ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

ネタバレあり注意!「国言詢音頭」

2019-07-29 15:19:52 | 文楽
 本水が使われているということで文楽を見に行きました。ネタバレあります。

夏休み文楽特別公演 2019年7/20~8/5 国立文楽劇場
第三部 サマーレイトショー「国言詢音頭(くにことばくどきおんど)」
初右衛門



 堂島の蔵屋敷勤めの初右衛門は、出入りの町人・仁三郎に連れられた曽根崎新地で遊女菊野を見初める。初右衛門は、藩のお金を使いこむ程に入れ込むが、家来の拾った手紙から菊野が仁三郎と深い仲で、しかも自分を嫌っていることを知る。そこへ、川を渡る船から自分の悪口を言う二人の声を聞いてしまう初右衛門。
 薩摩藩への帰国の決まった初右衛門は、別れの宴で、土産として先の手紙を菊野と仁三郎に渡す。二人は斬られる覚悟をするが、初右衛門は二人を許して帰る。安堵した二人は酒を飲み、仁三郎は二階で寝てしまう。菊野は、仁三郎の許嫁のおみすを二階に忍ばせ、自分は一階で寝ていたところ、初右衛門がやってきて・・・。

 ここからは、私の全く個人的な意見です。玉男さんは、襲名してから、ちょっと精彩がない気がしていました。(襲名公演はよかったのですが、そのあとが・・・とあくまで私の印象です)今回は、違いました。さすが、玉男さんという感じでした。玉男さんの遣う初右衛門が凄味があって、すばらしかったです。
 まず、忍んできた初右衛門がおこもをパッと脱ぎ捨てるところ、ほおかむりをパッ脱ぎ捨てるところ。鮮やかの一言で妖しげな色気にあふれていました。
 それからは、凄惨の一言です。菊野をしめあげ、仁三郎の居場所を吐かせようとしますが、菊野は言いません。とうとう首を切り落としますが、その首の唇をねぶり回して・・・。うへえ。もう、竹本千歳太夫さんが熱演です。
 そのあとは、胴を真っ二つ、頭を唐竹割りとやりたい放題。五人伐りなので、思わず人数を数えている私です。菊野の胴の傷口に足を突っ込んだときは、思わず「ひいっっ」と声が出てしまいました。すると、初右衛門の足はまっ赤に染まります。表に出て桶で足を洗い、血でまっ赤な足が元の色に。
 そして、実際の水を使った雨が降る中、初右衛門は去っていきます。雨の音、傘に当たって飛び散る水、すべてが悪の美学というか。本水と恐ろしい話に背筋がぞぞぞと寒くなる。まさにサマーレイトショーにふさわしい演目。よかったです。すごいの一言でした。
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平成31年初春文楽公演

2019-01-24 16:44:01 | 文楽
平成31年初春文楽公演 第一部 平成31年1月3日~25日 国立文楽劇場

初春なのでにらみ鯛と凧の飾りが緞帳の上に飾ってある。凧の「亥」の字は、壷阪寺の常盤勝範住職。演目に「壷阪寺霊験記」があるからかな。



<二人禿> 
 禿とは、遊郭で見習いのため花魁に付き従う少女のこと。禿が羽根つきや手毬に興じながら舞う。
 キレイ。初春らしい。

<伽羅先代萩>、
 奥州五十四郡の領主になった幼い鶴喜代君。若君を暗殺し、御家横領を企む陰謀が渦巻いている。乳母の政岡は、自ら食事を作り幼君を守っている。見舞いと称し、悪人の一味の栄御前が、空腹に耐える鶴喜代君に毒菓子を持参し、食べさせようとする。すると、政岡の子・千松が代わりに食べ、苦しみだす。悪人の一味の八汐は、悪事が露見しないように千松を刺殺す。政岡は幼君の守護に徹し、我が子の死に涙をこぼさなかった。しかし、一人残されると、我が子を抱きしめ悲しみにくれるのだった。

政岡

 今日の席は、太夫さんの近くの席。だからか、どの段の太夫さんも聞きほれるほど素敵だった。竹本織太夫さんは、表情もたっぷり。
 お茶をしている私にとって、この演目は茶道具でご飯を炊くのが見どころ。茶飯釜と同じなのだが、衝立があってよく見えなかった。残念。でも、政岡がお米を研ぐところなんて、人形がしているようには見えないのがスゴイ。
 政岡忠義の段は、豊竹咲太夫さん、吉田簑助さん、吉田和生さんと人間国宝3人そろい踏みで豪華!

