抱きしめて 夏 22

2008-07-20 | イラスト

ふと、空を見上げて思うんだ。


自分は何の為に生まれてきたのだろうかと。


生命保険の商売のためか、


それとも、他の何かの為か。


人には大きな使命があるという人がいたな。そういえば。


そうなのかな。


給料を稼いで、それで生活をエンジョイしてる今の私。


独身貴族。


聞こえはいいかもしれないが、心はからっぽさ。


金もゆとりもなかった10年前、私にはとても大切な人がいた。


だが、今はいない。


5日間の夏休みもただ、むなしく過ぎてゆくのだろう。


昨晩、感傷に浸ってからというもの私は今を生きる気力を失っている。


さて、部屋でウジウジしていてもはじまらない。


外へでて、缶ジュースでも飲むか。


私はさっと、麻のシャツを羽織り

表へでた。


今年は冷夏だ。


階段を下りる。


セミのにわかな鳴き声が、心細い。


最寄りの自販機は地下鉄の駅構内。


目的のある外出ってなんかいい。

たとえそれが些細なものでも。

私の存在自体が些細なのだから。


そして、自販機に到着。


BOSSをかう。


その場で飲む。


ふぅ。


目的が、消えちまった。



そのまま駅のベンチに腰掛けた。


改札から出てくる人たち。


私の心も知らず。


たまに、目が合う人がいる。


仕事だと、平気なんだけど


こうしている時には他人というのがえらく遠く感じる。


と、いうより悪魔に見える。


ふぅ。


どうしよ。これから。



その時、どういう脈略からか

とんでもないアイデアが湧き出てきた。


君に電話しよう。


10年間というもの、全くと言っていいほど

思い出さずにきた君を、昨晩から想い続けている。


君に電話しようではないか。


私が生まれてきたのは、他でもない。


君と過ごす為だ。


万に一つのチャンスではあるが


やってみるだけのことはある。


エベレスト登頂よりも難しいかもしれないが


それにかけてみたい。


私の目には俄然ちからが蘇った。


立ち上がり、空き缶を捨てる。




電話を、かけてみせる・・・
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抱きしめて 夏 21

2008-07-19 | イラスト



~ 10年後 ~



あの、


バーガー・ショップでの思い出は

今も私の心に深く刻まれています。


淡く、切なくそして眩かったあの日。


そのあとも君と私は楽しい日々を過ごしました。


つきあってから1年4ヶ月のある日


それとはなしに君が言い出した別れ話。


君と私の関係は終りましたね。


別に、つらくはなかったよ。


でもよく思い切れたよね、君は。

だって楽しい日だってあったじゃん

思い出したときさ、なんかいい日だったなって

ゆうのあったでしょ。

まるで君はエクスカリバーで切り裂くみたいにさ

二人の思い出もぶった切っちゃったようなもんだよ。

私は悲しむというよりは、その切断面の鮮やかさに

驚いたというかさ、君のことを全く理解してなかったってね。


ふう。


時間が、経過したから

今こうして語れる。

10年という歳月が、私にこれを語らせている。

少し前だったら無理だったな。

そんなものを皆に伝えようなんか

できないし、しようという発想がまず湧かない。


今、私は部屋で一人ブログを打つ。


当時とは違って営業の仕事をしている。

口べただったあの頃とは違う。

今は保険のセールスをやってるんだ。

顧客の8割は女性。


なんかさ、人の心を読むってゆうのかな

そういうのができるようになってさ。


今、もし君とあったら


あの日をもう一度後追いできるのなら

私はどうするだろう。


結構、自信あるよ。


もっとエンジョイできたと思うんだ。

私と君は。


ローレックスつけてるから、今の私は。

あの時はGショック。


目を閉じてみよう。


リラックス。


左耳にはエンジン音。


そう、トンネルを抜ければ、海が見える。

愛車のカローラは軽快な走りで国道を進んでいる。


「窓、開けてもいい?」


助手席の君はそう訪ねた。


私は頷く。


ボタンを押し そして窓ガラスが下がる。

そのボタンを押した君の指がとてもきれいだった。

私は見逃さない。そうしたディティール・・・。

しばらく見つめ続けた。運転なんか、関係ねえ。


開いた窓から風が車内へと運ばれる。


そして、最高のタイミングでトンネルを抜けた。


海だ。


風に海の香りがまじる。

太陽が海を照らしている。

キラキラとよせる波。


車は右折し左に海を見る。

君は海を見て喜んだね。

何故か、私は涙を流す。


「海っていいよね」


私は笑顔で返事をする。


見えているかい?私のローレックス。

国道の脇には趣味のよい店が建ち並ぶ。

レストラン、サーフショップ

ホテル、「オアシス」。

君と私の思い出がつまったホテル。



私はサーモンピンクの建物が好きだ。

信号まちのあいだ、私はサングラスを外す。

