Swertia tibetica 大药獐牙菜 (四川省四姑娘巴朗山)
四川省阿坝藏族羌族自治州小金县四姑娘巴朗山。標高4700m付近。2010.7.31 (以下全て同じ)
センブリ(獐牙菜)属Swertiaは、ユーラシア大陸と北米大陸に150~200種ほどが知られ、その約半数の80種前後が、中国大陸(主に西南部高地帯)に分布している。「中国植物志」では、7section-12seriesに分けられる。ここで紹介する各種のうち、今回のSwertia tibetica(プライベート・ネーム「オオヤクセンブリ」)のみが、獐牙菜组Sect. Swertia(中国に3series28種が分布)に属し、他の種は全て多枝组Sect. Ophelia(中国に4series37種が分布)に所属するとされる。
オオヤクセンブリは、前回のヒメセンブリ属各種やヤクシマリンドウ組の種同様に、巴朗山の高山岩礫地に生えるが、秋に咲くそれらの花よりも開花期はひと月余り早い盛夏である。
センブリ属としては極めて大型で、外観も著しく特異だが、属としての特徴である、柱頭が明確に2分し、萼や花冠部は筒状にならず、蜜腺溝が花冠裂片の基部よりも先方に2個(ヘツカリンドウは通常1個)あり、その周囲を繊毛群が覆う(ただしアケボノソウ類とヘツカリンドウ類を除く)ことなどは、は、他のセンブリ属各種と共通する。
撮影した時点では、ユリ科(広義)の一種だと思い込んでいた。
花冠径は3~4㎝ほどあり、センブリ属の中では格段の大きさだ。
様々な高山植物の中に、オオヤクセンブリの蕾も見える。
標高4700~4800m辺りが、一般の植物の生育限界ではないだろうか。
岩石に注目。大理石の産出地としても知られている。
白と三角の岩が気に入っているので、同じ場所の写真を数枚続ける。
蕾。リアルタイムではリンドウと気付かず、あとでこの蕾の写真を見てリンドウであることが分かった。
ちょうど開花盛期なのだろう。蕾と共に咲き古した黄色い花も見られる。
この辺りのタンポポは、もう一種、著しく特異な花姿の「原始タンポポ」も咲いているが、こちらは普通のタンポポ。
二分した子房の柱頭が、まるで鰐の口(唇?)のようである。
花被弁の内外、雌蕊の子房本体、雄蕊の花糸と約、細糸状の毛が周囲に絡まった蜜腺溝、そのどれもが、インクを思わせる渋い藍色をしている。
普通のタイプと特異なタイプの2種が生えるタンポポ同様に、トウヒレンも普通のタイプと特異なタイプの2種が生える。どれほど特異なのかは、以前のブログに書いたので、探してください。