









☆第153話『モナリザの想い出』
(1975.6.20.OA/脚本=小川 英&田波靖男/監督=児玉 進)
当時、空前のブームを巻き起こした絵画「モナ・リザ」をモチーフにした、テキサス刑事(勝野 洋)の純愛ストーリー。ナット・キング・コールの歌唱で大ヒットした『モナ・リザ』のメロディも効果的に使われてます。
藤堂チームが収賄容疑でマーク中の土木公団局長=村松(根上 淳)は画廊を経営しており、そこで張り込んでたテキサスが、ひょんな事から村松の一人娘=聡子(藍とも子)と親しくなります。
村松が今は亡き妻をモデルに描いた肖像画に、聡子の面影を感じて見入ってるテキサスを、彼女は貧乏画家だと思い込みます。どっからどう見ても体育会系なんだけどw
村松の尻尾がなかなか掴めず苦戦中とあって、ボス(石原裕次郎)はそのまま貧乏画家になりすまして聡子に接近するよう、テキサスに命じます。
出逢った時から既に惹かれ合ってるテキサスと聡子は、みるみる親密さを増していき、手を繋いでデートする仲になっちゃう。
もちろん、最終的には村松を逮捕しなくちゃならないワケで、テキサスは失恋した上に「仕事のために私を騙し、利用した男」として、聡子から恨まれる羽目になっちゃいます。
だけど、マカロニ(萩原健一)がその試練を味わった『愛するものの叫び』やジーパン(松田優作)の『新宿に朝は来るけれど』は、いずれも好きになった彼女が殺人犯だった!という、あまりに救いようのないバッドエンドでした。
それに比べればテキサスの場合、まだ一般的な失恋に近い感覚で、だからこそ私はガキンチョ時代、このエピソードを観て号泣したもんですw
大人になった今観ると、前述の通りマカロニやジーパンに比べると甘い話なもんで、若い時ほど心は動かないですね。
「胸がキュウっと痛いか? 若い時にはよくあるもんだ」
ラストシーンでテキサスにかけたボスの言葉がコレですからねw
高視聴率によりマイルド化せざるを得なかったのかも知れないし、テキサス=勝野洋さんの純朴なキャラクターが、自然にそうさせた側面もあるでしょう。
山さん(露口 茂)も上半身を30度傾けながら「あいつ、生まれて初めて女の子に惚れたのかも知れんな」とか言ってるしw いくらなんでも20代半ばで、純朴にも程があるw
セクシャルな匂いが完全に取り払われ、良くも悪くも『太陽にほえろ!』がファミリー向けの番組にシフトしたことが、こういう部分でも確認出来ますね。
藍とも子さんは当時21歳。モデル出身で、前年放映の『ウルトラマンレオ』が女優デビュー作。映画『メカゴジラの逆襲』等、特撮ファンに馴染み深い女優さんです。
刑事ドラマにも数多くゲスト出演されており、特に『太陽にほえろ!』は通算5回と、恐らく最多出演作じゃないでしょうか?
中でも、本エピソードにおける天真爛漫なお嬢様役はとても魅力的で、強く印象に残ってます。
https://blog.goo.ne.jp/mccreary/e/a6039292541ea20d0841f7190045871c
『太陽にほえろ!』も、MAC隊員に松田優作を射殺した手塚茂夫氏が出演していたり、その時の撮影話を藍さんら若手に話をしていたなんてエピソードもあるくらいで、無名俳優ばかりだった周囲に、実績のある彼が場を和ませるよう努めていたということなのでしょうね。そういえば根上淳氏も、『帰ってきたウルトラマン』のレギュラーでしたか。同時代のドラマですから、刑事と特撮でジャンルは違っても、意外と共通して出演しているというのも面白いところです。それにしても
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藤堂チームが収賄容疑でマーク中の土木公団局
って、七曲署捜査一係って、1課と2課の案件ともども全力投球で捜査なんですね(苦笑)。すごいものです。これも所轄だけで事件が捜査しちゃえる時代ならではです。この回は未見ですので、ぜひ鑑賞したいと思います。