<壺阪観音霊験記>
 目が不自由な沢一は従妹のお里と結婚して三年。毎晩明け方にどこかへ出かけるお里に疑いを抱く沢一。実は、お里は、夫の眼病が治るように壷阪寺へ通っていたのだった。二人は、壷阪寺へ参るが、沢一はお里を家に帰す。一人になった沢一は、世話をかけてばかりの自分がいない方がお里のためだと谷へ身を投げる。胸騒ぎがして戻ったお里は、沢一の亡骸を谷底に見つけ、自らも後を追う。そこへ、観音様が現れ、お里の信心により二人の息を吹き返し、沢一の目を治したのだった。
 健気なお里さんと沢一の仲のいいこと。そして、観音様来迎の場面は、天の岩戸から天照大御神が出てくるように文字通り神々しい。目が見えるようになった沢一がお里を見て「初めてお目にかかります」と言うのがおかしかった。
 人間国宝の鶴澤清治さんの三味線から糸がたれているのが気になった。糸が切れた?でも、舞台での三味線の糸はさらを使い、いっぺん使った糸は練習用にするらしいから、切れるわけはないか・・・。糸がたれているのに気がついてから糸が気になってしょうがなかったが、それまでは三味線の迫力に圧倒された。


幕間に食べたお弁当。文楽劇場で買ったもの。一口大のお寿司で食べやすく、美味しかった。漬物のお寿司がさっぱりして美味しかった。
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夏休み文楽特別公演 第二部

2018-07-27 21:53:41 | 文楽
 この前の日曜日に幼馴染のYちゃんと文楽に行ってきた。

人形浄瑠璃文楽夏休み特別公演 第二部 平成三十年七月二十一日から八月七日 国立文楽劇場



<卅三間堂棟由来>
 平太郎は、妻のお柳と老母、息子のみどり丸と暮らしている。白川法皇の病平癒のために建立する三十三間堂の棟木にするために柳の大木を切ると聞いたお柳は動揺する。実は、お柳は、柳の大木の精であった。姿を消したお柳を追って街道筋に出た平太郎とみどり丸は人足に曳かれる柳の大木とであう。動かなくなった柳の大木は、みどり丸が曳くと動き出すのであった。
 柳の葉がひらひらと舞い落ちる場面が美しい。

<大塔宮あさひの鎧>
 後醍醐天皇の謀反により幼い若宮と生母を預かる永井右馬頭の屋敷では、2人の慰みに二話で踊りを催している。そこへ、斎藤太郎左衛門が若宮を討ちにくる。右馬頭は妻の花園との実子・鶴千代を若宮の身代わりにしようとするが、太郎左衛門に見破られる。そして、太郎左衛門はたくさんの子どもの中から若宮でも鶴千代でもない子を討つ。それは、太郎左衛門の孫であった。
 子どもたちの踊りの場面は、幻想的で美しい。その中で、太郎左衛門が子供を吟味するところは、殺気立ってすごかった。

 しかしである。私は、前日関ジャニ∞のライブに参戦しており、興奮して、なかなか寝付けなかった。寝不足に義太夫の声・・・。すみません、今回も寝てしまいました。太夫さんの声には、子守歌のような要素が含まれているに違いない。←言い訳

 
 そのあと、幼馴染のYちゃんと虎徹へ。二人までの利用制限のある立ち飲み屋さん。おそるおそる入ったが、気遣いの女性店員さんのおかげで楽しく飲む。

来福が美味しかった!

 酒のあてもGOOD!タコをゴマ油と塩で食べるのが美味しかったな。こじるりちゃんが、タコをゴマ油と塩で食べるのが美味しいとテレビで言っていたが、同感。Yちゃんとは、好みが似ているのか、なぜか食べたいと思っているあてを選ぶのだ。
また、行こうね。
 