そして君を見つめた。


レイバンのサングラスをダッシュボードにしまい

再び車を動かす。


「何か聴こうよ」

君はそう言った。


私は無言でオーディオのスイッチを入れた。

TUBE

夏を抱きしめて

今じゃ懐メロ。なぜかものすごい哀愁に襲われる。


なんか人の心をつかむいろんなテクとかあったけど


この曲聞いてると、なんか


なんか、違うのかなって


私、なんか間違えてるのかなって


だから無言になっちゃって。


車は静かに進む。


10年前と全く変わらず。


君が着ていたポロシャツを私は忘れない。

今じゃそんなの着てる人だれもいないよ。

目的地の駐車場にようやく到着。

車を降りる。

まずは私から。

すると突風が背後から吹き付けた。

私は帽子を吹き飛ばされた。

それを見て君は笑った。

初めて見た君の笑顔に私は心を奪われた。

車内にいる君を私はずっと見つめていた。


我に返りドアを開ける。

そしていきなり


抱きしめた。




どうだ?


どうなんだ?


まるでなにも変わっていないのではないか。


君の前では私は私。

やり手のセールスマンではない

無口で、むっつりした

君のことを大好きなただの私でしか

ないんだ。


このまま君をはなしたくはない。


はなせば、この淡い空想も溶けるのだろう。


その先に待つ二人の分かれが。


だから、君をはなしたくはないよ。




目を開けると飲みかけのウメッシュ。


ほほには涙がつった後。


窓の外は夜。


あああ、夏休み。
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お知らせ

2008-07-09 | イラスト

次回予告


次回、「抱きしめて 夏」シリーズが再び始まります。

シーンズ3、そしてついに最終章。

君と、私の夏はどうなっていくのでしょうか。

目が離せない!


「抱きしめて 夏」

~乞うご期待~
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日記

2008-07-09 | イラスト
皆さん今晩は。

満★乳斎です。


今日はものすごく単純に日記をつづってみよう。

そんなパーソナルなものをのせるなんて!

いやらしい!


朝、10時に何故か目が覚めました。

そんなに暑くなくてホッとした。

まず朝一番でコンピューターを起動して

いろいろチェックした。


さっと着替える。

ビートルズTシャツ、ブラックにアップルマーク

ロゴ入り、メキシコ製。

ケミカルジーンズ。

最近流行のバナナ・ダイエットを俺もやってるので

朝食はバナナと、水だけ。むなし~!


愛犬ジェイと散歩に出かける。

やはり下痢便だ。


帰宅し、ジェイの餌をつくり食べさせる。

今はクスリがかかせない。それがないと死んでしまうんだ。

もう、1年以上通院しながら頑張ってるんだよ。

いつも餌にクスリを混ぜて食べさせるんだけど

最近クスリだけ外すという裏技を編み出して

そのクスリをマットの下に隠すという高度な技も

身につけているので、要注意なの。

お肉の缶詰に錠剤をめり込ませて

食べさせる。まんまと喰ったぜ へ。

さて、風呂はいりにいくか。

近所の浴場施設へいくことにした。

チャリンコで行くのでミュージックが必要だ。

今日手に取ったのはコンゴスの『ハート・オブ・ザコンゴス』

と、大滝詠一の『ゴー・ゴー・ナイアガラ』

リュックにそれらを詰め込んで

タオルを2枚いれてカギもって

小銭をある程度ポケットに押し込んで準備オーケー。

外に出て自転車にまたがった。

庭には花屋の荒井さんがいた。少し立ち話する。

「商売ってたいへんですね」

すーっとチャリンコをこいだ。


その施設まではチャリで5分。



ああああ、無意味だーっ。

何の意味もない日記はつかれるぜー

思い出すだけでもだるい。

忘れ去れるはずだった1日の記憶がここに書かれることで

残る。

うううう。

続けよう。


風呂の入場料400円を払って入る。

リネツ金沢。最高なのでお近くの方は是非行ってみてください。

さて、まずサウナへ直行。

すると、同世代の男がひとり既に入っていた。

長髪、左耳にピアス。

中肉中背。

かなりの強者と見た。

俺は10分でサウナから出たけど

彼はもっと頑張っていた。

水風呂へは入らず

シャワーを浴びる。

しばらく椅子に座ってたたずむ。

風呂につかる。

横でじいさんが体操していた。

風呂にいるのはさっきの男

俺、じいさんの三人。

これでも多い方。

だいたい俺一人だからね。


締めでサウナに5分はいる。

いい汗かいたな~。

出て、水をのむ。


フ~。


ビートルズTシャツきて、

ジーンズはいて

施設を出る。

出てすぐのベンチに腰掛ける。

真っ白の空の下、僕の頭も真っ白だ。


音楽を選ぶ。

ダブはちと、きついかということで

大滝さんを。このアルバムは入院していた時

いつも聞いていたもの。大好きなアルバム。

ヘッドホンを装着し、プレイ!

