~ 恩師のご著書「愚か者の独り言」より ~
講演集 一
「泥棒の幸せを祈る。」
先日、丹後のほうに招かれて行ってきました。
その時寄せていただいたお宅では、ご主人が信仰を持っておられて、
こういう話は余りお好きではなかったのですが、四回目になるその時、
初めてご主人も聞いてくださったのですね。
話が終わりまして夜、「先生、ほんとうにいい話を聞かせていただいて、
私はもう涙が止まりませんでした」と感激していただきました。
そのいい話といいますのは、実は丹後に行きました前夜のこと、
私の家に泥棒さんが入ってくれました。
ウイスキーの大瓶三つ程に
「私達よりもまだ不幸な恵まれない方の為に」と、
皆さんから十円、百円と気持ちだけ入れてもらっては一杯になれば
寄附させてもらっていたのです。
その大瓶は一杯詰めますと二十万円ぐらい入ります。
それを三つとも持って行かれました。
それと、現在私の所の道場は約三十畳あるのですが、
毎月第四日曜日のお話会に百二、三十人来られると一杯になるのです。
もう一膝前に詰めて下さい、もう一膝と言って坐ると、
足を崩す場所もない位になり、
それで、百二、三十人が入れる場所でして、
それでは狭いので、裏にある空地に二十畳
ほど出させていただいたのです。
それを建てるお金として、大工さんに支払う二百万円を置いておりました、
そのお金も、そのまま、持って行かれました。
正法、正しい教えを実践しており、
自分が正しい生活をしているから泥棒は入らない。
今迄は私は、家に泥棒は入りませんと言ってきたのです。
もう十五、六年、戸締り一つしたことがなく、
お金も治療室に置いたままでした。
正しい生活をしておりましても、やはり表を開けっ放しておきましたら、
泥棒は入ります。
だから、どんなに正しい生活をしておりましても、すべき事をしないと、
例えば、正しい生活をしたら病気はしないか、
或いは苦しみは来ないかと言いますと、
やはりその面で欠けた所に苦しみは現れます。
ちょうど宮津のほうで皆さんが待ってくれていますので、
泥棒が入ったといって構っている暇もなくて、
私が出かけてから警察へ盗難届を出すようにお願いをして、
家を放ったらかして行ったのですね。