ささやかな幸せ

SUPER EIGHT、本、美術鑑賞、俳句、お茶が好き!
毎日小さな幸せを見つけて暮らしたい。

『方舟』

2023-01-31 21:42:41 | 
『方舟』 夕木春央 講談社
 大学時代の友達と従兄と一緒に山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った三人家族とともに地下建築の中で夜を越すことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれた。さらに地盤に異変が起き、水が流入しはじめた。いずれ地下建築は水没する。そんな矢先に殺人が起こった。だれか一人を犠牲にすれば脱出できる。生贄には、その犯人がなるべきだ。ーー犯人以外の全員が、そう思った。タイムリミットまでおよそ1週間。それまでに、僕らは殺人犯を見つけなければならない。
いやあ、おもしろかった。そんな結末!?という感じ。殺人の動機が・・・。
 誰か一人を犠牲にして、残りの人が生き残る。誰が犠牲になるのか。フィクションなら、家族があるもののために、孤独なものが自らを犠牲にする。死んでも誰も悲しまないものが死ぬべきだ。麻衣は言う。「それって、愛されていない人は、愛されてる人より生きている価値が低いって言っているようなものだと思うな」人間の価値や生への欲求のための行動などいろいろと考えさせられた。
 
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『しろがねの葉』

2023-01-29 19:22:33 | 
『しろがねの葉』 千早茜 新潮社
 戦国末期、シルバーラッシュに沸く石見銀山。天才山師・喜兵衛に拾われた少女ウメは、銀山の知識と未知の鉱脈のありかを授けられ、女だてらに坑道で働き出す。しかし徳川の支配強化により喜兵衛は生気を失い、ウメは欲望と死の影渦巻く世界にひとり投げ出されて……。
 文句なしの直木賞受賞作。野性的なウメが女であることに傷つきながらも、骨太に生き抜いていく話。
 ウメが母とはぐれ山をさまよううちに光る蛇の寝ござを見つけた場面。ウメと隼人が赤い躑躅の蜜を一心に吸い、足元に赤い花弁をまき散らす場面。なんと印象的で美しい場面だろうか。
 ヨキから聞かされる喜兵衛のことを読んだときは、「ウメよかったね」と涙ぐんだ。そして、ウメの業の深さに間歩の暗闇をのぞきこんだような気がした。
 重厚な話だった。
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「SANEMORI」

2023-01-26 23:17:00 | 歌舞伎
 村上くん、お誕生日おめでとうございます!今年こそ紅白歌合戦の司会になれますように。

 舘様が出演している歌舞伎「SANEMORI」 ファンクラブで申し込んだら当選。ライブは外れっぱなしで、Snow Manを生で見たことがないが、歌舞伎で生舘様を見ることができる!初めましての舘様!
 しかし、前日の大雪。雪のことを心配して、開場の1時間前に着くように新幹線を予約していたのだが。京都から白一色の雪景色に。京都から岐阜羽島駅間は、雪のため徐行運転でのろのろ。40~45分の遅れと言う。間に合うのかな・・・。新幹線の床は、雪がぶつかっているのか、シャリシャリいっている・・・。


 名古屋を過ぎたら、あれ?雪積もっていないよね・・・。


 ということで、東京駅に27分遅れで到着。よし、大丸東京店に急げ!子どもに頼まれていたお土産を買うのだ。まず、中里へ。揚最中は、ラストの4個だった。ノワさんでウォールナットクッキーを買う。

揚最中は、塩気のあるパリパリの皮がおいしい。あんことベストマッチ。
ウオールナットクッキーは、くるみとキャラメル、チョコ、クッキーの組み合わせがいい。18祭で東京に行った時にお土産で買ったら、皆に好評だったので、リピ買い。18祭のときは、うさぎ年ということでピーターラビットの期間限定の箱をジャケ買い。今回は、普通の箱にした。


