抱きしめて 夏 4

2008-03-29 | イラスト

君をはなしたくない


はなしたくない


君をはなすくらいなら


私は帰る


君は私の全て



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抱きしめて 夏 3

2008-03-27 | イラスト


ザザーン・・・



ザザーン・・・



海岸沿いに広がる広大な駐車場。


そこで私は君を抱きしめていた。


どれくらいの時間が経過しているのだろうか。


「ねぇ、どうしたの」


君はその言葉で沈黙を破った。


しかし私は答えなかった。


その代わりに、もう一度

ギュッと力を入れた。


声を出すのが怖かったんだ。

固く閉じた口をもしも開いたら

叫んでしまいそうで。


高揚した心の爆発が出てしまいそうだった。


どんな言葉になるのか分からない。


いや、おそらく叫ぶだけだったろう。


君が口を開いてから

私は無我ではなくなり

そして今君を抱きしめていることを認識し

君の香りや開放的な潮風を一気に吸い込んだ。


体中がくすぐったくなり

胸が高鳴る。

目は天を仰いだままであるが

私の心は君を見つめていた。


私の記憶の中の君を呼び起こし

今抱きしめている君を創造する。

肉体は密着しているが

心はイデアの中の君を見るのだ。

天高く舞い上がる理想がなければ

想いは血液となり

下半身へとなだれ落ちるであろう。

そしてそれは性の欲望となり

女性としての君を求める。

香り、肌の感触

全ては性のシグナルへと変わる

そうなれば君を見つめる我が目は

血の気をおび

体からは獣の息吹を発するだろう。

この場では無理だとしても

できるだけ早くに己の欲望を達成したくなる。

戦略的な思考とはそこから発生するものだ。



しかしそんなものは刹那だ。

肉体の欲望などきりがない。

満たしては乾き そしてまた満たす。

この繰り返しとはいかに不毛な一生だろう。



私は目も覚めるほどの興奮を君から得ていた。

抱きしめて。


君の力を借りて空を飛ぶほどに高揚できる。


魂が高まれば血液が下半身へ一極集中などしない。


君の香りは欲望のシグナルではない。

魂の糧だ。


TUBEはどうなった。


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抱きしめて 夏 2

2008-03-26 | イラスト

海岸にひろがる駐車場で私は君を抱きしめた。


開けたままの車のドア、

そして聞こえるTUBE。


私はギュッと力を込めた。


あの時、君はどこを見ていたの。



私はカモメを見ていた。

空を舞うカモメを。


高鳴る胸の鼓動は

まるで空をかけていたのだ。


君のエネルギーを吸収したかった。


潮の香りなどない。

君の記憶だけだ。


私は君を抱きしめたまま、無我となった。

こみ上げる喜びを永遠としたかった。


カモメは空を舞う。


何も考えずに

私のカローラの遥か上空を

舞う。


私たちを見ていたのかな。

カモメは

抱きしめられている君に気づいたかな。


私と君、体はくっついた。

二人の間にはぬくもりだけがあった。

このぬくもりは私のものか、それとも君のか。

どちらにせよ、これ以上のない快適な温度だ。

人工にはだせない。

出させやしない。



私は空ばかり見つめていたが

それは怖かったのだ。

君を見るのが。

君の顔を見つめなかった。

見つめたかったが。


君の吐息も 

鼓動も

私は無視していたのだよ。


ただ手探りでぬくもりを求めた。



空は どこまでも蒼く

カモメは白いのだ。



TUBEよ、どうか そのままで。
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抱きしめて 夏

2008-03-25 | イラスト
トンネルを抜ければ、海が見える。

愛車のカローラは軽快な走りで国道を進んでいる。


「窓、開けてもいい?」


助手席の君はそう訪ねた。


私は頷く。


ボタンを押し そして窓ガラスが下がる。

そのボタンを押した君の指がとてもきれいだった。

私は見逃さない。そうしたディティール・・・。


開いた窓から風が車内へと運ばれる。


