ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『バッタを倒すぜ アフリカで』

2024-12-10 23:36:19 | 
『バッタを倒すぜ アフリカで』 前野ウルド浩太郎 光文社新書
 自分の婚活よりバッタの婚活!? 日本、モーリタニア、モロッコ、アメリカ、フランス――世界中を飛び回り、13年にわたり重ねてきたフィールドワークと実験は、食糧危機の原因となるバッタの大発生を防ぐ可能性を持っていた! 
 分厚くて、読むのにたじろぐ。さくさくとは言えないが、まあまぁ、読み終える。前作と比べると、学術的要素が多い印象。でも、クスリと笑ってしまう文章は健在。とくに、ティジャニの章は、おもしろい。わざわざ一章もうけるだけはある。そう、表紙にバッタの格好をしている人が二人いて、「誰?」と思っていたが、左側がティジャニなのだ。作者は、「良いお金の使い方をすると後で嬉しい形で帰って戻ってくる」と言うが「それって大丈夫なの?」という使い方をするのでハラハラする。また、ハイインパクトジャーナルに論文を載せる過程が興味深かった。
 そして、最後の章が作者が研究を続けられた理由を考察していて、為になった。笑顔で元気に挨拶、些細なことでもお礼を言うこと。さらに、「人生失敗したもん勝ち」と言う。失敗した分、大切なポイントに気づくと。普通の人は、気づかず、又、同じ失敗を繰り返しがち。(私のことである)なかなかできないことであるが、失敗しても気づきがあればよいのだと思えば、前向きになれる。
 あっ、夢や進路を見つけるためには、憧れる大人を見つけるとともに読書も大切と書いてあった。うん、ボランティアで読み聞かせをしている私には嬉しい言葉だ。
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『地雷グリコ』『うらはぐさ風土記』

2024-12-03 23:03:22 | 
『地雷グリコ』 青崎有吾 KADOKAWA
 射守矢真兎(いもりや・まと)。女子高生。勝負事に、やたらと強い。平穏を望む彼女が日常の中で巻き込まれる、風変わりなゲームの数々。罠の位置を読み合いながら階段を上ったり(「地雷グリコ」)、百人一首の絵札を用いた神経衰弱に挑んだり(「坊主衰弱」)。次々と強者を打ち破る真兎の、勝負の先に待ち受けるものとは――
 読んでいて、「えっえっ、どういうこと???」と私の頭は理解するのに時間がかかった。グリコやだるまさんが転んだなどのゲームが、ちょっと独自のルールを加えるだけで、ものすごく頭脳戦になる。すごいな。ゲームのルールを守りながら、ルールの穴や解釈で思いもつかない方法で相手を負かす。心理戦でもあり、伏線回収がやばい。作者は、どんな頭脳の持ち主かと思う。

『うらはぐさ風土記』 中島京子 集英社
 30年ぶりにアメリカから帰国し、武蔵野の一角・うらはぐさ地区の伯父の家にひとり住むことになった大学教員の沙希。そこで出会ったのは、伯父の友人で庭仕事に詳しい秋葉原さんをはじめとする、一風変わった多様な人々だった。コロナ下で紡がれる人と人とのゆるやかなつながり、町なかの四季やおいしいごはんを瑞々しく描く物語。
 ほんわか、じんわりする。ご飯も美味しそう。
 個人的には、私の好きなブルーチーズのスティルトンが出てきてうれしかった。スティルトンを食べると不思議な夢を見るんだって?
 あと、日本兵のPTSD。父が学生だった頃、ある家の人が、よく屋根にのぼって日本刀を振り回していたと聞いたことがある。その人も戦争によるPTSDだったのかもしれない。
 
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『この父ありて』『アーサー王物語』

2024-11-13 20:59:53 | 
『この父ありて 娘たちの歳月』 梯久美子 文藝春秋
 石牟礼道子、茨木のり子、島尾ミホ、田辺聖子、辺見じゅん……。不朽の名作を生んだ9人の女性作家たち。唯一無二の父娘(おやこ)関係が生んだ、彼女たちの強く、しなやかな生涯。
 父を含めた家族の物語。友達は「しょうもなかった」と言っていたが、私は、おもしろかった。どの話も興味深くて圧倒された。

『アーサー王物語』 ジェイムズ・ノウルズ 金原瑞人訳 偕成社文庫
 魔術師マーリンに守られ、不思議な運命を持って生まれたアーサー王。岩から剣をひきぬき、王となるや、名剣エクスカリバーを手に入れ、ブリテン国を統一する。アーサー王と円卓の騎士たちの物語。
 Kroiの歌にアヴァロンとあり、アーサー王物語にアヴァロンが出てくると聞き、読んでみた。
 まず、岩から引き抜いた剣がエクスカリバーだと思っていたが、違った。湖の姫からもらったのがエクスカリバーだった。
 アーサー王物語というよりは、アーサー王と円卓の騎士の物語。
 登場人物が多くて、自分で家系図を書きながらじゃないと こんがらがった。とにかく、瀕死になるまで戦うから、命がいくつあっても足りないんじゃないかと思う。
 
