ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『弧篷のひと』『まほろば』

2020-08-31 22:06:57 | 
『弧篷のひと』 葉室麟 角川文庫
 戦国乱世を生き抜き、徳川の天下となったのちも、大名として、茶人として名を馳せた小堀遠州。おのれの茶を貫くために天下人に抗った千利休、古田織部とは異なり、泰平の茶を目指した遠州が辿り着いた“ひとの生きる道”とは。「白炭」「投頭巾」「泪」…茶道具にまつわる物語とともに明かされるのは、石田三成、伊達政宗、藤堂高虎など、戦国に生きた者たちによる権謀術数や、密やかな恋―。
 これはおススメ。人との出会いから語られる茶道具にまつわる裏話というか、歴史の裏面というか。話がとにかく上手く、心へ静かに染み入る。遠州を好きになる。
 「泪」「雨雲」がいい。

『まほろば 時のむこう、飛鳥』 倉本由布 アリス館
 幼い頃に行方不明になった兄の丈瑠を探すため、明日香村へやってきた真秀。足もとで光った勾玉の導きでたどり着いた先は、なんと古代の日本、飛鳥時代だった……。
 児童書。楽しく読めた。乙巳の変って何?と思ったら、大化の改新の第一段階だとか。歴史の別解釈とタイムスリップと合わしたような話だが、ちょっと物足りなさもある。もっとワクワクしたかったかな。
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『最後の言葉の村へ』『文藝春秋2020年9月号』

2020-08-30 23:08:00 | 
『最後の言葉の村へ 消滅危機言語タヤップを話す人々との30年』 ドン・クリック 上京恵訳 原書房
 言語が消えるとき、何が消えるのか?グローバリズムに呑み込まれゆくパプアニューギニアの村ガプンの人々と寝食を共にし、消滅危機言語を30年間にわたって調査してきた言語人類学者によるルポルタージュ。
 お下品な言葉使い、子供への接し方、若者のラブレター等、民俗学的にもおもしろいと思う。若者が消えゆく言葉をしゃべると長老たちに違うと馬鹿にされるので、しゃべらないという理由には驚いた。また、熱帯雨林の奥の村に日本軍が来たという話にはビックリ。強盗に襲われ、村人が殺されたことも。そして、だまされるばかりの村人に胸が痛んだ。

『文藝春秋2020年9月号』
 芥川賞受賞作を読む。今期の芥川賞は、読みやすくておもしろかった。
『破局』 遠野遥
 私を阻むものは、私自身にほかならない――ラグビー、筋トレ、恋とセックス。ふたりの女を行き来する、いびつなキャンパスライフ。
 突き放したような文体と虚無感がなんともいえない雰囲気をもっている。出てくる人たちが少しずつずれているのが怖い感じ。でも、世間の人って何かが少しずつずれているものかも。
『首里の馬』 高山羽根子
 沖縄の古びた郷土資料館に眠る数多の記録。中学生の頃から資料の整理を手伝っている未名子は、世界の果ての遠く隔たった場所にいるひとたちにオンライン通話でクイズを出題するオペレーターの仕事をしていた。ある台風の夜、幻の宮古馬が庭に迷いこんできて……。
 オペレーターの相手に驚く。孤独を意識させられるが、人はつながっていたい生き物なのだと再確認させられた。
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『なごみ』の丸ちゃん

2020-08-28 21:28:05 | 関ジャニ∞
 お茶の裏千家の雑誌『なごみ』に丸ちゃんが載っているとか。早速、買ってきた。

「男のきもの」に丸ちゃんが載っている。茶箱の月点前をしている。丸ちゃんの二つわけの髪型が私は嫌いだが、『なごみ』の丸ちゃんは、カッコイイ。丸ちゃんは、和装が似合うなあ。ぴんと伸びた指先が美しい。
 忙しくて最近はお稽古に行けてなかった丸ちゃん。丸ちゃんの言葉どおりに自分らしく、ゆるく長く続けてください。同じお茶をする者同士、がんばろうね!
  
