私が損保代理店を始めて3年目のことだ。スーパーでの買い物を終えた私は自宅に帰るべく、駐車場に停めておいた車をバックで発進させた。その次の瞬間のことだ。
ドーン!という衝撃が車の後部に走り、私は慌てて車から降りた。どうやら、斜め後ろから発進してきた車とぶっかつてしまったようだ。
正直、圧倒的に私に分の悪い事故だ。
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「なんで名刺なんか渡したんだ」
相手は、私が当時代理店契約を結んでいたH火災のSC社員で、お叱りの連絡だった。話を聞くと、昨日の夕方に相手の父親がH火災に電話をかけ、文句をいってきたそうだ。
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「なんだかもめそうな相手だから、調停にかけたほうがいいんじゃないの?」
SC社員は私にそんなアドバイスをした。今思えばその通りにしておけばよかったのだが、私は当時調停を行ったことがなく、また、とにかく話が早くつけばよいと思い、その提案を黙殺することにした。
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過失割合について、H火災の物損事故のアジャスターは相手の出方次第だろうと言っていたが、結局、相手:私=0:100という結果になってしまい、修理代はまったく支払ってもらえなかった。
私は自分の経験不足を呪った。そして、交通事故の際には、知識と度胸がなければひどい目に遭うということを身をもって学習したのである。
示談交渉人 吉田透
素人だからわからないけれど、多分動いている車同士なら私(吉田さん)の過失割合は100ではないのだろう。
ずっと前に、私もスーパーで駐車しようとしたときに、バックしてきた車にあてられたことがある。
過失割合でいくと相手方の方が高かった。だが、保険会社からかかってきた電話の内容を聞いて呆然とした。
相手方が非を認めず債権放棄した為、自分の車の修理代は全て払わなければならないとのことだった。
自分の車が古すぎて、車両保険をつけていなかったためだ。
事故の加害者になった時・被害者になった時に、自分がどういった任意保険に入っているのか。
軽微な事故だからといって、警察や保険会社に連絡しないでいると、あとから問題が大きくなることもある。
また過失割合は、保険会社や代理店の経験と知識・アジャスター・当事者の主張などで、多少変わってくるということをこの本を読んだり、自分の経験則から知った。