メタエンジニアの眼シリーズ(89) TITLE: これからの優良企業
書籍名;「これからの優良企業」 [2008]
著者;安井孝之 発行所;PHPビジネス新書
発行日;2008.7.2
初回作成日;H30.9.2 最終改定日;H30.9.22
このシリーズは経営の進化を考える際に参考にした著作の紹介です。『 』内は引用部分です。
副題は「エクセレント・カンパニーからグッド・カンパニーへ」。内容は、当時の日本における優良会社と思しきものの内容の紹介であった。しかし、言葉の定義に興味がわき、その部分だけを引用する。
・エクセレントからグッドヘ
『エクセレント・カンパニー(優れた会社) とグッ ド、カンパニー(いい会社)。どちらを 目指すかで、会社のイメージは違ってくる。エクセレント・カンパニーになるには「成長率が高い」「利益率が高い」「ヒット商品が多 い」といった数値に置き換えることができる経営指標が優れていな ければならない。それに対してグッド・カンパニーから受けるイメ ージは、「働きやすい」「環境に優しい商品を作っている、売っている」「社員がいきいきしている」「女性に優しい」といった定性的な評価が高い、ということだろう。21世紀の会社はどちらを目指すべきなのか。』(pp.142)
続けて、
『エクセレント・カンパニ ーになることは、いわば会社として存在するための必要条件である。その上で、会社がグ ッド・カンパニーを目指すことは、株主にとどまらず、社員、消費者、地域住民など多くのステークホルダー(利害関係者)から信頼を受け、尊敬される存在に進化することを意味する。会社が目指す目標は「エクセレント」にとどまるのではなく、「グッド」に上げ るべきなのだ。それが21世紀の会社の存在意義である。』(pp.142)
さらに続けて、
『21世紀はポスト産業資本主義の時代と言われる。お金や設備だけを持っていても、他社を上回る価値を生み出すことができない時代である。必要なのは経営陣や社員が持つ、知恵や技術、創意工夫といった一人ひとりの能力の高さであり、それを引き出す組織作りである。 そのためには「働きやすい」「社員がいきいきしている」といったグッド・カンパニー の要素が必要になってくる。』(pp143.)
・守れない社是・社訓
『ほとんどのエクセレント・カンパニー(優れた会社) とグッ ド、カンパニー(いい会社)には社是や社訓、起業理念といったものがある。いずれもなるほど立派だと思うものが多い。だが、社員が社是、社訓を意識するのは入社時の研修ぐらいで、その後は見たこともない、ということになりがちだ。住友家の家訓には「浮利を追わず」というものがあったが、住友銀行(現三井住友銀行)がバブル時代に「浮利」に走り、イト マン事件に関わったのはあまりに有名だ。
なぜ社是や社訓は守られないのか。企業理念を実現し、グッド・カンパニーになるにはどうすればよいのかを考えてみたい。』(pp.162)
・具体例について
①リッツ・カールトンで毎日開かれる会議
『07年8H20日の午後1時40分、高級ホテルのザ・リッツ・カールトン大阪。玄関脇の荷 物置き場で始まった会議をのぞいてみた。 「今目はゴールド・スタンダード12番です」。ベルキャプテンの伊藤宏昭さんが司会をし、ドアボーイら5人が集まっていた。「ラインナップ」と呼ばれる就業前の会議である。毎日15分程度、全世界66の同ホテルチェーンで同じテーマで「ラインナップ」が開かれる。 ゴールト・スタンダードは経営理念や客へのサービスの眼目を示したもので、16項目あ る。そのうち12項日は「サービス・バリューズ(サービスの価値)」。少し長いが紹介する。』(pp.162)
『07年8月20日のテーマは12番。「妥協のない清潔さ」と「安全で事故のない環境」の実 現だった。この日は、リッツ・カールトンで働くパート社員も含めた全世界の3万2千人が同じ課題を考える。課題は16日間で一巡するから、ほぽ1カ月で同じ課題を2回考える ことになる。 伊藤さんは先輩から聞いた話をみんなに紹介した。 「できるホー丁ルマンのポケットは。コミでぱんぱんに膨らんでいる」 床に落ちたどんなに小さなゴミも、ポケットに人れてきれいにするからだという。』(pp.165)
②トヨタの場合
『トョタの渡辺社長の背広のポケットには「豊田綱領」が入っている。創始者、豊田佐吉の考え方をまとめたもので、
・上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし。
・研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし。
・ 華美を戒め、質実剛健たるべし。
・ 温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし。
・ 神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし。
と書かれている。渡辺社長は、判断に迷った時には豊田綱領を読み返し、原点に戻っ て、考えるという。当たり前の事を繰り返し、そして向上させてゆく努力が、会社をよく してゆく。』(pp.168)
「企業の進化」の道筋は、エクセレント・カンパニー(優れた会社)からグッ ド、カンパニー(いい会社)へ向かうことであった。それには、社是や社訓、起業理念といったものを、日常的に思い起こし、それに向かって全員が実行に移すシステムが存在することが必要条件になる。
