イギリスの青年詩人P.B.シェリ(1792 ~ 1822)の詩にこんな一節があります。
The desire of the moth for the star, 星を求むる蛾の願い
Of the night for the morrow, 暁を待つ夜の想い
The devoion to something afar, この悲しみの世界より
From the sphere of our sorrow. 遥けきものへ捧ぐる心 (斉藤勇 訳)
P.B.シェリは英文学史に名を連ねる文学者の中でもとびぬけた美男子で、いまに残るいくつかの詩を書いています。なお奥さんも美女で怪奇小説(フランケンシュタイン)を書いて名を残しています。シェリーはヨットに乗って海に出て30歳で亡くなりました。
「星を求むる蛾の願い」という一行は多くの人の心をとらえるらしく、ネットで検索するといろんな人が自分のモットーにしたり、会の名前につかったりしています。斉藤勇という英文学者は「はかない想いであっても、遥かなものに憧れ、挑む青年の心」を伝えるこの一行を自分の著書に題名にしています。
蛾が星にむかって夜空をどこまでも飛んでゆく。宮澤賢治の『夜鷹の星』、アンデルセンの『みにくいあひるの子』と同じテーマです。……遥かなものへの憧れ。
それが青年の心です。いまのぼくは、足腰が弱り、白髪が増え、皮膚がたるんできたから年寄りなのでなく、憧れる青年の心を失っているから年寄りなのです。
でもかつて自分も持っていた青年の心を取り返そうと思わないがいい。ともすると若い頃をふり返ってしまいますが、いまはいまなりの存在の意味があります。累々たる青年の残骸をたどるだけが能ではないのです。
「いま、ここに」生きているつもりでも、ついつい昔を振り返ろうとする自分に言い聞かせるつもりで書きました。畑の潅水ですが、きのうは太いパイプを開けませんでした。天気予報では今夜一雨あるかも。もう一日待ってみます。
The desire of the moth for the star, 星を求むる蛾の願い
Of the night for the morrow, 暁を待つ夜の想い
The devoion to something afar, この悲しみの世界より
From the sphere of our sorrow. 遥けきものへ捧ぐる心 (斉藤勇 訳)
P.B.シェリは英文学史に名を連ねる文学者の中でもとびぬけた美男子で、いまに残るいくつかの詩を書いています。なお奥さんも美女で怪奇小説(フランケンシュタイン)を書いて名を残しています。シェリーはヨットに乗って海に出て30歳で亡くなりました。
「星を求むる蛾の願い」という一行は多くの人の心をとらえるらしく、ネットで検索するといろんな人が自分のモットーにしたり、会の名前につかったりしています。斉藤勇という英文学者は「はかない想いであっても、遥かなものに憧れ、挑む青年の心」を伝えるこの一行を自分の著書に題名にしています。
蛾が星にむかって夜空をどこまでも飛んでゆく。宮澤賢治の『夜鷹の星』、アンデルセンの『みにくいあひるの子』と同じテーマです。……遥かなものへの憧れ。
それが青年の心です。いまのぼくは、足腰が弱り、白髪が増え、皮膚がたるんできたから年寄りなのでなく、憧れる青年の心を失っているから年寄りなのです。
でもかつて自分も持っていた青年の心を取り返そうと思わないがいい。ともすると若い頃をふり返ってしまいますが、いまはいまなりの存在の意味があります。累々たる青年の残骸をたどるだけが能ではないのです。
「いま、ここに」生きているつもりでも、ついつい昔を振り返ろうとする自分に言い聞かせるつもりで書きました。畑の潅水ですが、きのうは太いパイプを開けませんでした。天気予報では今夜一雨あるかも。もう一日待ってみます。