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11月文楽「八陣守護城」「鑓の権三重帷子」

2017-11-19 22:09:59 | 文楽
11月文楽公演 平成29年11月3日-26日 国立文楽劇場

●八陣守護城
<浪速入江の段>
  謀られて北条時政(徳川家康)に毒酒を盛られた加藤正清(加藤清正)は、時政の使者に不調を気付かれず、息子の許嫁である雛菊とともに都から本国へ帰る。
 舞台中央にある横向きの船が回り舞台で正面を向く。舳先に正清が勇壮に立ち、雛菊が横からちょこんと顔を出すのがかわいい。船が波をかき分け進むように見えた。
<主計之介早討の段>
 本国に戻った正清は百日の心願を立てて引きこもり、雛菊以外は妻の葉末さえも近づけない。満願の日、時政の使者・鞠川玄蕃は大内義弘(島津義弘)とともにやってきて正清の安否を尋ねる。さらに船頭の灘右衛門(実は児藤元平衛、後藤又兵衛)も見舞いに訪れる。そこへ、時政の使者として息子の主計之介が到着する。
<正清本城の段>
 正清の籠る部屋へ近づく主計之介。そこへネズミとなって忍び込む鞠川玄蕃らを懲らしめるために正清が現れる。主計之介は時政からの教書を父に差し出すが、女に迷って帰国したと一喝される。身の潔白を示すため、雛菊へ離縁状を残して立ち去る主計之介。覚悟を決めた雛菊は自害する。幼君と主家安泰のため命を必死につないだ正清に毒が回り始める。主計之介と雛菊の名を書いた妙法蓮華経の旗を手に二人の来世での縁を祈る正清だった。
 豊竹呂太夫さんの声がいいので、ついウトウト。しかし、ネズミがチョロチョロしたり、最後の場面で高楼にいる小さい正清の人形とか見どころもいっぱい。
●鑓の権三重帷子

<浜の宮馬場の段>
 笹野権三は、鑓の名手で美男。茶道の同門である川側伴之丞の妹お雪とは言い交わした仲である。師の浅香市之進の不在に開かれる茶会について二人は役目を争うことになる。
 遠くで馬を走らせるのをペープサートみたいなので表し、カツカツカツと音がするのがおもしろい。イケメンの咲寿太夫さんは、女性の声をそっくりに出す。権三は、美男らしく水色の衣装で爽やか。権三のいい男っぷりを「油壷から出すような、しんとろとろりと見とれる男」と表すのがおもしろい。
<浅香市之進留守宅の段>
 市之進が江戸に詰めている間、妻のおさゐが留守宅を守っている。そこへ権三がやってきて、秘伝の教授を乞い、おさゐは娘のお菊との結婚を引き換えに承知する。権三に夜更けに来るようにと言い帰した後で、おさゐは権三がお雪と恋仲であることを知る
 娘のお菊が薄茶を音羽山の茶碗で出すところで私はニヤリ。知ってるぞ、音羽山は、清水寺の焼き物なのだ。琴の鶴澤燕二郎さんが、指に息を吹きかけて温めて弾くのが印象的。
<数寄屋の段>
 夜、市之進宅の数寄屋でおさゐが権三に秘伝の一巻を見せているところへ、おさゐに何度も不義を迫る伴之丞が忍んで来る。お雪との仲を問いただすおさゐと権三がもめていると、伴之丞に不義密通をしたと仕立て上げられる。権三は、不名誉を嘆きつつも、夫のために不義者として討たれてほしいというおさゐの望みを受け入れ、屋敷を抜け出す。
 権三とおさゐが数寄屋で秘伝の巻物を見ている場面は、影絵のようで秘密めいた感じが出ている。権三は、フラフラしているし、おさゐは言っていることの訳がわからないし。オイオイという感じ。
<伏見京橋妻敵討の段>
 盆踊りで賑わう京都伏見。権三とおさゐを追っていた市之進は、二人を見つけ、子どものことを頼むおさゐを殺し、権三を殺すのであった。
 五人の太夫さんと五人の三味線さんとで賑やかな中、橋の上では盆踊り、橋の下では妻敵討ち。この対比がすばらしい。しかし、この二人は最後まで潔白で不義は仕立てられたものだったのか、逃避行の途中でできちゃったのか。どうなんだろうね。

 「鑓の権三」おもしろかった。
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4月文楽公演 第一部

2017-04-23 19:49:18 | 文楽
4月文楽公演 豊竹英太夫改め六代豊竹呂太夫襲名披露 第一部 2017年4/8~30 国立文楽劇場

豊竹呂太夫さんの襲名披露の幟

<寿柱立万歳>
 三河万歳の太夫と才三の二人連れが、扇や鼓を片手に家々の繁栄を願う言葉を述べ、舞を披露する。
 襲名披露にふさわしい、おめでたい演目。太夫さんたちの衣装もピンクで華やか。竹本三輪太夫さん、竹本津國太夫さんの声がいい。ただ、太夫さん全員で唄うのがバラバラな感じがした。いつもなら、全員そろって気持ちのいい感じなのだが・・・。

