『心淋し川』 西條奈加 集英社
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。
直木賞受賞作。じんわりと心にしみわたる作品。いい。
掃きだめのような町に暮らす人々は、不幸や生きづらさを抱えている。しかし、そこには「あたりまえを盾に難癖をつけるような真似をする」人はいない。「人生は妥協の連続であり、折れるからこそ他人の痛みも察せられる」からだろうか。下層でもがく人たちを温かいまなざしで描いているのがいい。
その人たちの話をつなぐのは、各章に脇役として出てくる差配の茂十と物乞いの楡爺。最後の章は、二人の因縁が語られて秀逸。各章の主人公たちのその後も描かれている。
『結婚の奴』 能町みね子 平凡社
人生を変えるような恋愛だの結婚だのは無理だが、ひとりは嫌だ。男性から女性への性転換者の著者が、ゲイの夫(仮)と、恋愛でも友情でもない生活をつくるまでを綴る。
う~ん。そうなのねと言う感じ。
江戸、千駄木町の一角は心町(うらまち)と呼ばれ、そこには「心淋し川(うらさびしがわ)」と呼ばれる小さく淀んだ川が流れていた。川のどん詰まりには古びた長屋が建ち並び、そこに暮らす人々もまた、人生という川の流れに行き詰まり、もがいていた。
直木賞受賞作。じんわりと心にしみわたる作品。いい。
掃きだめのような町に暮らす人々は、不幸や生きづらさを抱えている。しかし、そこには「あたりまえを盾に難癖をつけるような真似をする」人はいない。「人生は妥協の連続であり、折れるからこそ他人の痛みも察せられる」からだろうか。下層でもがく人たちを温かいまなざしで描いているのがいい。
その人たちの話をつなぐのは、各章に脇役として出てくる差配の茂十と物乞いの楡爺。最後の章は、二人の因縁が語られて秀逸。各章の主人公たちのその後も描かれている。
『結婚の奴』 能町みね子 平凡社
人生を変えるような恋愛だの結婚だのは無理だが、ひとりは嫌だ。男性から女性への性転換者の著者が、ゲイの夫(仮)と、恋愛でも友情でもない生活をつくるまでを綴る。
う~ん。そうなのねと言う感じ。