃金労働者になることが、女性の「活躍」なのか。私は経営者なんてろくでもない種族と思っているから、経営者になることも「活躍」などと思わない。
 
「資本主義」とは何なのか、私にはわからないが、金持ちは、勤勉であるから金持ちになるのではなく、多数の人を雇って働かすから金持ちになるのである。多数の労働者が労働市場にいて、雇われたなら、贅沢も言わず黙々と働いてもらわないといけない、と金持ちは考えている。
 
そういうなかで、津田の書く「安倍政権で噴出した問題とは、安倍前首相個人にその責があるのではなく私たちそのものの問題である」の「私たち」とは誰のことか。「ちゃんとした職業につかず、文筆で生活する者たち」ではないか。教室から閉め出され、ちゃんとした職業につけないなら、「文筆で生活する」のはわかる。しかし、楽をしようとして、文筆活動をしていることはないか。ちゃんと底辺生活を体験しているのか。
 
「私たちそのものの問題」というまとめかたは、敗戦直後にでてきた「一億総ざんげ」と同じで、責任の所在があいまいになる。
 
安倍晋三は別に自民党総裁にも総理大臣にもなる必要がなかった。谷垣禎一だって良かったはずである。安倍とそれを担いだ菅義偉らの政治的意図があってのこの7年8カ月だから、とうぜん、その結果に責がある。
 
このようなわけで、津田大介の頭が大丈夫なのか、と思う私である。