そして、最高のタイミングでトンネルを抜けた。


海だ。


風に海の香りがまじる。

太陽が海を照らしている。

キラキラとよせる波。


車は右折し左に海を見る。

君は海を見て喜んだね。


「海っていいよね」

君のその言葉に私はどれほど嬉しかったか。

私は笑顔で返事をしたろ。


国道の脇には趣味のよい店が建ち並ぶ。

レストラン、サーフショップ

ホテル。

どの建物にも太陽の光は平等に注がれる。

私はサーモンピンクの建物が好きだ。

信号まちのあいだ、私はサングラスを外す。

そして君を見つめた。


レイバンのサングラスをダッシュボードにしまい

再び車を動かす。


「何か聴こうよ」

君はそう言った。


私は無言でオーディオのスイッチを入れた。

TUBE

夏を抱きしめて


車は静かに進む。


君が着ていたポロシャツを私は忘れない。


目的地の駐車場にようやく到着。

車を降りる。

まずは私から。

すると突風が背後から吹き付けた。

私は帽子を吹き飛ばされた。

それを見て君は笑った。

初めて見た君の笑顔に私は心を奪われた。

車内にいる君を私はずっと見つめていた。


我に返りドアを開ける。

そしていきなり


抱きしめた。




TUBEは終わらない。
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時の流れ

2008-03-24 | イラスト

時の流れに身を任せ。


なめらかに そして急激に流れる時間よ。


大切なもの、触れたくない過去


全てを押し流す時間。


まるで、河である。


人は言う。時間が解決すると。


また、ある人は言う。しょうがないことは考えるな。


流れを変えられる立場になってからにしろ。


そこまでは流れにのっていくしかないか。


人生つまらなくするだけか。


おかしいことでも、仕方ないのか。


私たちの流れていく先がおかしくても


今は流れていくべきなのか。


時は流れていく。


全てを飲み込んで。


全ては過去に。


触れなければ、忘れられる。


無かったことに。


それが現実か。


時の流れに歯向かってはいけないのか。


流れを体で止め、立ち止まってはいけないのか。


俺はたって顔を上げ流れの先を見つめたい。


いったいどうなっちまうのか。


見てみたい。


立ち止まって考えたい。


それは無意味か。


それは間違いか。


勢いづいて流れてその先に何がある。


作った子供に何をみせる。


潔い流されっぷりか。


命のリレーに参加する義務があるってか。


そんなの関係ねぇ。


そんなの関係ねぇ。


そんなしょうもない命つなぎたくないわ。


理不尽に犯罪が繰り返される。


命が奪われる。


時の流れは全てを押し流すだけ。


なんの救いもそこにはない。


流れが激しいので考えることがない。


そしてまた命が奪われる。


俺は立ち止まって考えたい。


どうすればいいのか、考えたい。


どうすれば命を守れるのか考えたい。


だったら病院へ行け。


医者になれってか。


救急隊に入れって。


俺は立ち止まりたい。


止まりたい。


ただ、考えたい。


経験や知識なんかつけたくない。


ただ考えたい。


流れる幸せなんかいらない。


時の風化に負けたくない。


その為に小さくなろう。


少しでも抵抗をおさえよう。


点になろう。


1979年に生まれた人間として


見極めた時点でとどまろう。


もう何も思いたくないのか。


思えばつらいか。


この世はつらいよ。


自分だけ見てりゃいいよ じゃ。


流れていくよ 命つきるまで。


つらいところは流すのね。


俺はつらいところをじっと見る。


ずっと じっと 見る。


解決できないけど見る。


流れを無視して見る。


そして考える。


一生懸命生きて、考えたい。


いいこととは何か。


どうすればいいのか。


自信を捨てても考える。


流れとは違う方向にのびたい。


まるで樹のように。





それでは、みなさん さようなら。





ゆうすけ:「いらっしゃいませ」


     「デニーズへようこそ!」
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