カキーンという野球の音。

ダンダダンダーン、とオープニング。

リズムに合わせ腰を上げ

チャリまで歩く。

そしてまたがり、出発。

スーっ。


この施設の横はゴミ処理場。

その横はコストコというアメリカンなスーパー。

浄化された俺はまずゴミを運ぶ車たちを

横切る。自転車というクリーンな乗り物でね。

今日すれ違ったドライバーはきれいな女性だった。

彼女とアイコンタクト。

次に現れるアメリカンな空間。

ここをアメリカと思い込んでいる人間がラフに

やってくる場所。俺はゴミ収集車以上にこっちを

汚く思う。汚れた目してるぜ。


さて、そろそろおなかも減ってきたな。

で、そのアメリカンなスーパーへ入ろうと

ここではピザとかチュロスとかを安くで食べられる。

そう思ったんだけど、会員証を忘れたので諦める。

それではどうしようかと。

チャリをこぎながら考えてみた。


そうだ!東急ストアで弁当買おう。


12時半ころだったけどいろいろあった。

にぎり寿司1パック、ゴーヤチャンプル

エビと豆のサラダ、するめいかの唐揚げ

マンゴーレアチーズ

を買う。


急いで家に帰り

庭を見るともう荒井さんは帰っていた。

手を洗って

お弁当をテーブルに拡げる。

なかなか、たっぷりしてますな~。

テレビでもみながら食べようかな。

ポチ・・・


ケーブルテレビのヒストリーチャンネルがついた。

『反キリストと何か』

モロ終末思想。大爆発。

なんか、昼食もシリアスになっちゃった。

メギドの丘の話とかね。


でズーンと沈んだところでMTVにした。

誰かはわかないけどひさびさにいい映像を見た。

すごいサイケ。


しばらく放心状態でテレビの前にいて

そして部屋に入って昼寝。


目が覚めると甥のフミが来ていた。

彼のかいたマンガを読ませてもらう。

タイトルは『ジ・エンド』

地球の終わりらしい。俺はフミに何も言ってないのだが・・・

何故だ・・・

内容はなかなかの秀作だった。

で、二人でお菓子を買いに再び東急ストアへ。

フミはウォーキーウォーキーというのが好きらしい。

確か小栗くんが宣伝してたやつだな。

古本屋へもいった。

何か買ってあげるよというと彼は北斗の拳を選んだ。

僕はろくでなしブルースを買った。

帰ってそのマンガを読む。

なつかしの90sへタイムスリップ。

やがてフミは姉が迎えにきて帰っていった。

日ももう暮れ、今日も終わりかって感じ。

あまりの意味のなさに我ながら笑う。

夕方のジェイの散歩に出かける。

やはり、下痢便だな~。


夕食は妹と出かけることにした。

歩きで和食のレストランさとへ。

ステーキ丼、そばセットをとった。

食事中、昨日みたインディ・ジョーンズの話をした。

あんなもんだよねって感じ。

実は、その劇中パブみたいなところで流れてた曲

俺の大好きな曲なんだけど、思い出せないんだ!

しかも、1957年の時代設定にあきらかにあってないと。

だから思いっきり気になった。ルーカスがそんなヘマする

はずはないけど、だとしたらなにかのサインなのか!?

ううう、でもその曲がなんなのか思い出せん!

もちろん持ってるし、頭から最後まで歌える。

この曲は一体なんなのだ!映画を見てるときもこれが気になって

見れたもんじゃなかった。夕食中もそれを思い出してもう

気はそぞろ。昼ご飯といい、今日はなんか邪魔がはいる。

ま、いいや。


夕食後、ツタヤへ。

気を取り直して何か見よう。

堤さん主演の『魍魎の匣』。

なかなかに面白い作品でした。映像がとても奇麗。

見終わって、おっ!

インディで気になってた曲が分かった!

サイモン&ガーファンクルのリトル・スージーだ!

で、俺がもってるのはセントラルパークライブの音源。

これが1981年だからおかしいと思ったんだ。

でも調べたらこれはオールディーズのカバーということで

なんの問題もなし。あるとすれば俺の頭。


で、すっきりしたところでこのブログを打ち始めて現在に至る

という訳。


ここまで読んでいただいたことに驚くとともに感謝いたします。


では、おやすみない。
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満★乳斎

2008-07-09 | イラスト
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