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新旧の刑事ドラマを中心に素晴らしい作品をご紹介する、実に素晴らしいブログです。

『太陽にほえろ!』以前の刑事ドラマ

2018-09-11 00:05:13 | 刑事ドラマ HISTORY








 
本ブログでは「刑事ドラマ HISTORY」というカテゴリーを設けましたが、実のところ私は『太陽にほえろ!』マニアではあっても刑事ドラマ全てのマニアではありません。

なので『太陽~』以外の作品については詳しく知らず、『太陽~』との比較論でしか語ることが出来ません。正確に言えば『太陽にほえろ!』とその系譜に入る刑事ドラマのヒストリー、って事になります。

だから『太陽~』とかけ離れた内容の作品や、当然ながら『太陽~』以前に製作された作品はほとんど観てないんだけど、刑事ドラマHISTORYと銘打つからには無視するワケにもいかず、辰巳出版「刑事マガジン」や洋泉社「にっぽんの刑事スーパーファイル」等の文献を頼りに、歴史として押さえておくべき作品のみ記しておこうと思います。


☆『ダイヤル110番』1957~1964

本格的な刑事ドラマとしては国産第1号と云われてます。日本テレビ系列の火曜夜10時15分からの30分枠でスタート、曜日や時間帯を変えながら約7年、全364話が放映されました。出演は玉川伊佐男、松村達雄、神山繁、中谷一郎、鈴木瑞穂、加藤武ほか。

アメリカの刑事ドラマ『ドラグネット』にヒントを得て、警視庁から提供された資料を元に実際に起こった事件を描く、セミ・ドキュメンタリー仕立ての作品だったそうです。

『太陽にほえろ!』以前の事件物は、刑事よりも犯罪者の心理を重点的に描いた、言わば事件そのものが主役のドラマ。刑事は単なる狂言回し(ストーリーの進行役)に過ぎず、だから本当の意味での「刑事ドラマ」は『太陽にほえろ!』から始まったんだと、私は思うワケです。


☆『部長刑事』1958~2002

関西人なら知らない人はいないであろう、大阪ローカル(大阪テレビ→朝日放送)の30分枠(土曜夜7時半~)による超ロングラン番組。まだTVドラマが生放送だった時代から約44年間・全2159話にも及んだ恐るべき息の長さ。

中村栄二さんから始まった主役は数年おきに交代しており、中には高城淳一さんや橋爪功さん、入川保則さん、佐藤允さん等、後にメジャー刑事ドラマで活躍される俳優さんたちも主演を務めておられます。

特に、1990年から『新・部長刑事/アーバンポリス21』と改題してスタートしたシリーズでは、篠田三郎さん、勝野洋さん、小野寺昭さん、京本政樹さんという、すでにスターだった俳優さんたちが歴代の主役を務められ、なにしろテキサスと殿下が刑事に復帰するワケですから、この時期は私もちょこちょこ観てました。

2001年には木内晶子 主演『部長刑事シリーズ・シンマイ。』、宮崎美子 主演『部長刑事シリーズ・警部補マリコ』という、部長でも何でもない女性刑事を主役にしたシリーズも製作され、更なるイメージ刷新が図られたものの時代の変化に追いつかなかったのか、遂に長い長い歴史に幕が下ろされました。

『太陽にほえろ!』以前の刑事ドラマは事件(犯人)が主役って書きましたけど、この『部長刑事』は主役刑事の人間描写にも重きを置いており、『太陽』スピリットの原点的な側面もあり、それがテキサスや殿下の起用に繋がったのかも知れません。


☆『七人の刑事』1961~1969

TBS系列の水曜夜8時枠でスタートし、放送枠を移動しながら全385話が製作され、『太陽にほえろ!』が登場するまで「刑事ドラマの代名詞」と言われるほど大ヒットした作品。

出演は堀雄二、芦田伸介、美川陽一郎、佐藤英夫、城所英夫、菅原謙二、天田俊明、高松英郎ほか。

'73年、'75年には計4本のスペシャル版が創られ、山崎努さんや地井武男さんも刑事七人の1人を演じておられます。

そして1978年、人気絶頂期にあった『太陽にほえろ!』の裏番組として復活した『七人の刑事』は、芦田伸介、三浦洋一、佐藤英夫、天田俊明、中山仁、中島久之、樋浦勉という布陣でスタート。ゲストに沢田研二、郷ひろみ、真田広之らを迎えるなど相当な気合いを入れたものの、視聴率は1桁台に低迷し『太陽~』に完敗。全69話で幕を閉じました。

