9月17日に放映されたNHKの報道番組『クローズアップ現代』で「ミッドライフ・クライシス」が取り上げられました。
ネットでその言葉を検索すると、AIが以下のように説明してくれます。
「ミッドライフ・クライシスとは、中年期に直面する心理状態や心の葛藤、不安などを指す言葉で、“中年の危機”とも呼ばれます。
ミッドライフ・クライシスは、人生の折り返し地点である中年期に、自分の人生について問い直さずにはいられなくなる、アイデンティティの不安な状態のことを指します。
ミッドライフ・クライシスの症状には、次のようなものがあります。
・焦燥感や葛藤などの不安定さ。
・のぼせ、冷え、疲れやすさ。肌の張りや透明感が減り、筋力が低下しシワやたるみが出てくる。
・子どもの独立、親の介護、家族や自身の病気などへの悩み。
また、中年期は身体的、社会的、家庭的、心理的に変化の多い時期であるため、急に離職、不倫、家出などの突発的な行動をとってしまうことがあります。」
今回の話に“シワやたるみ”は関係なかろうと思ったけど、否、外見の変化による影響も確かにある!(それについては後述します)
ともかく私がいま抱えてる虚無感って、さして珍しくもない、中年になると誰もが感じるもんなのかと思うと、ホッとしたような残念なような……
ただ、番組内で紹介された、実際にミッドライフ・クライシスで苦しんでる人たちの言葉を聞くと、やっぱり私の虚無感とは種類が違うような気もするんです。
たとえば54歳の大学講師Sさんの「ふと、これまでの人生で何も成し遂げてない、何かを達成するほどの時間も気力もないことに気がついて、自信喪失、自己否定に見舞われました」というお悩み。
さらに「競争社会の中で自分の存在意義を残すことができないという葛藤。新しいことをやって自分の存在を示さないといけない。それなのに自分の残りの人生を考えると、そうそう新しい事はできないんじゃないか。自分の存在そのものが意味が無いんじゃないか。本当にどん底のときは、そういうことも考えたりしました」と続く。
え〜、そうなの? 私なんか40歳前後で“燃え尽き症候群”を自覚し、残りの人生はオマケみたいなもんと捉え、両親を見送ったあと自分がどんな風に死ぬかしか今は考えてない。
だから、人生ってそんな大袈裟なもんかいな?って思っちゃう。なにか大きなこと、新しいことを成し遂げない人生に意味は無いんかい?って。
とすれば、この問題に私はまったく共感できない。そう思ってたら、番組の後半でこんな本が紹介されました。
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「pha」という忘れようにも忘れられないペンネーム! “日本一有名なニート”と云われるブロガーさんで、私が以前gooブログ仲間のKTさんから譲って頂いた文庫本『ゆるくても続く知の整理術』の著者さんじゃないですか!
すぐにネットで注文して買いました。私よりひと回り歳下のphaさんにミッドライフ・クライシスはちょっと早いのでは?とも思ったけど、すこぶる頭がいい人ゆえ早熟なのかも知れません。
「40代半ばになった今、つかまってしまったな、という感覚がある。何に? 世間に、だろうか。それとも、老いに、だろうか。何をするにも少しずつ足取りが重くなっていて、昔のように自由に動けなくなってきているのを感じる。」
それがミッドライフ・クライシスなのだとすれば、やっぱり私にも当てはまる気がします。
「特に組織などに属してるわけじゃないし、他人の目や世間の圧力などをあまり気にしない性格だから、別に年をとってもそんなに変わらない生活を続けられるんじゃないか、と昔は思っていたけれど、そんなに上手くはいかなかったようだ。」
「年をとるとふらふらとした状態でいるのが難しくなってくる原因は、体力の衰えのせいももちろんあるけれど、年下の人間が世界に増えたということが一番大きい感じがする。」
そう! そうなんですよ! “オジサン”っていうカテゴリーに仲間入りすると、自分のダメさ加減が周りから見て痛々しく、シャレにならなくなって来ちゃう。
私はチビゆえに実年齢より若く見られがちだったのに、ここ数年で禿げてきちゃったからもう誤魔化せない。そうなると“ダメ人間から抜け出す努力をする”か、あるいは“開き直る”かの二択しか無く、私は迷わず後者を選ぶワケです。
他にも共感ポイントが山ほどあって、ただ1つ、phaさんが自らシェアハウスを立ち上げて集団生活を楽しんだ時期があるのは大きな違いかな?と思ったけど、否、そういや私も若い頃は自ら自主制作映画のサークルを立ち上げ、合宿撮影など楽しんだりしてました。いろんな要素において、ちょっと似てる!
ブロガーとしてのレベルは雲泥の差(無論こっちが泥)だし、phaさんは本を何冊も出されてるから印税だけで生活して行けるでしょうけど、すごい親近感を覚えます。
ちなみに私も昔書いた特撮ヒーロー番組の脚本=DVD売上げの印税が不定期に入るけど、それは(マイナーな番組ゆえ)小遣いにもならない程度。あのシナリオライター時代こそが人生のピークで、ほんと最高に楽しかった! けど、それで燃え尽きたんですよね。
phaさんも「もう何を書いたらいいか分からなくなってきた」と編集者に話したら「じゃあ、そういう気持ちをそのまま書くのはどうでしょう」と言われて、この本を執筆されたとか。
それがベストセラーになって、私が買ったのは第5刷(第1刷発行から僅か3ヶ月!)ですから、ホント雲泥の差も甚だしい。そりゃ相手は“日本一有名なニート”さんだし!(現在は書店で働いておられるそうです)
なにはともあれ、私はいま、母を見送ったあとの「在宅ひとり死」を真剣に考えてますが、実現するまでの期間は意外と長いかも知れない。それまで私はどう過ごせばいいのやら? phaさんの今後の生き方に、そのヒントが見いだせたりするんだろうか?
若い頃は自殺することばっか考えてたけど、せっかくここまで生き長らえて、今更それは無いだろうと最近は思ってます。
築50年以上の家に住んでるから大地震に見舞われたらイチコロだろうし、あんまり先のことを考えても仕方ない。今を精一杯、だけど無理せずに生きるしかありません。