お金が無くて(生活保護の手取り1万円前後、光熱費引くとほとんど残らない)、食事もままなりません。餓死寸前の身寄りのない老人が助けを求めても誰も(そうです、殊にブログの読者諸氏!)助けてくれない。日本人はなんて冷淡なのだろうと、毎度のことながら哀しくなってきます(“趣味”で人助けする人はいっぱいいるのに、、、被災地とかウクライナとか、、、でも目の前の困窮者には誰も手を差し伸べようとはしないのです)。
といって、餓死してしまうわけにもいきません。なんとか入手した数日分のお米、これで後10日間凌がねばならない。問題はおかずですね。毎回マヨネーズご飯では、少々辛いです(食後の後口が悪い)。そこで、無料野菜を調達することにしました。さっき、シルビアシジミをチェックに行ったのですが、そこに生えていた(秋になると一面に薄黄色の花が咲く)アキノノゲシの新葉を採って来て食べることにしました。まず熱湯に晒して、次にご飯と一緒に炊き込みます。これが期待に違わず美味しかった。生葉の猛烈な苦みが全く消えて(それはそれでちょっと不満)、トロリとした甘みが感じられ、レタス特有のシコシコ感もどことなく持ち合わせているようにも感じられます。
僕の植物関係のライフワークは、1に野生アジサイ、2に野生のレタス「麦菜」なのですが、前者は修復HDD(後7万円の支払い)を取り戻さないことには再スタートできず、後者はほぼ全資料を中国広州のモニカ宅に預けたままです(捨てられていないか心配している(-_-;))。結構重要なデータ(中国各地の人々から得た油麦菜/苦麦菜の普及度のリストなど)が入っていて、入手後には調査再開しよう思っているのです。
概要を思い出すまま箇条書きに整理記述しておきます。
アキノノゲシ属
亜属A
●アレチヂシャ(トゲヂシャ) Lactuca serriola(≒Lactuca sativa)
中東~地中海東南岸に自生、現在は帰化雑草として世界各地に広がっている。野菜のレタスの原種のひとつ。
●レタスLactuca sativa
アレチヂシャを古代ヨーロッパで改良した野菜。サラダとして生食(中国に於ける該当野菜「生菜」は通常生食せず煮て食べる)。
●油麦菜Lactuca sativa
種(Species)としてはレタスと同じ。別経路で中国に於いて野菜として展開。かつては利用地域が南部などに限られていたようだが、現在では全土に普及して最重要野菜のひとつとなっている。多くの品種がある。
亜属B(亜属C以下は省略)
●アキノノゲシLactuca indica
東アジアに広域分布する野生種。現在では各地の人里に広く見られることから、どの地域の集団が在来種で、どの地域の集団が2次分布かの判断は困難(そのことは地中海周辺のアレチヂシャについても言える)。日本産は「史前帰化植物」とする見解があるが、その確かな根拠はない。
●苦麦菜Lactuca indica
アキノノゲシを改良したローカル野菜。つい最近までは、中国南部のごく限られた地域(広東省西部や広西壮族自治区の一部)でのみ利用されていた(他に海南島とジャワでも利用されている由の文献記録がある)。近年、中国南部を中心に急速に利用が広まり、身近な重要野菜の一つとなっている。油麦菜同様に、多くの品種がある。ちなみに日本に於いては、食用として利用されている記録は見当たらない。唯一、西表島に於いてかつて利用されていたとの報告を得ている。
なお、現在沖縄では、同じタンポポ連の別属野生種ホソバワダンCrepidiastrum lanceolatumが「苦菜」の名で食用化されていて、中国に於ける「油麦菜」「苦麦菜」同様に、スーパーなどで主力野菜として販売されている。ただし沖縄同様にホソバワダンの野生株が多く生えている屋久島を含む南九州では、食用としての利用は聞かない。
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今日撮影した写真4枚と、2014年刊行「海の向こうの兄妹たち(上)」第4章「東洋のレタス“麦菜”の謎~野菜になった雑草アキノノゲシ」に使用した200枚近くの写真から一部をピックアップして紹介しておきます。
さっきご飯と共に炊き込んだもの。マヨネーズ付けないほうがさっぱりしていて美味しい。
これ(アキノノゲシ野生株)を摘んできた。葉の形は様々で、「苦麦菜」各品種とも軌を一にする。
中国ではこんな風にして食べている。右から「生菜(レタス)」「油麦菜」「苦麦菜」。広東省河源市のホテルにて。
苦麦菜入りの肉ドンブリ。広東省翁源県。
深圳のスーパーにて購入。
左から、生菜(レタス)、油麦菜、苦麦菜。
手前から、苦麦菜、油麦菜、生菜(レタス)。河源市。
街角でも売っている。広西壮族自治区悟州市。
皆、苦麦菜を買っていく。広東省翁源県。
苦麦菜の栽培。悟州市。
苦麦菜。広西壮族自治区融水県汪洞。様々なタイプの葉の品種が栽培されている。
苦麦菜。翁源県貴聯。
「苦菜(ホソバワダン)」を使った料理。沖縄県伊平屋島。
ホソバワダン野生株。