民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準という判例タイムズ社が出版している本がある。
この本は、事故の状況などを図入りで解説したもので、状況ごとの基本的な過失割合や修正要素が書かれている。
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岡崎が語る事故の状況は以下のようなものだった。
岡崎は2車線ある道路の右側を走っており、そこから対向車線を右方に横切ったところにある店に入ろうとしていた。対向車線も2車線あり、岡崎の車のすぐ横の車線は渋滞していたが、1台の親切な車が岡崎が右折できるように通り道を空けてくれた。
岡崎はこの車の運転手に対して会釈をし、空けてもらった道を抜けた次の瞬間だった。岡崎の車は、さらに右の車線を直進していたライトバンにはね飛ばされてしまった。
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「分かりました。では、相手の保険会社とは80:20の過失割合で交渉してみます。ただ、うまくいくかどうかは正直微妙なので、失敗した時は諦めてもらえますね?」
岡崎がこれに了承してくれたので、私は岡崎:相手 80:20で相手の保険会社と示談をし、お互いに譲歩した結果
岡崎:相手85:15で話がついた。
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ちなみに、岡崎が起こしたような、隣の車線の車に道を空けてもらった後にもうひとつ隣の車線の車と接触する事故は「サンキュー事故」と呼ばれており、よく起きる事故のひとつだ。車が陰になり、前方がよく見えないためである。
示談交渉人 吉田透
車が停車していない限り、過失割合はセロにはならなかっただろうか?
私からすると、いきなり横から飛び出してきた岡崎の方が、過失割合が100なんだけど。
相手の方は、よもや車が飛び出してくるとは思っていないだろう。
車を運転していると、確かに渋滞していて空けてくれる親切な人もいる。
車の陰に隠れて、バイクや自転車・人もみえづらくなるから「サンキュー」の時は、余計に左右確認を慎重にするように気を付けている。
最近、信号待ちをしていて歩行者用の信号が青に変わって歩き出そうとしたら、ブレーキの音が突然鳴り響いた。右からきていた自転車が、車用の信号をみていなかったみたいだった。
危うく難を逃れたけれど、普通に歩いて交通ルールを守っていても、事故は起こるものである。
だから余計に、車の運転は慎重にならざるを得ない。