
「ぼくにちょうだい」
可愛いから、気に入られたいから、つい気が緩む。
今日のテーマは、「選ばれしこと」です。
ある日のこと、ある一組の夫婦を前に、私はしたたかに酔っぱらっていました。
「あんたが、選んだんじゃない、奥様にあなたが選ばれたのです」
何度も、問答を繰り返す。
旦那はついに、俺が結婚しようと申し込んだんだよ。と言った。
その後も、なれそめをうだうだと言ってたように思う。
覚えていないし、興味もなかった。
俺が結婚してやったんだ。
いっぱいいたけど、泣きそうなくらい懇願するあんたが可哀そうで、嫁になってやったんだ。
数多いる異性の中から、一人を選ぶ。奇跡的な出会いです。
奇跡的な出会いのはずが、結婚後もっとよさそうに見える人に出会う。
一時期夢中になるが、あることを境に急に熱が冷めていく。
別れないで、今でも腐れ縁を続けている。
ベストじゃないけど、ベターかな。
職業は、こうこうですと、名刺を交換する。
ちょっぴり自慢の「課長」の肩書。
この仕事に就いたのは、ひょんなことからだった。
食うのに困っていたから、選んだ。
給料が良いわけでもない、好きな仕事でもなかった。
家族のために、会社のために、自分のために一生懸命仕事に精を出した。
今でも、やりたい仕事ではなかったと言える。
でも選んだのだから、やってきた。
子どもも手を離れ、永年の夢だった仕事を始めた。
こんなはずじゃなかったと、数年後に見事にこけた。
ベストな選択のはずが、最悪な結果になった。
よくある話です。
できることをやる。それが仕事です。
始めたときは、得意なことや好きなことではなかった。
肩書がとれて、妻が君臨する家庭に入るとよくわかる。
炊事、洗濯や掃除をやらざるをえない。
妻に指導を受け、やっているうちに少しましになっていく。
こんなはずじゃなかったが、時々妻に褒められる。
やればできるじゃない。
続けるからには、何か面白いことがある。
得意ではないが、知恵を絞り身体を使い、工夫を重ねるうちになくてはならぬ人になっていた。
あんたは凄いと認められても、まだ忸怩たるものがある。
世間でいう3K(汚い、危険、きつい)や4K(+嫌い)の仕事だけど、自分にあっていた。
第一、自分が好きなことや得意なことって、本当のところはわからない。
これしかないと気づく。これが実情です。
好きな人だって、突き詰めればよくわからない。
美人で、スタイルがよくて気立てがよい。
経年変化の将来の姿(おかめで、でぶでヒステリック)なんて想像もできない。
妻のおっぱいに、いつできたか穴がある。ばーかそれはへそだよ。
うーん、腹も胸も高低差なし。
破れ鍋にどじぶた。
なにしろ、馬が合うんです。
あんたでよかった。
あるとしたら、今度の人生は別の人がいいな。
かもしれない。
「選ばれしこと」は、曖昧です。
少しだけで良い、歓びがあればよい。
歓びを見つけられるから続けられる。
てな、もんか。
暇寒い 猫ちゃんいつか すり寄って
2019年1月12日