帰省しようとすると「コロナが流行っているから」「インフルエンザが流行っているから」と帰省に反対する母。しかし、父が寝ている時間が長くなり、食欲が落ちていると聞くと「生きているうちに父に会いたい」と思ってしまう。会っとかないと。死んでから会ったのでは遅い。12月になるとインフルエンザが流行って施設が閉鎖されるかもしれない。今しかない。母に「今回は、あなたが反対しても絶対帰る。お父さんに会っとかないと後悔するから」と伝えた。すると、母は「わかった。いいよ」 ということで、二泊三日で大分に帰省。
駅で従妹のお嫁さんが車で拾ってくれ、そのまま施設へ。ちょうど父は起きていた。「お父さん、私。来たよ」「お父さん、調子はどう?」「お父さんのひ孫の写真持ってきたよ。来年の春か夏に来るから待っててよ」「大好きな阪神が日本一になってよかったね」いくら話しかけても、口をパクパクさせるだけで、声は出ない。一言「あ」とだけ絞り出した。
「お父さん、最後に握手しよう」と声をかけるが、布団から手を出さない。布団をめくると、手がパンパンに浮腫んでいた。冷たい手を握ると父は手を握り返してきた。「お父さん、来たん、わかってんねんな」うれしかった。
帰りに看護師長さんと話す。「反応ないようでも、聞こえているから励ましてあげてね」「お父さん、娘さんに会えて喜んでるよ、よかったね」と声をかけてくれる。私は父が手を握り返してくれたことが嬉しくて胸が一杯だった。(後で母から「娘が会いたいと言っている」と相談すると看護師長さんが「今のうちに ぜひ 会わせてあげなさい」と言ってくれたと聞いた)
神戸に帰る日、帰りの電車に乗る前にも、従妹のお嫁さんに施設に連れて行ってもらった。今度は、寝ていた。いくら呼んでも、動画で孫の声を聞かせても起きなかった。手を握っても握り返さなかった。寝ているときは、何をしても起きないと母が言っていたが、その通りだった。でも、帰る前に一目会えてよかった。初日に、起きている状態の父に会えてよかったとしみじみと思った。
父に会えてよかった。
駅で従妹のお嫁さんが車で拾ってくれ、そのまま施設へ。ちょうど父は起きていた。「お父さん、私。来たよ」「お父さん、調子はどう?」「お父さんのひ孫の写真持ってきたよ。来年の春か夏に来るから待っててよ」「大好きな阪神が日本一になってよかったね」いくら話しかけても、口をパクパクさせるだけで、声は出ない。一言「あ」とだけ絞り出した。
「お父さん、最後に握手しよう」と声をかけるが、布団から手を出さない。布団をめくると、手がパンパンに浮腫んでいた。冷たい手を握ると父は手を握り返してきた。「お父さん、来たん、わかってんねんな」うれしかった。
帰りに看護師長さんと話す。「反応ないようでも、聞こえているから励ましてあげてね」「お父さん、娘さんに会えて喜んでるよ、よかったね」と声をかけてくれる。私は父が手を握り返してくれたことが嬉しくて胸が一杯だった。(後で母から「娘が会いたいと言っている」と相談すると看護師長さんが「今のうちに ぜひ 会わせてあげなさい」と言ってくれたと聞いた)
神戸に帰る日、帰りの電車に乗る前にも、従妹のお嫁さんに施設に連れて行ってもらった。今度は、寝ていた。いくら呼んでも、動画で孫の声を聞かせても起きなかった。手を握っても握り返さなかった。寝ているときは、何をしても起きないと母が言っていたが、その通りだった。でも、帰る前に一目会えてよかった。初日に、起きている状態の父に会えてよかったとしみじみと思った。
父に会えてよかった。