最後の授業(2)
LA DERNIÈRE CLASSE
Récit d'un petit alsacien
——————————— 【2】—————————————
Le temps était si chaud, si clair !
On entendait les merles siffler à la lisière du bois, et
dans le pré Rippert, derrière la scierie, les Prussiens qui
faisaient l'exercice. Tout cela me tentait bien plus que
la règle des participes; mais j'eus la force de résister, et
je courus bien vite vers l'école.
——————————— (訳)—————————————
天気はとても暑かったし、とても快晴であった.
森のはずれには黒ツグミの鳴き声が聞こえていた.そして
リペール牧場や、製材所の裏でプロシャ兵の演習の音が聞こ
えていた.何もかもが「分詞の規則」よりもはるかに私には
魅力的だった:しかし逆らえない力を感じて、私は大急ぎで
学校へと走った.
——————————— 《語句》—————————————
使用した辞書:クラウン仏和4版、ロワイヤル仏和2版など
(など=ネット検索を含む)
参考書 :「これならわかるフランス語文法」(NHK出版)
temps (m)❶ 時、時間、❷季節、シーズン、❸天候、天気
C'est le temps des cerises. / サクランボの季節だ.
temps chaud et humide / 蒸し暑い天気
本文では❸の「天気」の意味.いちいち訳さなくてもよい.
自然な日本語は「とても暑く快晴だった」
訳は不自然だけど仏文の理解のため、あまり意訳をかけない.
merle (m) 黒つぐみ、黒うたどり
(スズメをペンギンの色にしたような黒い鳥でお腹は白色、
楽器のピッコロのような音でピーヒャラと鳴く)
siffler (自) 口笛を吹く、ひょうという音を出す.
lisière (f) ❶(織物の)縁布、❷端、はずれ
à la lisière de la forêt / 森のはずれに
bois (m) 森, 林
pré (m) (小)牧場、草地、野原
le pré Rippert: リペール牧場(リペールは人名で牧場所有者)
一般に牧場は、その所有者の名前で呼ばれるらしい.
scierie [発音siri スィリ](f) 製材所
tentait (半過去3単) <tenter (他) ❶試みる、試してみる
❷気をそそる、誘惑する
Ce gâteau me tente. / この菓子はおいしそうだ.
règle [レーグル](f) 規則、法則
participe (m) 分詞
force (f) 逆らえない力、強制力
avoir la force 逆らえない力を感じる
—————————≪文法≫—————————————————
知覚動詞 entendre 基本構文
◉ 主語+他動詞+人(モノ)+不定詞
人(モノ)が不定詞するのを聞く(~するのが聞こえる)
◉ 主語+自動詞+不定詞+人(モノ):
人(モノ)は不定詞の意味上の主語
J'entends siffler le train. / 汽車が汽笛を鳴らしているのが聞こえます.
siffler le train は英語での語順と異なるので要注意.
On entendait les merles siffler.
黒つぐみが鳴いているが聞こえていた.
知覚動詞 entendre qui構文
これも基本構文と同じように訳すのがいいと思います.
J'ai entendu ma voiture qui parlait à son chien.
A)私はお隣さんが犬に話しかけているのを聞いた.
「これならわかるフランス語文法」(NHK出版)より引用
理屈で訳すなら
B)私は犬に話しかけているお隣さん(の声)を聞いた.
ですが、フランス人の頭の中はA)だと思います.
同様に
C)Derrière la scierie, on entendait les Prussiens qui faisaient l'exercice.
製材所の裏ではプロシア(プロイセン)兵が軍事演習するのが聞
こえた.
*兵という言葉はありませんが、この物語では armée prussienne
を言っています.