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溺死事故_風呂と眠気
溺死事故の中で意外にも多いもので入力中の溺死事故がある。入浴中の睡眠は失神に近い。横たわったり,電車の中で眠気を催すのは筋肉の緊張状態がほぐれ、心拍数が減少することで、脳が睡眠誘発物質メラトニンを分泌し、人体により効率的な休息を与えようとするために起こる。
しかしながら、入浴中に起こるそれは血圧の変化(Change in Blood Pressure)に伴なう一種の意識喪失であると言う。
そもそも血流とは体の各部酸素・栄養分・暖かい血液を体の隅々に送り体温を維持する働きがある。そしてポンプである心臓や血管は体のさまざまな変化に対応し、自律神経との連携で血流量を調節している。これが血圧の変化である。
日常生活の中でもっとも大きな血圧の変化を受けるのが入浴なのである。入浴時に衣服脱ぐだけで血圧が上昇する。(例107→112)これは脱衣による肌で感じる温度の低下に対して血圧上昇・抹消組織への血流量増加による体温維持のメカニズムによるもの。
さらに浴槽(41℃)に1分浸かることで、血圧は112→155にまで上昇する。これは「熱い」という危険な刺激に対して交感神経が働き、血圧を上昇させたと言える。ところがさらに入浴を続けていくと、普通の身体活動では見られないほど急激な血圧の下降が見られる。それは体温が上がり過ぎないように血管が拡張し、血圧が下がるためである。
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そして血圧が通常時より降下し続けると脳内に送られる血流量・酸素量が減少するために覚醒レベルが保てなくなる。つまり脳の虚血によって意識が遠のいてしまうのである。いわゆる立ちくらみと同じである。風呂での眠気はゆっくり失神しているのと同じである。
このことは重大な問題を引き起こしている。日本における溺死の半数近くが入浴時に起こっていることである。
人間は危険のある刺激に対して血管を収縮させ、血圧・体温を上昇させる。入浴に適した温度は41℃までで1℃を超えるだけで血圧は著しく変化する。人間が熱くて危険とされる温度は42℃で、長くさらされると体内のタンパク質が破壊され始め、血圧の急上昇が起こる。しばらく浸かり体が危険でないと判断すると血管拡張が進み、血圧が下降する。この時脳の血流量が急激に低下し、意識喪失を招いてしまう。
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これはパイロットが急激な上昇で起こる強力な加速度で脳の血液が不足して意識を失うのと同じ現象(ブラックアウト現象)である。また高血圧の人ほど血圧の降下は急激である。危険な状態を招きやすいのである。この高温のお湯で起こる溺死は高齢者に多いと言う。高齢者になるにしたがって血圧を調節する交感神経の機能が弱まるためである。
交感神経とは呼吸や心臓の鼓動を大脳の制御を受けずに働かせる神経。だが、ニューロンは年齢とともに数が減少し働きが衰える。つまり体温や血圧の上昇に対して反応が鈍くなってしまう。この血圧の変化に対する鈍さが脳の虚血を引き起こすのである。
また入浴時刻によっては年齢に関係なく溺死事故を引き起こす。それは血液は時刻によって血管中の水分量が変化してサラサラになったりドロドロになったりするからである。これを血液粘度(Blood Viscosity)という。
睡眠中は汗や呼吸によって体内の水分を放出しており、水分補給は行われていない。いわば血液はドロドロの状態である。熱い風呂によって交感神経が血管を収縮し、血圧が上昇する。つまり若い人でも睡眠中は一時的な高血圧状態…。さらに入浴による発汗現象が起きたとしよう。また飲酒によって交感神経が麻痺して入浴時の血圧降下が促進されたするならば、意識喪失を招き、溺死に導かれることは十分に考えられる。このように若者を含む風呂での溺死事故は80年代以降急増していると言う。