 以前に書いた丸ちゃんのお茶に関するブログはこちら。


ということで「こぼれ萩」で薄茶をいただく。 私は、萩の花が好き。
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「よみがえる正倉院宝物」

2020-08-26 22:09:07 | 美術鑑賞
「よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技-」 2020年7月4日~9月6日 奈良国立博物館
休館日:毎週月曜日 開館時間:午前9時30分~午後5時、毎週金曜日は午後7時まで

右上 模造金銀荘横刀
右中 模造酔胡王面
右下 模造螺鈿玉帯箱 中の内張も美しい
中央 模造螺鈿紫檀五絃琵琶
左上 摸造蘇芳地金銀絵箱 表からは見えない底の裏まで模様がある。
左中 模造黄金瑠璃鈿背十二稜鏡
左下 模造黄銅合子


模造螺鈿紫檀五絃琵琶 隅々まで飾りをほどこしてあることに驚く。玳瑁は、裏から彩色して使っているとか。材料集めに時間がかかり、完成まで15年かかったという。


右 模造螺鈿紫檀五絃琵琶 表
左            裏 
中 模造黄金瑠璃鈿背十二稜鏡 七宝製。花びらは一枚ずつくっつけるようにして作られている


右上 模造七条織成樹皮色袈裟
右中 模造金銀鈿荘唐大刀
右下 摸造赤地唐花文錦
左上 模造螺鈿箱
左下 模造螺鈿紫檀五絃琵琶


右上 模造黄金瑠璃鈿背十二稜鏡
右中 摸造蘇芳地金銀絵箱
右下 模造金銀荘横刀
左上 模造酔胡王面
左下右 模造螺鈿紫檀五絃琵琶
左下左 模造黄銅合子

 模造品だと侮るなかれ。職人が忠実に再現した技に感嘆してしまう。また、現代の最新技術が再現を可能にするという。1300年前当時の美しい色彩がよみがえっている。正倉院展では、銀など変色してしまって黒くなり、せっかくの文様が見づらかったりする。しかし、本展覧会では、模様がはっきりと見ることができる。当時の技と現代の技と、時空を超えて技のすばらしさを感じることができる。

●模造紅牙撥鏤撥 かわいい。横から見ると薄い
●模造袈裟箱 飾りはなく、シンプルな塗の箱。こういうただの箱が難しいと思う。
●模造箭 矢羽根の山鳥とおしが美しい
●模造筆 筆のキャップがすごい
●模造黒柿蘇芳染金銀山水絵箱 私が一番好きな作品。金銀で描く山水が美しい。


螺鈿箱レプリカ缶飴をお土産に買った。
五絃琵琶のフィギュアを買えばよかったと後で思った。


 

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『少年と犬』

2020-08-25 21:52:50 | 
 関ジャニ∞関西デビューの日、おめでとうございます!で、関ジャニ∞の「Re:LIVE」のブルーレイ盤の話をしようと思ったのですが、長くなりそうなので今度にします。

『少年と犬』 馳星周 文藝春秋
 2011年秋、仙台。震災で職を失った和正は、認知症の母とその母を介護する姉の生活を支えようと、犯罪まがいの仕事をしていた。ある日和正は、コンビニで、ガリガリに痩せた野良犬を拾う。多聞という名らしいその犬は賢く、和正はすぐに魅了された。その直後、和正はさらにギャラのいい窃盗団の運転手役の仕事を依頼され、金のために引き受けることに。そして多聞を同行させると仕事はうまくいき、多聞は和正の「守り神」になった。だが、多聞はいつもなぜか南の方角に顔を向けていた。多聞は何を求め、どこに行こうとしているのか……。
 直木賞受賞作。読みやすく、おもしろい。私たちは、現実に何が起こるのかを知っている。だから、次の展開を勝手に想像してしまい、ドキドキした。多聞は、「守り神」なのか「疫病神」なのか?短編が多聞という犬でつながって、最後に謎がとける。えっという展開もあり、驚いたり、ほろりとしたり。まあまあ、よかった。
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