例外的な1話を除いては全てVTR撮影で、第1シリーズの頃はテープを上書きして使っていた為、作品が現存しないもんだから再放送も商品化も当然なし。

その上'78年のシリーズは『太陽~』のもろ裏番組だったもんで、私は『七人の刑事』という「刑事ドラマの代名詞」を1話たりとも観たことがありません。男性ハミングによるオープニングテーマからして辛気臭く、観てみたいという興味も全く無かったです。

けど、こうして刑事ドラマの歴史を語る上で外せない作品だし、早坂暁、向田邦子、石堂淑朗、小山内美江子、ジェームス三木、佐々木守、長谷川和彦、倉本聰etc…といったそうそうたる脚本家陣の名前を見るにつけ、今じゃ是非観てみたい!っていう想いが募るばかりです。


☆『特別機動捜査隊』1961~1977

『七人の刑事』第1シリーズとほぼ同時期にテレビ朝日(当時はNET)系列でスタートし、『太陽にほえろ!』さえ及ばなかった15年半という、60分枠の刑事ドラマとしては最長放映記録(全801話)を達成した作品。出演は波島進、中山昭二、青木義朗、里見浩太朗、亀石征一郎ほか。

国産初の1時間連続ドラマで、アクション刑事ドラマの元祖とも言われてます。警視庁の「初動捜査班」が「機動捜査隊」と改称されたのは、当時の警視総監がこの番組のファンだったからだそうで、あの時代におけるテレビの絶大な影響力が伺えます。けれど、これも私は観たことがありません。


☆『キイハンター』1968~1973

TBS系列の土曜夜9時枠で5年間、全262話が放映されました。出演は丹波哲郎、千葉真一、野際陽子、川口浩、谷隼人、大川栄子ほか。

国際警察特別室という架空の秘密部隊「キイハンター」の活躍を描く、刑事ドラマというよりスパイ活劇に近い内容ですが、同じTBS&東映チームが後に放つ『Gメン'75』の原点として外せない作品。

このドラマの大ヒットにより千葉真一さんがスターになり、共演者の野際陽子さんと結婚されたのは有名な話。シリーズ中盤から宮内洋さんがメンバーに加わり、終盤にはキイハンターに憧れる私立探偵として沖雅也さんも登場します。

『特別機動捜査隊』から日本の刑事物にも銃撃戦やカーチェイス等のアクション描写が導入され、この『キイハンター』あたりで刑事ドラマ=アクション物のイメージが定着したんじゃないかと思います。


☆『東京バイパス指令』1968~1970

日本テレビ系列の金曜夜9時枠で全65話が放映されました。普段は「東京マスコミ研究所」という一般企業を装う、警察手帳も拳銃も持たない秘密捜査官の活躍を描いた「特命刑事」ジャンルのパイオニア的作品。

ゆえに正統派の刑事ドラマとは言えないんだけど、日テレ&東宝の製作で岡田晋吉プロデューサーが参加されており、直接『太陽にほえろ!』に繋がっていく作品として見逃せません。

主演も岡田Pの青春ドラマでスターになった夏木陽介&竜雷太のコンビで、後者が後に「ゴリさん」として『太陽~』の中心刑事になるのはご存じの通り。

内容的にも『太陽~』に通じる要素があるのかどうか、是非確かめたいのですが視聴する機会は巡って来そうにありません。


☆『五番目の刑事』1969~1971

NET(現テレビ朝日)系列の木曜夜8時枠で全25話が放映されました。東京・新宿にある東新宿署、つまり所轄の警察署が舞台で、ジーンズスタイルでジープを乗り回すハミダシ刑事が活躍するドラマだそうで、主役は原田芳雄さん。

これを真似して『太陽にほえろ!』のマカロニ刑事(萩原健一)やジーパン刑事(松田優作)が生まれたのかどうか分からないけど、そんな先駆者がとっくに存在した事実に驚きました。最近DVDが発売されたので、その内レビューする事になるかも知れません。


