『パシヨン』 川越宗一 PHP研究所
キリシタン大名・小西行長の孫で、対馬藩主・宗義智の子として生まれた彦七(のちの小西マンショ)の運命は、関ヶ原の戦さによって大きく変わった。離縁された母・マリヤとともに彦七は長崎へ。キリシタンへの迫害から逃れてきた、小西家の遺臣らの世話になりながら成長していく彦七だったが、彼には小西家再興の重圧がのしかかっていく。キリスト教が禁じられ、信徒たちの不安が高まるなか、彦七はある重大な決断を下すのだが……。
パシヨンは、「情熱」だと思っていたが「受難」だった。
分厚さにたじろぐが、読みだすと一気だった。キリスト教禁止の時代に最後の日本人司祭となった小西彦七と幕府の禁教政策を推進する井上政重の人生が交差して、重厚で見事な物語。始めに出てきた人がラストで再登場するのは、伏線が回収されるようで気持ちがよかった。しかし、キリスト教徒への拷問は、胸糞悪い。
同じ日本人でも宗教が違うことで諍いがあり、同じキリスト教徒同士でも派が違うことから諍いがあるという話から、ロシアとウクライナ、イスラエルとアラブの戦争を思った。争いはなくならないのか?人間って変わらないのだろうか?
ペイトロ岐部渇水という人物が出てくるがエルサレムへ行くという話から加賀乙彦『殉教者』の主人公だと思いいたる。また、読み返したくなった。
キリシタン大名・小西行長の孫で、対馬藩主・宗義智の子として生まれた彦七(のちの小西マンショ)の運命は、関ヶ原の戦さによって大きく変わった。離縁された母・マリヤとともに彦七は長崎へ。キリシタンへの迫害から逃れてきた、小西家の遺臣らの世話になりながら成長していく彦七だったが、彼には小西家再興の重圧がのしかかっていく。キリスト教が禁じられ、信徒たちの不安が高まるなか、彦七はある重大な決断を下すのだが……。
パシヨンは、「情熱」だと思っていたが「受難」だった。
分厚さにたじろぐが、読みだすと一気だった。キリスト教禁止の時代に最後の日本人司祭となった小西彦七と幕府の禁教政策を推進する井上政重の人生が交差して、重厚で見事な物語。始めに出てきた人がラストで再登場するのは、伏線が回収されるようで気持ちがよかった。しかし、キリスト教徒への拷問は、胸糞悪い。
同じ日本人でも宗教が違うことで諍いがあり、同じキリスト教徒同士でも派が違うことから諍いがあるという話から、ロシアとウクライナ、イスラエルとアラブの戦争を思った。争いはなくならないのか?人間って変わらないのだろうか?
ペイトロ岐部渇水という人物が出てくるがエルサレムへ行くという話から加賀乙彦『殉教者』の主人公だと思いいたる。また、読み返したくなった。