ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

俳句生活~よ句もわる句も~兼題「風鈴」で人

2021-08-31 23:13:59 | 俳句
 俳句生活~よ句もわる句も~兼題「風鈴」で人を頂きました。組長、ありがとうございました。久しぶりの人が素直に嬉しいです。

風鈴や漢和辞典の甘き香よ    丸山隆子

 作っていた当時は、仕事が忙しくて句が全然考えられずに、うんうん唸っていたような気がします。お友達のあんこちゃんが続けているから、出すだけ出そうとひねり出したような気が。あんこちゃんが「あなたがいたから俳句が続いている」とよく言ってくれていたのですが、「そうなの?」と私はあまりよくわかっていなかったのです。今回は本当にあんこちゃんがいたから、続いているとしみじみ思いました。ありがとうね。
 さて、俳句を作るのに調べているとき漢和辞典が甘い香りをしていることに気づきました。風が吹いて、風鈴が鳴り、漢和辞典のページがめくれ、甘い香りにハッとする。と感じてもらえたら、うれしいです。
 ここで新たな事実が発覚。どの漢和辞典が甘い香りがしていたんだろうと確かめていたら、甘い香りは英和辞典でした!英和辞典だと俳句の感じではないので、古語辞典にしょうとしたら字数が合わず、漢和辞典にしたのだと思います・・・。
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『食べることと出すこと』

2021-08-27 22:18:19 | 
『食べることと出すこと』 頭木弘樹 医学書院
 個性的なカフカ研究者として知られる著者は、大学生のときに潰瘍性大腸炎という難病に襲われた。食事と排泄という「当たり前」が当たり前でなくなったとき、世界はどう変わったのか?絶望的な日常と、絶望だけしているわけにはいかない日常。その狭間に漂う不思議なユーモア。
 説明が上手なのでわかりやすい。的確な表現でユーモアもある。しかし、書いてあることは壮絶。当たり前に行っている食事と排泄が当たり前でなくなったら?本を読んでいて普通に食事したり排泄することは、尊いと思ってしまった。
 「痛みというものには、じつはたくさんの種類がある」「病気には休みがない」「病気とつきあうということは、好きでもない人とムリヤリ結婚させられること」「内臓の病気は心のせいにされる」「『病は気から』と言うが『気は病から』でもある」という言葉にハッとさせられる。
 「飲食が人と人をつなぐ」という一節には考えさせられた。病気で食べられないのに、周囲から「少しくらい」としつこく食べさせようとする。相手の出した食べ物を食べないということは相手を拒否すること。人間関係と食は関りがあるのだ。また、病気やアレルギーではないのに、ある食べ物が食べられないというのは、甘やかされて育ったり、我儘だと決めつけがちだ。健康な人の驕りというか、決めつけは怖い。
 また、「人前で恥をかくと他人に服従しやすくなる」授業中にトイレに行った高嶺の花の女子にデートを申し込むと成功したという話。「お前は、昔うんこを漏らした」と言うだけで完全に非のある側が正しいこと言っている側を黙らせることができるという例。「支配欲を満たそうとする人は自然と人に恥をかかせようとする」なるほどである。
 「相手の行動を不愉快に思ったときにも『この人は何か事情や理由があるかもしれない』ということを考え、同じ色に染まらないからと言って排除しない。」「いくら想像力を働かせてみても思いが至るのはごくわずかな部分だけで必ず大きな見逃しがある。なってみないとわからない」この作者の言葉を忘れずにいたいと思った。
 
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『美しき愚かものたちのタブロー』

2021-08-26 13:34:20 | お料理
 昨日今日と仕事を休む。緊急事態宣言が出ているので美術館にも行かず、買い物にも行かず、家でひそむ。仕事が忙しかったため、こんなにも自分が疲れていたとは思わなかった。心がゆったりとして、夜も眠ることができるように。知らないうちにこんなにダメージを受けていたとは。そういえば、俳句を作る気も失せ、関ジャニ∞のブログを見ることもなかったものね。

 モデルナワクチンの異物混入。自衛隊の大規模接種大阪会場で使用というので、接種券のロット番号を見たら、該当していた。いやあ、こんなことに当たるより、スノーマンのライブツアーに当選したいよ~。

