『ミシンと金魚』 永井みみ 集英社
認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。父から殴られ続け、カケイを産んですぐに死んだ母。お女郎だった継母からは毎日毎日薪で殴られた。兄の勧めで所帯を持つも、息子の健一郎が生まれてすぐに亭主は蒸発。カケイと健一郎、亭主の連れ子だったみのるは置き去りに。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続けるカケイの腹が、だんだん膨らみだす。そして、ある夜明け。カケイは便所で女の赤ん坊を産み落とす。その子、みっちゃんと過ごす日々は、しあわせそのものだった。それなのに――。
カケイのエピソード一つ一つが強烈。兄と広瀬のねーさんが、はちゃめちゃなようで優しい。
亡くなった祖母を思い出した。祖母は母(祖母には娘)の言うことを「はい、はい」とあきらめたように聞いていた。その姿がカケイさんの「あい」という返事とダブった。祖母は、昔、「末っ子で可愛がられて大事に育ったから、当時としては婚期が遅れてしまった」と言っていた。戦時中に子育てして大変な思いをしたと思うが、幼少期の幸せな記憶があって良かったのかな。私には、ただただ優しい祖母だった。細長い葉っぱでくるんだお饅頭とか、片付けが下手くそなとことか、懐かしい。
認知症を患うカケイは、「みっちゃん」たちから介護を受けて暮らしてきた。ある時、病院の帰りに「今までの人生をふり返って、しあわせでしたか?」と、みっちゃんの一人から尋ねられ、カケイは来し方を語り始める。父から殴られ続け、カケイを産んですぐに死んだ母。お女郎だった継母からは毎日毎日薪で殴られた。兄の勧めで所帯を持つも、息子の健一郎が生まれてすぐに亭主は蒸発。カケイと健一郎、亭主の連れ子だったみのるは置き去りに。やがて、生活のために必死にミシンを踏み続けるカケイの腹が、だんだん膨らみだす。そして、ある夜明け。カケイは便所で女の赤ん坊を産み落とす。その子、みっちゃんと過ごす日々は、しあわせそのものだった。それなのに――。
カケイのエピソード一つ一つが強烈。兄と広瀬のねーさんが、はちゃめちゃなようで優しい。
亡くなった祖母を思い出した。祖母は母(祖母には娘)の言うことを「はい、はい」とあきらめたように聞いていた。その姿がカケイさんの「あい」という返事とダブった。祖母は、昔、「末っ子で可愛がられて大事に育ったから、当時としては婚期が遅れてしまった」と言っていた。戦時中に子育てして大変な思いをしたと思うが、幼少期の幸せな記憶があって良かったのかな。私には、ただただ優しい祖母だった。細長い葉っぱでくるんだお饅頭とか、片付けが下手くそなとことか、懐かしい。