新雪常念
朝 予報通りの銀世界、まだ降り続いていた。
朝ドラを見ていたらゴツンという音がしので外を見たけれど、別段何も見えなかった。
朝ドラは、どんなにつまらなくても、最後まで見てしまうという不思議な依存性がある。
終わってから再度検分に立ったかみさんが、勝手口ドアの下にうずくまっているツグミを発見した。
触っても逃げようとしない、手の中に包み持って調べると外傷は認められない。
そのうちに手から飛び立つように羽ばたきを始めた。
窓を開けて外に放り上げたら、真っすぐに飛んで母屋の庇の新雪に突っ込んだ。
首を振って、何かを思い出す素振りをしていたけれど、今度は力強く飛び立って雪のすだれの中に消えた。
ツグミが激突した勝手口のドア 外の景色を鏡のように映している。
「ガラス注意」の張り紙を考えた。
それとも「待ちぼうけ」のように寝て待つとしようか 真偽はさだかでないが、さる料亭ではツグミの焼き鳥が一羽数千円だそうだ。