はかなく、おぼろげに時は流れて。
おまえさんはとっくに筋の向こう。
不確かなことしかなく、それでいて鮮明。
まったくもって、筋というやつは
やっかいである。
太陽が照っていても、光はあたる場所を
選ぶかの様に
とあるやからにばかり降り注いでいる。
どうにかならんかね。
筋を違えてしまっては、光さえも
届かぬというのか。
その、薄暗く不安な方は
間口をこれでもかと拡げて
わしらを包み込もうとしておる。
どうにかならんかね。
否。助けて下さい。
筋の向こうの輝く園には
思い出のみんなが笑顔で見ている。
おい。
僕は何を失ったのだろうか。
若さ。
あれは1990年代。
ヴィヴィットな色彩が印象的だった。
ある夏の日の記憶。
横須賀のプールに行って食べた
ワサビーフのおいしさ。
あんな感動を
今のオレは
見失った。陰気ですみません。
大切な人の涙
後悔が津波の様に押し寄せるのさ。Like a 3.11
手をつないで波に飲み込まれずにすむものか
あるいはオレが救われる方か
間違いなく救われる方だ。
下半身から壊れ始めることは分かっていたのさ。Like a virgine
流れが意識を超えるとき、それはオレの青いケツを染める。
波が徐々に引いていくが、わかるだろ、もうじき来る
もうじき来るあの恐ろしさを。助けて下さいと
心の声を。あのひとへ。
約束通りの第二波は胸まで達し逆流
おけを抱えたおれは必死にすがりつく
再び、元気になりたいと強く願う Like Eikichi Yazawa
のたうち回るオレを救ってくれるのはいつも君さハニー
君だけなんだ
悪臭と悪寒を超えれば見えてくる
穏やかな日常
君を傷つけ君に救われる
心にタールの様に絡み付くオレのサガ
ヘドロの様な雑念、欺瞞そんなものを
流しさって送れ Like Sada Masashi
なんだって失っていいんだ。君がいれば
もう僕はいなくなった
ここから先、静かで
穏やかで
明るい
日常というものが
待っているのだ。
2026.2.3