『美しき愚かものたちのタブロー』 原田マハ 文藝春秋
 日本人のほとんどが本物の西洋絵画を見たことのない時代に、ロンドンとパリで絵画を買い集めた松方は、実はそもそもは「審美眼」を持ち合わせない男だった。絵画収集の道先案内人となった美術史家の卵・田代との出会い、クロード・モネとの親交、何よりゴッホやルノアールといった近代美術の傑作の数々によって美に目覚めていく松方だが、戦争へと突き進む日本国内では経済が悪化、破産の憂き目に晒される。道半ばで帰国した松方に代わって、戦火が迫るフランスに単身残り、絵画の疎開を果たしたのは謎多き元軍人の日置だったが、日本の敗戦とともにコレクションはフランス政府に接収されてしまう。だが、講和に向けて多忙を極める首相・吉田茂の元に、コレクション返還の可能性につながる一報が入り――。奇跡が積み重なった、国立西洋美術館の誕生秘話。
 友達のあんこちゃんが書いた大磯の旧吉田邸のコラムを読む。すると、あんこちゃんから『美しき愚かもののタブロー』の冒頭に旧吉田邸が出てくると教えてもらう。読んだ記憶が全くなく、調べたら、やはり読んだことがなかった。読んで、よかった。
 戦前の実業家や政治家は、器や志がでかい。田代の松方に同行して絵を買うところは、ウキウキ。松方コレクション返却の攻防は、どうなるかとドキドキ。コレクションを守る日置に涙。とよかった。
 2016年に神戸市立博物館で見た松方コレクション展を思い出す。返還されなかったピカソの<読書する婦人>は、その時に見た。また、ゴッホの<アルルの寝室>は、2018年の「ゴッホ展」で見ていた。
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『貝に続く場所にて』『彼岸花が咲く島』(文藝春秋九月特別号より)

2021-08-25 15:47:12 | 
 芥川賞作品を『文藝春秋九月特別号』で読む。芥川賞としては、すごく出来がいいのではないでしょうか!?単純によかったと思う。

『貝に続く場所にて』 石沢麻依
 コロナ禍が影を落とす異国の街に、9年前の光景が重なり合う。ドイツの学術都市に暮らす私の元に、震災で行方不明になったはずの友人が現れる。人と場所の記憶に向かい合い、静謐な祈りを込めて描く鎮魂の物語。
 始めから美しい比喩に魅了された。しかし、盛り盛りの修飾語がちょっと鼻につくのも事実。聖人・聖女の名前と個人を特定できる持ち物、惑星の小径の冥王星など小道具が効いている。
 友人は生きているのか、死んでいるのか。過去と現在を夢の中のできごとのように行き来する話についていけない人もいると思うが、私は、その空気感がよかった。
 私的に。阪神淡路大震災の時、私は東京にいたが、家族や友達が大変な目にあった。その負い目みたいなものが、シンクロした気がする。

『彼岸花が咲く島』 李琴峰
 記憶を失くした少女が流れ着いたのは、ノロが統治し、男女が違う言葉を学ぶ島だった――。
 もっと長篇にしてクロニクルのようにしたら、もっともっとおもしろくなるのではないかと思う。三人の少女、少年の青春物語とも読めるし、近未来小説とも読めるし、ジェンダー小説とも読めるし。膨らますことができる内容なだけに、もっと書いてほしかった。
 アマゾンのレビューでは、なにやら叩かれているようだが、私はおもしろかった。
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『俳句世がたり』

2021-08-22 17:57:06 | 
『俳句世がたり』 小沢信男 岩波新書
 祭りに相撲、友人の死、敗戦の記憶、そして大震災―。浮き世の様々な出来事を、武玉川から子規、漱石や荷風、万太郎、現在活躍中の俳人まで、古今の俳句を通じて描く。時に鋭く怒り、時に呵々大笑。名吟佳吟を引きつつしなやかに世を斬る。
 俳句を選び、それにかかわるできごとを自由闊達に語っている印象。中でも、震災と敗戦は繰り返し語られる。
出てくる俳句で印象に残ったもの
死なうかと囁かれしは蛍の夜 鈴木真砂女
千人が手を欄干や橋すゞみ 其角
みずすまし遊ばせ秋の水へこむ 西東三鬼
地球儀のなかは空洞冬うらら 土肥あき子
満月や水兵永く立泳 三橋敏雄
生身魂生涯言はぬこと一つ 鈴木真砂女 生身魂(いきみたま)
鞦韆は漕ぐべし愛は奪ふべし 三橋鷹女 
裏口に誰そとぞとへば曼殊沙華 大野朱香
夕桜あやうくハイと言いそうに 池田澄子
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