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『名画を見る眼』『無人島ロワイヤル』『どうしてパパとけっこんしたの?』

2024-10-22 07:36:13 | 
『カラー版 名画を見る眼Ⅰ 油彩画誕生からマネまで』 高階 秀爾  岩波新書
 名作はどのように生まれたのだろうか? 本書は、西洋絵画の本質について一歩進んで理解したいとする人びとの願いに応えて執筆された西洋美術鑑賞の手引きである。一枚の絵に隠された芸術家の意図、精神性を探りながら歴史を一望する。
 私は知らなかったが、著者の高階先生は、知る人ぞ知る重鎮なのだとか。昔書かれたものを絵をカラーにして。
 カラー版で絵があるので、わかりやすい。また、こんなところにこんなものが描かれていたのか とか、これには約束事があったのか とかなど、説明してもらえるのでわかりやすい。Ⅱもあるが、Ⅰに比べて私には少し難解だった。でも、おもしろい

『無人島ロワイヤル』 秋吉理香子 双葉社
 「無人島に3つ持っていくとしたら?」初夏の夜、この定番の他愛ない話題で盛り上がっていたバーの常連たちは、マスターの告げた一言「俺、無人島持ってるよ」でさらに沸く。かくして、彼らは3つのアイテムのみを手に無人島を目指すことに。だが、一夜明けると、マスターとヨットは消え、代わりにビデオメッセージが残っていた。「これからバトルロワイヤルをやってもらいます」 そして、最後に残った一人には「10億円の賞金」がもらえるという――。
 裏切りが怖い。下司さがなんともいえない。紅一点のりりこには、とことんおバカキャラを演じてもらいたいところだが、途中から覚醒するのだ。
 最後にバーのマスターの一人語りが聞きたいところだ。
 果たして、私ならば無人島に何を持っていき、誰を信じるか?
 
『どうしてパパとけっこんしたの? どうぶつたちそれぞれのこたえ』 桃戸栗子 福音館書店
 動物によってそれぞれ違う求愛行動。メスはどうやってオスを選ぶのか……動物の生態をベースにしつつ、ユーモアあふれる親子のやりとりが楽しい内容。
 絵本。へぇー、そうなんだと思うことたくさん。動物によってプロポーズは違うのね。最後のタヌキの答えには、大人はちょっと心揺さぶれるかも。関係ないが、ゴリラがイケメン。
 一歳半の孫に読んだら、パパという単語が出てくるたびにパパを指さし、ニッコリしていた。動物がたくさん出てくるし、繰り返しがあるので好きみたい。幼稚園くらいの子は「ママは、どうしてパパとけっこんしたの?」と親に聞くらしいが、まだ孫はしゃべれないので、聞いていない。
 
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『続 窓ぎわのトットちゃん』『スラムに水は流れない』

2024-09-16 22:40:06 | 
『続 窓ぎわのトットちゃん』 黒柳徹子 講談社
 泣いたり、笑ったり……トットの青春記。
 一作目のようなインパクトは少ない。しかし、徹子さんやお母さまのバイタリティーや創意工夫には脱帽。
 そして、何よりも徹子さんの反戦の気持ちが伝わってきた。

『スラムに水は流れない』 ヴァルシャ・ハジャージ 村上利佳訳 あすなろ書房
 そもそもの問題は、水がたりないことだった。インド有数の大都会ムンバイ。12歳のミンニと15歳の兄サンジャイが暮らすスラムには、ムンバイの人口の40パーセントが住んでいるにも関わらず、水は市全体の5 パーセントしか供給されていない。水不足がきびしくなる三月のある夜、サンジャイが「水マフィア」を目撃してしまい……。
 児童書。
 安全な水を飲むために煮沸しないといけない、水を確保するために並んで水を汲みにいかなくてはいけない。いまだ残るカースト制の差別。ミンニの周りには問題が山積。しかし、勉強が好きなミンニが勉強を続けられるように大人たちは助けてくれている。ミンニも前を向いて頑張る。
 そして、水を違法に盗む水マフィアを告発するミンニと友達。始めは電話をしても警察官に笑われて切られてしまう。しかし、知恵と勇気をもって行動をおこす。ミンニは、偉いなあ。
 暮しをよくするためのアプリの案を考える場面は、明るい未来が見えるようでよかった。世界の子どもたちの勉強が中断されない環境を望む。
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