拷問の道/哲学の道 サパ 20~28.Jul.2011
サパには、来たくて来ているわけではありません。中国でのビザ無し滞在期間15日を過ぎると、否応なしに国外に一度退去せねばならず、ホンコンかラオスかベトナム、ということになります。雲南省の昆明から一番近いのは、ベトナム国境のラオカイ(中国側は河口)ですから、そこからすぐのベトナム最高峰ファンシーファン山3143mに抱かれたリゾートの町・サパに滞在するのは、必然的選択肢となるのです。
滞在に要する費用は中国より更に安く、貧乏な僕には有難い限り。そしてここが中国との国境に踵を接しているのがとても信じられないような、清潔さ、空気の綺麗さ、食べ物の美味しさ、、、、。健康面からも(肉体的にも精神的にも)言うことはありません。しばらく滞在して、写真を整理したり、原稿を執筆したりするには、うってつけなのです。
南国とは言っても、ベトナム最高峰の中腹(標高1600m)ですし、中国とは違って自然植生もたっぷりと残っているので、部屋に籠っていようと思っても、ついつい植物や昆虫の撮影に出かけてしまいます。
町から標高差350m程を下って、欧米人観光客のたむろす滝壷“カットカット”へ、そこから渓流沿いに、観光客の行かない奥へと進みます。川を横切ったり、急坂を上り下りしつつ、同じぐらいの標高を登り返して、ファンシーファン山の中程まで行ったところで引き返し、日が暮れる頃には町に戻って来るのです。
というわけで、“カットカット”に至る途中の石段の坂道を、これまでに一体何度上り下りしたことか。そのたびに、楽しくほのぼのとした想いと、辛く苦々しい想いを、同時に味わうことになります。
お金とは何なのか?
働くとはどういうことなのか?
何が正しくて何が間違っているのか?
本心なのでしょうか? ダブルスタンダードのようにも感じるのですが、、、、。