生涯いちエンジニアを目指して、ついに半老人になってしまいました。

その場考学研究所:ボーイング777のエンジンの国際開発のチーフエンジニアの眼をとおして技術のあり方の疑問を解きます

メタ思考の国家プロジェクト

2022年06月19日 08時11分21秒 | 様々な「メタ」、メタとは何か(公開)
さまざまなメタシリーズ 83             その場考学研究所 

社会学系のメタ 24        
TITLE:メタ思考の国家プロジェクト(2022.6.20)

 過去から現在まで、国家の大型プロジェクトはいくつもあったが、それらを中国の場合と比べると、彼らとの戦略性の違いが見えてくる。中国の巨大な国土と人口と複雑な民族関係の中では、常にメタ的な視点からの発想が必要とされているのだが、我が国の場合には戦略性が見えない場合が多い。

週刊東洋経済(2022.3.26)に「財新」(中国の独自経済報道)の記事には、
南水北調;南部の豊富な水資源を北部に送る
西気東輸;西部で生産される天然ガスを東部地域に送る
西電東送;西部の山間部の水力発電の電気を東部に送電する
東数西算;東部地域の大量なデジタルデータを、西部地域で演算処理する
この4つが示されている。

 日本は、南北に長く、また東西では歴史的な文化の違いに特徴がある。しかし、国家的なプロジェクトは常に全国平等が建前になっている。一例が地方活性化なのだが、地域ごとの国家に対する役割が、前述の中国のようには明確でない。

 中国風に発想をすれば、例えば、北海道の役割(主機能)、東北地方の主機能は何かを考えると、酪農や大規模耕地農業は、北海道の主機能になるのだが、同じことを全国どこでもやろうとしている。
 東北地方の主機能は、林業と米作かもしれない。しかし、米つくりも全国各地で競っているが、適材適所ではない。発電で考えれば、北海道と東北地方は、地熱が良い。温熱の利用価値も高くなる。
 地方活性化プロジェクトも、この様に先ずはおお繰りの地方の地政学的な特徴から、それに適した主機能を策定して、その後、その地方の県なり、主要都市でそれをどのように機能分担することが全体最適になるかの手順が求められる。

 このように考えると、やはりこの場合にも日本的な取り組みは、基本的な戦略を曖昧にしたままで、いきなりのWhat &How だが、中国ではWhyから始まっているように思えて仕方がない。

その場考学半老人 妄言