 地下鉄へ走り、丸ノ内線・銀座線と乗り継ぎ、東銀座へ。6番出口から地上へ出て、「新橋演舞場は、どこだ!?」と思ったら目の前だった。結局、開場5分前に着き、入場してお弁当とパンフレットを買う。「番附ください」と言うと「は?」と言われた。「パンフレット」って言い直したけれども、東京では、「番附」って言わないのかな?
 会場へ入る。2階席の私の周りはファンクラブでチケットが当選した人。若い子は、舘様の写真やアクスタを取り出して写真を撮っている。憧れの舘様に会えると思うとドキドキ。


「初春歌舞伎公演 市川團十郎襲名記念プログラム SANEMORI 」 令和5年1月6日~27日 新橋演舞場
 源義仲(宮舘涼太)が源平の乱で平家打倒の旗を揚げ、俱利伽羅峠で二倍の軍勢の平家を打ち破る。そして、家来の手塚太郎とともに亡き父・義賢に思いを馳せる。
 ●始めから舘様大活躍。切って切って切りまくる。立ち回りの激しさで「ハァハァ」という息づかいも。
 ●背景は、赤と白ののぼりが混じっていたのが、最後は白のみになって源氏が勝ったことをわかりやすく示していた。

 そこから舞台は20年以上前の木曽先生義賢の館に移る。平治の乱後、病のため館に引き籠っていた義賢(宮舘涼太)は、源氏の再興を図っていたが、これを察した平家の軍勢が突如館へ攻め込んできます。義仲を身ごもっている妻・葵御前(廣松)と源氏の白旗を、九郎助(市蔵)と小まん(児太郎)に託し、義賢は押し寄せる平家の軍勢に一人立ち向かう。しかし、満身創痍のなか壮絶な最期を遂げる。
 ●舘様は、素晴らしい身体能力を生かして、戸板倒しや梯子を使用した歌舞伎ならではのダイナミックな大立ち廻り。すごい!義賢の苦しそうな息づかいに驚かされる。羽交い締めにされ生け捕りにされた義賢が、自分の腹を刺して後ろの敵をも串刺しにするところなんて、鬼気迫る感じだった。
 ●一方、小まんの立ち廻りは、歌舞伎の様式美に忠実で王道というか、安心できる。この対比もおもしろいと思った。

 続いて、平家の武将・斎藤実盛(團十郎)が迫力のある大きな御座船の船首に立ち、登場。
 ●團十郎は端正で美しい。ここで、襲名の挨拶。
 ●御座船がすべるように動くのが不思議。

 そして白旗を平家方に奪われまいと琵琶湖に飛び込んだ小まんは、不運にも実盛たちを引き連れて遊覧中だった平宗盛(友右衛門)の御座船に助けられる。白旗を守り抜く姿勢を見せる小まんを見た実盛は、彼女が掴んでいた白旗もろとも腕を水中に切り落とす。
 ほどなくして葵御前のもとへ、生まれてくる子の検分のために実盛と瀬尾十郎(右團次)がやってきます。しかし、差し出されたのは赤子ではなく人の片腕。元は源氏の武士であり、心を源氏に寄せていると明かした実盛は、旧恩に報いるため、瀬尾を巧みに言いくるめて葵御前の危機を救う。片腕が自身が切り落とした小まんの腕だと確信した実盛が、御座船での様子を語る。親の敵と詰め寄る小まんの息子・太郎吉に、戦場での再会を約束し、馬に乗って颯爽と花道を去っていく実盛だった。
 ●子役の太郎吉が大活躍というか達者。また、太郎吉の鼻をかんでやる実盛が慈愛に満ちていてよかった。

 大詰ではプロローグの時代に戻り、実盛の計らいによって誕生した義仲と、四天王の一人、手塚太郎となった太郎吉の姿が。
 ●生まれた義仲を抱く太郎吉。布が交差したと思うと、大人になった義仲と手塚太郎(太郎吉)に。鮮やかな転回だった。

