さかのぼれば、1月に約2週間かけて「コ」の字に曲がるまで日陰で干した大根を、米ぬか・粗塩・昆布・干した柿の皮・干したみかんの皮・鷹の爪で漬け込み約3カ月間、やっと昔ながらの「大根のぬか漬け」ができた。特有のこだわりは砂糖を一切入れないこと。勿論、着色料も入れない。
一口噛むと、ぬかと塩がほどよくしみ込んだ風味がする。途端に「母が作ってくれた昔なつかしい味」を思い出す。その後に、柿の皮からにじみ出た「ほのかな甘味」が口に広がってくる。さらに、昆布・みかんの皮・鷹の爪は、それらに深味を持たせてくれる。短期間で漬ける漬物とは、味の深味が全く違う。ご飯、茶漬け、茶がゆ、おにぎり、何にでも合う。
食べるときも、こだわりがある。たくあんは輪切りに切るのが一般的だが、自分は写真のように切って食べる。こうすると、厚みがあるので噛む時の食感や噛んだ後の味の広がりが、一噛みごとに堪能できる。