<菅原伝授手習鑑>
 三つ子の梅王丸、松王丸、桜丸は、それぞれ右大臣菅丞相、左大臣藤原時平、帝の弟・斎世親王に仕えている。桜丸と妻の八重が手引きした斎世親王と菅丞相の養女の密会が元で、菅丞相は藤原時平に陥れられて流罪になる。梅王丸と桜丸は吉田神社で恨みを晴らそうと時平一行の前に立ちふさがり、丸王丸と押し問答をするが、時平の威光に何もできなかった。
●茶筅酒の段
 梅王丸、松王丸、桜丸の三つ子の父親で菅丞相の下屋敷を預かる白太夫。70歳の誕生日であるが、菅丞相が流罪になったので派手な祝を遠慮して小さな餅に茶筅で酒をふり、近所に配る。そこへ、三つ子の妻たちがやってきて、白太夫は桜丸の妻・八重を氏神詣でに行く。
 妻たちの祝膳の支度がおもしろい。一番若い八重さんが、すり鉢をすると自分が回ってしまったり、大根を切るのが下手だったり。
●喧嘩の段
 白太夫の留守にやってきた松王丸と梅王丸は、吉田神社の件で喧嘩になり、菅丞相が愛した桜の木を折ってまう。
●訴訟の段
 帰ってきた白太夫は、折れた桜には触れずに、松王丸と梅王丸の書きつけを受け取る。菅丞相に元に行くという梅王丸の願いを退け、菅丞相の妻子の行方を探す方が先だと言う。親子の縁を切ると言う松王丸の願いは、聞き届けられる。
●桜丸切腹の段
 二組の夫婦が去った後、八重の前に桜丸が現れ、菅丞相流罪の責任を取り切腹すると言う。白太夫が鉦を打ち鳴らし念仏を唱える中、桜丸は切腹する。後を追おうとする八重を様子をうかがっていた梅王丸夫妻がとめる。
 鉦の音、念仏、泣く声が悲しみを深くする。竹本文字久太夫さんがいい。

<口上>
 三味線の部を代表して、鶴澤清治さんが、ご挨拶。なんでも先代の呂太夫さんは、すごくハンサムだったと繰り返し、笑いを誘う。(資料展示室では、歴代の呂太夫さんを紹介している。確かに五代目の写真を見るとイケメン。四代目が豊竹嶋太夫さんであったこともビックリ)呂太夫さんは、内弟子を経験した人らしい。清治さんは、愛嬌があっておもしろい人だと思った。
 人形の部を代表して、桐竹勘十郎さんが、ご挨拶。勘十郎さんは、呂太夫さんと入門、初舞台が一緒だとか。ブラジル公演の時に、海岸でキョロキョロして日焼けをしたと言って笑わせる。勘十郎さんの声を初めて聞いたが、ちょっと高めの声だった。
 太夫の部を代表して、豊竹咲太夫さんが、ご挨拶。呂太夫さんは、若い時は詩をそらんじたリ、小説を書いたりと真面目な文学青年だったが、最近は、道頓堀の赤い灯青い灯が好きなようでと笑わせる。
 呂太夫さんの挨拶はなかった。清治さんや勘十郎さんの声を聞いたことがなかったので、声が聞けてちょっと嬉しい。

●寺入りの段
 菅丞相の息子である菅秀才を預かった武部源蔵夫婦は、寺子屋を開いている。源蔵の留守に、母親に連れられた小太郎という男のが入門しにくる。
 師匠の源蔵の留守に、大暴れする子供たちがおもしろい。一人真面目に自習している菅秀才は、一日一字学べば、三百六十字学べると言う。えらいなあ、菅秀才。そういう理屈はわかるけど、なかなかできないのだよ。
●寺子屋の段

 時平の家臣・春藤玄蕃は、菅秀才の首を差し出せと源蔵に迫る。源蔵は、自分の留守に弟子入りした小太郎の首を身代わりに差し出す。菅秀才の顔を知っているはずの検分役の松王丸は、小太郎の首を菅秀才のものだとなぜか断定し、玄蕃は首をもって帰る。実は、松王丸夫婦は、菅丞相の恩に報いるため、わが子小太郎を菅秀才の身代わりとして入門させたのであった。
 呂太夫さんは、熱演。咲太夫さんは、さすが。咲太夫さんの声と燕三さんのもの悲しい三味線で、すすり泣きの声も。しかし、いい声は心地がいいので眠気を誘う。またまた、いいところで睡魔に襲われるダメな私であった・・・。

 
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