翻って、技術者の場合はどうだろうかを考えた。やはり、工学オンリーのエンジニアではなく、メタエンジニアであることが、必要十分条件になってくる。
書籍名;「これからの優良企業」 [2008]
著者;安井孝之 発行所;PHPビジネス新書
発行日;2008.7.2
初回作成日;H30.9.2 最終改定日;H30.9.22
このシリーズは経営の進化を考える際に参考にした著作の紹介です。『 』内は引用部分です。
副題は「エクセレント・カンパニーからグッド・カンパニーへ」。内容は、当時の日本における優良会社と思しきものの内容の紹介であった。しかし、言葉の定義に興味がわき、その部分だけを引用する。
・エクセレントからグッドヘ
『エクセレント・カンパニー(優れた会社) とグッ ド、カンパニー(いい会社)。どちらを 目指すかで、会社のイメージは違ってくる。エクセレント・カンパニーになるには「成長率が高い」「利益率が高い」「ヒット商品が多 い」といった数値に置き換えることができる経営指標が優れていな ければならない。それに対してグッド・カンパニーから受けるイメ ージは、「働きやすい」「環境に優しい商品を作っている、売っている」「社員がいきいきしている」「女性に優しい」といった定性的な評価が高い、ということだろう。21世紀の会社はどちらを目指すべきなのか。』(pp.142)
続けて、
『エクセレント・カンパニ ーになることは、いわば会社として存在するための必要条件である。その上で、会社がグ ッド・カンパニーを目指すことは、株主にとどまらず、社員、消費者、地域住民など多くのステークホルダー(利害関係者)から信頼を受け、尊敬される存在に進化することを意味する。会社が目指す目標は「エクセレント」にとどまるのではなく、「グッド」に上げ るべきなのだ。それが21世紀の会社の存在意義である。』(pp.142)
さらに続けて、
『21世紀はポスト産業資本主義の時代と言われる。お金や設備だけを持っていても、他社を上回る価値を生み出すことができない時代である。必要なのは経営陣や社員が持つ、知恵や技術、創意工夫といった一人ひとりの能力の高さであり、それを引き出す組織作りである。 そのためには「働きやすい」「社員がいきいきしている」といったグッド・カンパニー の要素が必要になってくる。』(pp143.)
・守れない社是・社訓
『ほとんどのエクセレント・カンパニー(優れた会社) とグッ ド、カンパニー(いい会社)には社是や社訓、起業理念といったものがある。いずれもなるほど立派だと思うものが多い。だが、社員が社是、社訓を意識するのは入社時の研修ぐらいで、その後は見たこともない、ということになりがちだ。住友家の家訓には「浮利を追わず」というものがあったが、住友銀行(現三井住友銀行)がバブル時代に「浮利」に走り、イト マン事件に関わったのはあまりに有名だ。
なぜ社是や社訓は守られないのか。企業理念を実現し、グッド・カンパニーになるにはどうすればよいのかを考えてみたい。』(pp.162)
・具体例について
①リッツ・カールトンで毎日開かれる会議
『07年8H20日の午後1時40分、高級ホテルのザ・リッツ・カールトン大阪。玄関脇の荷 物置き場で始まった会議をのぞいてみた。 「今目はゴールド・スタンダード12番です」。ベルキャプテンの伊藤宏昭さんが司会をし、ドアボーイら5人が集まっていた。「ラインナップ」と呼ばれる就業前の会議である。毎日15分程度、全世界66の同ホテルチェーンで同じテーマで「ラインナップ」が開かれる。 ゴールト・スタンダードは経営理念や客へのサービスの眼目を示したもので、16項目あ る。そのうち12項日は「サービス・バリューズ(サービスの価値)」。少し長いが紹介する。』(pp.162)
『07年8月20日のテーマは12番。「妥協のない清潔さ」と「安全で事故のない環境」の実 現だった。この日は、リッツ・カールトンで働くパート社員も含めた全世界の3万2千人が同じ課題を考える。課題は16日間で一巡するから、ほぽ1カ月で同じ課題を2回考える ことになる。 伊藤さんは先輩から聞いた話をみんなに紹介した。 「できるホー丁ルマンのポケットは。コミでぱんぱんに膨らんでいる」 床に落ちたどんなに小さなゴミも、ポケットに人れてきれいにするからだという。』(pp.165)
②トヨタの場合
『トョタの渡辺社長の背広のポケットには「豊田綱領」が入っている。創始者、豊田佐吉の考え方をまとめたもので、
・上下一致、至誠業務に服し、産業報国の実を挙ぐべし。
・研究と創造に心を致し、常に時流に先んずべし。
・ 華美を戒め、質実剛健たるべし。
・ 温情友愛の精神を発揮し、家庭的美風を作興すべし。
・ 神仏を尊崇し、報恩感謝の生活を為すべし。
と書かれている。渡辺社長は、判断に迷った時には豊田綱領を読み返し、原点に戻っ て、考えるという。当たり前の事を繰り返し、そして向上させてゆく努力が、会社をよく してゆく。』(pp.168)
「企業の進化」の道筋は、エクセレント・カンパニー(優れた会社)からグッ ド、カンパニー(いい会社)へ向かうことであった。それには、社是や社訓、起業理念といったものを、日常的に思い起こし、それに向かって全員が実行に移すシステムが存在することが必要条件になる。
翻って、技術者の場合はどうだろうかを考えた。やはり、工学オンリーのエンジニアではなく、メタエンジニアであることが、必要十分条件になってくる。