『茶筅の旗』 藤原緋沙子 新潮社
京都・宇治。古田織部の覚えめでたい朝比奈家の一人娘・綸は父の跡を継ぎ、極上茶を仕立てる「御茶師」の修業に励んでいた。そこへ徳川・豊臣決戦近しの報が。大名と縁の深い御茶師たちも出陣を迫られる。茶園を守り、生き抜くにはどちら方につくべきか……茶園主たちの知られざる闘いを通して綸の成長を描く。
茶人古田織部や小堀遠州が脇役で、女性が主役なのがおもしろい。お茶を作る場面が生き生きとして目に浮かぶよう。すっと読むことができた。お茶と対極にあるような生臭い戦や政に巻き込まれるのが何ともやり切れない。
『これでおしまい』 篠田桃紅 講談社
一〇七歳の世界的美術家が最後に遺した「人生のことば」 桃紅さんの人生哲学を短い言葉で伝える「ことば篇」とこれまでの人生を写真と文章で振り返る「人生篇」の二部構成。
桃紅さんの言葉がすばらしい。洋服も和服も人の体を覆うことでは同じだが、違いを 体を「着物は包むのよ。読服は入れるのよ」納得。
「若さは謳歌するもので賛美されるものではない」「人は、結局孤独。人にわかってもらおうなんて甘えん坊はダメ」「何事もほどほどに。これが人間の一番の戒め」「たいていのことは受け止めて喜ぶほうが人生は得ですよ」「外界と言うものは一切自分の思うようにならないから」
激動の時代を生き、芸術を極めた人の言うことは深い。
京都・宇治。古田織部の覚えめでたい朝比奈家の一人娘・綸は父の跡を継ぎ、極上茶を仕立てる「御茶師」の修業に励んでいた。そこへ徳川・豊臣決戦近しの報が。大名と縁の深い御茶師たちも出陣を迫られる。茶園を守り、生き抜くにはどちら方につくべきか……茶園主たちの知られざる闘いを通して綸の成長を描く。
茶人古田織部や小堀遠州が脇役で、女性が主役なのがおもしろい。お茶を作る場面が生き生きとして目に浮かぶよう。すっと読むことができた。お茶と対極にあるような生臭い戦や政に巻き込まれるのが何ともやり切れない。
『これでおしまい』 篠田桃紅 講談社
一〇七歳の世界的美術家が最後に遺した「人生のことば」 桃紅さんの人生哲学を短い言葉で伝える「ことば篇」とこれまでの人生を写真と文章で振り返る「人生篇」の二部構成。
桃紅さんの言葉がすばらしい。洋服も和服も人の体を覆うことでは同じだが、違いを 体を「着物は包むのよ。読服は入れるのよ」納得。
「若さは謳歌するもので賛美されるものではない」「人は、結局孤独。人にわかってもらおうなんて甘えん坊はダメ」「何事もほどほどに。これが人間の一番の戒め」「たいていのことは受け止めて喜ぶほうが人生は得ですよ」「外界と言うものは一切自分の思うようにならないから」
激動の時代を生き、芸術を極めた人の言うことは深い。