 実盛の言葉通り、両軍は加賀の戦場で相対する日を迎えることになる。義仲と手塚太郎、そして巴御前(児太郎)は平家方との息もつかせぬ激しい立廻りを見せる。年老いた平家の武者は見逃すように言っていたが、実盛は白髪を墨で染めていた。そして、手塚太郎は、図らずも実盛を討ち取ってしまうのであった。
 ●ここでも舘様大活躍。花道で敵の手から回転して下りるなんて、スゴイ!大きな旗を振るのもすごかった。
 ●幕間後に太鼓を三人がパフォーマンスで叩いたが、ここでも太鼓を叩く。その音が効果的。
 ●戦のない世を希求する実盛の気持ちがしっかりと伝わった。

 カーテンコール。スタンディングオベーションに答えて、最後はお手振りをしてくれた。



 とにかく、舘様は和が似合っていた。身体能力を生かした立ち廻りがとにかく素晴らしかった。声も義賢は、落ち着きを出し、義仲は若々しくと演じ分けていた。舘様、最高。若い人たちも、舘様きっかけで歌舞伎を好きにならないかな。

 ほうっと演舞場を後にする私。ふと見ると3時25分。新幹線は、4時!慌てて帰る私。お土産を行きしなに買っていてよかったよ。無事に新幹線に乗り、新大阪に5分遅れで到着。
 店の改装やら定番商品導入やらと仕事が忙しくて、残業続きの私だが、舘様のおかげで頑張ることができそうだ。
 
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『かぎのない箱』『ねずの木』

2023-01-23 20:45:43 | 
『かぎのない箱』 ボウマン、ビアンコ作 瀬田貞二訳 岩波書店
 フィンランドの昔話。児童書。
 天女の羽衣のような話もあるが、フィンランドは帰ろうとしないんだな。これも日本とフィンランドの文化の違いかな。
 不思議なお話が多い気がした。

『ねずの木 そのまわりにもグリムの話いろいろ』 モーリス・せんダック絵 矢川澄子訳 福音館書店
 画家のモーリス・センダックが、グリム200編のなかからこれぞと思うお話を27えらび、一話にひとつずつ絵をつけてこのようなかたちに仕立て上げたもの。なかには「ヘンゼルとグレーテル」や「白雪姫」といった有名なお話もあれば、「フリーダーとカーターリースちゃん」とか「まことのフェレナンドとよこしまフェレナンド」のように、ほかではめったにお目にかかれない変わり種もふくまれていて、センダックならではの独自なグリム観をものがたるものとなっている。
 センダックの絵がいい。
 グリム童話でも あまり知られていないお話をセンダックが選んでいるのが、おもしろかった。
 
 ひとつ思ったのは、昔話というのは、いくら読んでも飽きないということ。同じようなお話でも読んでしまう。口伝えで伝えていくうちに、無駄が省かれ、内容が凝縮されているからか。教訓的ではなく、人には親切にしないとな、人をバカにしてはいけないな、と自然に思ってしまう。民族の文化も感じられるし。すっと不思議の世界へ入ることができるのがスゴイ。
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「中辻悦子 起承転結」

2023-01-20 21:24:31 | 美術鑑賞
「中辻悦子 起・承・転・転」 2022.11.1-2023.1.22 BBプラザ美術館
開館時間/10:00-17:00  休館日/月曜日、年末年始

 中辻悦子さんの夫が元永定正氏だったとは。知らなかった。
 いやあ、よかった。作品に心が躍って、時々、目の力にドキリとひるんで。元永氏より、私は好きかも。(比較する悪い癖だ)


<作品>



<無題> 可愛くて、好きだなあ


<合図-eyes-張力> 色が好き


<作品> 木でできた人形が吊るされている。鏡を利用して、ぐるりと円を描く木片が街に見える。


<人形 エリック・サティ「人形劇のためのミニオペラ ジュヌヴィエーヴ・ド・ブラバン伯爵夫人」>


<ポコ・ピン> かわいい。市販の玩具が気に入らず、自分で余り布や毛糸など身近な材料で作ったオブジェが<ポコ・ピン>のはじまりだとか。当時、大作を描く元永に場所を譲る形で家の前の道路で絵を描くなどしていたため、オブジェだと好きなだけ作って天井から吊るすことができると夢中で制作したらしい。・・・なんか泣ける。


<花子と太郎>


<フォトショー>
<empty eyes of Poco-Pin>


<ポコ・ピン>

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