まるまると転って来し寒雀 稲畑 廣太郎
夜半に降った雪は、夜明けには止んでいたけれど、庭に3センチほど積もっていた。
箒で掃くと白く乾いた地面が出てくる、気温が低下している証拠である。
雪が除かれた場所で餌を漁る、丸く膨らんだ雀がいた。正真正銘の寒すずめである。
昭和30年代 巷には雀があふれるほどいた、黄金色に色づいた稲田に雲のような集団で飛来し稲穂を食い荒らした。
農家は案山子 爆音器 鳴子 テープ 網などを使って食害防止に努めたけれど効果は限定的でしかない。
その雀が珍鳥に変わってしまった、何が起きたのだろう?
現在「寒すずめ」は俳句の季語として知られているようだが、旬の焼き鳥の食材として、悠久の歴史がある。
寒雀の焼き鳥の旨さは、食べた者でなければわからない。