壽初春大歌舞伎 令和2年1月3日~27日 大阪松竹座 夜の部
松竹座
映像で見た関ジャニ∞のライブを思い出した
<義経千本桜 川連法眼館の場>
吉野の山奥にある川連法眼の館に匿われている源義経のもとへ家臣の佐藤忠信が訪ねてくる。静御前も到着するが、共に旅をしてきたはずの二人の話がまるで食い違い、忠信が二人いるかのよう。詮議の命をうけた静御前が初音の鼓を打つと忽然と現れる忠信。実は、忠信は、鼓の皮に用いられた狐の子で両親を慕い、忠信に化けて鼓と静御前に付き添い旅をしたのであった。
今回は、狐の化身の忠信が現れる時に、音やライトにだまされて花道を見ないように正面の階段を凝視。いつも花道奥のカーテンを開けるチャリンという音に引っぱられて花道を見てしまい、忠信登場の場面を見逃してしまうのだ。気をつけていたので、今日はバッチリ見ることができた。
愛之助さん演じる狐の忠信が軽やかに動く。妖しなので、あっちから出てこっちから消えてと大活躍。
<夕霧名残の正月>
病によってこの世を去った遊女・夕霧の四十九日。恋人の藤屋伊左衛門は、放蕩の末に勘当され、借金を抱え、夕霧の死も知らない。落ちぶれた伊左衛門が夕霧の死を知り、死を悼んでいる所に在りし日の夕霧が現れる。
扇雀さん演じる夕霧と鴈治郎さん演じる伊左衛門が絵のように美しい。
<大當り伏見の富くじ>
紙屑屋幸次郎は、潰れた店を再興しようと一生懸命働いているが、遊女の鳰照太夫に見惚れてしまい、鳰照太夫のことで頭がいっぱい。ある日、一攫千金を夢見て伏見稲荷の富くじを買ったところ、大当たり!しかし、喜んで踊っていたところ、その当たり籤を入れた籠を川に投げ捨ててしまい・・・。
おもしろかった。ずっと笑っていて、前の演目の記憶が吹き飛ぶほどのインパクト。至る所にボケが入るので、油断できない。
愛之助さんが粋でイケメンの役でカッコいい。幸四郎さんは、アホの役ですが、いい味出していた。今まで幸四郎さんは好きではなかったが、コミカルな役が上手でちょっとファンになりそう。鴈治郎さんが花魁の役ってと思っていましたが、不細工さがいいほうに作用してよかった。犬役の千壽さん、平馬役の猿弥さんが達者でおもしろいこと。
演出が見事だった。まず始まりの音楽が現代劇の音楽のようで、びっくりした。水中で幸次郎と河童が財布を取り合うシーンは、すごい。鳰照太夫のキラーンという音と共にとスポットライトが当たるのが、エイトレンジャーでなす(村上くん)の八重歯がキラーンとするのを思い出した。雪舟斎が出てきた場面は、古畑任三郎のテーマ音楽が流れたような気がするんだけど・・・。グランドフィナーレは宝塚の大階段のようなところから、出演者が登場し、華やかでよかった~。
とにかく、おもしろくてホロリとして、幸せな気持ちになれる演目。「熱いご要望にお応えして再上演」というのもわかる。これは新しい歌舞伎、見ないと損をする。
お弁当は、はり重さんのすき焼き弁当。松竹座横のはり重さんのお店で予約し、幕間に松竹座を出て、はり重さんへ取りに行く。いったん松竹座を出るので、座席券を持って出ないと再入場できないので注意。甘くておいしかった。汁がご飯に浸み込んでおいしい!横山くんが出演した映画「破門」に、はり重が出てきたな。