☆『刑事くん』1971~1972

TBS系列の月曜夜7時半からの30分枠「ブラザー劇場」で全57話(第1部)が放映され、後に第4部まで続編が創られた人気ドラマ。

『刑事コロンボ』のヤング版みたいなイメージで『柔道一直線』の桜木健一さん(第4部のみ星正人さん)が新米刑事を演じるコメディで、刑事ドラマと青春ドラマの融合という部分では『太陽にほえろ!』の先を行ってます。

脚本に佐々木守さんや長坂秀佳さん等と共に市川森一さんも参加されており、親交のあった萩原健一さんや沢田研二さんを『太陽~』より先にゲスト出演させた点でも先駆的で、これもまた機会があれば観てみたいです。

以上が、刑事ドラマの歴史を語る上で外せないラインナップかと思います。他にも『鉄道公安36号』『ザ・ガードマン』など、異業種ながら刑事ドラマのフォーマットで創られたヒット作品が存在しますが、ここでは警察モノに限定しておきます。

こうして並べてみると『太陽にほえろ!』は決して突然変異的に生まれた作品じゃなくて、これら偉大な先駆者たちが開拓し、積み重ねて来たものの集大成なのかも?っていう気がして来ました。いや、確実にそうでしょう。

『太陽~』が何より凄いのは、これら個性豊かな作品たちの各要素を全て網羅してる点で、悪く言えば「何でもアリ」なんだけど、それこそが刑事ドラマ史上最大の発明だったのかも知れません。

試行錯誤しつつ様々な形で創られて来た刑事ドラマたちが『太陽にほえろ!』というキーステーションに集結し、そこからまた『夜明けの刑事』=人情、『Gメン'75』=ハードボイルド、『特捜最前線』=人間ドラマ、『西部警察』=アクション、『噂の刑事トミーとマツ』=コメディ、近作なら『相棒』=謎解き、といった具合に枝分かれして行く。そんな図式が見えて来ました。
 

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4 コメント

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>ムーミンさん (ハリソン君)
2018-09-12 01:20:29
私は『太陽にほえろ!』がスタートした年でまだ小1でしたから、それ以前の刑事ドラマは全く知りませんでした。父親がドラマ嫌いだった影響もあるでしょうね。

『太陽』はたまたま兄が観始めた(たぶん観ないと学校で話題について行けなかったんでしょう)お陰で出逢うことが出来ました。兄がいなければずっと観ないままだったかも知れません。
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>gonbeさん (ハリソン君)
2018-09-12 01:11:55
関西に住んだことがある40代以上の方は、たぶん100%の人が「最も優秀な刑事=『部長刑事』」と答える筈です。

それほど世間に浸透してたのは、放映期間の長さと、やっぱりテレビというメディアの存在感ですよね。録画しといて後で観るという習慣が無かったあの頃は、おっしゃるように開始数分前にテレビの前に座り、眼と耳に焼き付けるよう集中して観てましたよね。

『家政婦のミタ』や『半沢直樹』がいくら40%の視聴率を稼ごうが、皆もう忘れてますもんね。良くも悪くも、あの頃はテレビの時代でした。
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Unknown (ムーミン)
2018-09-11 19:24:11
父が刑事ドラマ好きでしたので、特別機動捜査隊は見ていました。キイハンターとザ・ガードマンも見ていました。キイハンターはアクション中心でしたので子供でも楽しめました。ただ子供でしたのでそんなにハッキリと内容は覚えていないですね。特別機動捜査隊は大人になった今ちゃんと見てみたい作品です。
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いやあ、懐かしいですね。 (gonbe5515)
2018-09-11 16:48:23
「キーハンター」覚えています。毎週楽しみにしていました。
♪恋も夢も望みも捨てて
♪命かける非情の掟
でしたっけ?今も忘れないくらい、回数を聴いたということでしょう。

部長刑事は知ってはいましたが、見てはいません。ただ、よくネタにされていたので、覚えています。
Q:日本で一番優秀な刑事は?
A:部長刑事。 30分で事件を解決してしまうから。

今回紹介されたドラマの放送回数を見て驚きました。10回前後で最終回になってしまう昨今のドラマを思えば、どれもとんでもない長寿番組ですよね。

当時と今との世相の違い、視聴者の好み、情報数の違い等、理由はいろいろ挙げられるでしょう。ただ、始まる10分前にはテレビのそばに行っていたあの頃のような、毎回放送が楽しみでしかたがないドラマはまれになってしまったのが残念です。
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