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薬とスポーツ
筋肉増強剤、興奮剤などのドーピングは飛躍的な記録の向上が望める一方、その使用によって肉体に過度な負担がかかり、深刻な副作用をもたらす。つまりドーピングによって健康だった選手が突然、死にいたることも考えられる。
ドーピンングは1920年代、陸上の選手がアンフェタミンという興奮剤を使用したのが始まりである。
1960年ローマオリンピックでは自転車競技の選手がアンフェタミンの乱用で死亡。1967年のツール・ド・フランスでもアンフェタミンの使用で死亡事故がおこっている。
アンフェタミンは強い覚醒効果があり、極度の興奮状態に陥るため疲労困憊でも自覚することなく、運動を続けることが可能になる。そのため自分の体力の限界に気付かず、心臓などに過剰な負担がかかり、突然死にいたる危険がある。
しかし、アンタフェタミンが効果を発揮するのは使用直後から3時間ないし5時間だけ。競技が終了してから何日もたって死ぬことはない。アンフェタミンの持続性から言って何日も経ってから死ぬことはあり得ない。
IOC国際オリンピック委員会では1200種以上の薬品をドーピング対象にリストアップしていた。
ところが血液ドーピングであれば、発見しにくく、記録の向上も望める。血液ドーピングとは競技の1ヵ月ほど前に1千㏄ほど血液を抜いて保存しておき、血液の増血作用で元の血液量に戻った競技直前に保存しておいた血液を再輸血すると言うものである。これはドーピングの一つとして禁止されているが、自分の血液を出し入れしているだけなので、薬物反応は出ない。
たとえばツール・ド・フランス(Tour de France)の場合、200名以上の選手が、20日以上をかけて4000㌔㍍を走破する過酷なレース。
その選手達がペダルを漕ぎ続ける場合大量の酸素が必要となる。その酸素を全身の筋肉に運ぶのが血液中に含まれるヘモグロビンである。ヘモグロビンは1㌘あたり1・34㍉㍑の酸素しか運べないこの効率はどんなにトレーニングしても変化しない。そこでこの血液ドーピングは体内の血液量が増加するためヘモグロビンの量も増える。その結果筋肉に送られる酸素の供給量が30㌫近く増加する。当然持久力もアップし、記録の向上が望めるわけである。
しかし、赤血球が増えすぎると血液の粘度が上がり、ドロドロの状態になる。その結果、血栓と呼ばれる血のかたまりができて血管が詰まりやすくなる。心筋梗塞などの心臓発作を引き起こす可能性がある。
血液ドーピングが旧共産圏のスキー選手達に使われ始めたのは1970年代から80年代。時期的にもスキー選手達が血液ドーピングを使用した可能性は高い。ところが体内から抜きとった血液を変化させないで、長期間保存しておくのは技術的に大変難しい。しかも保存状態や輸血技術が悪いと感染症にかかる危険性がある。つまり血液ドーピングは専門的な医療施設でしか実施できない。
ツール・ド・フランスのような長期間にわたる国際的な大会の場合、税関などで血液パックや輸血器具が発見される可能性がある。
血液ドーピングは国家や組織のバックアップがない限り個人の選手レベルではできない。
そこで新たな方法が発見された。スペースシャトル上で貧血治療の新薬が開発されたことで、“数百万人の命を救える可能性がある”と報じられた。その新薬とはエリスロポエチン(Erythropoietin)という血液中の赤血球の数を飛躍的に増加させる造血ホルモンである。地球上では人工的に精製することが不可能と言われていた。これは血液中の赤血球を増やす指示を出す造血ホルモンである。血液中に微量に存在し、腎臓の中で作られる。腎臓には体内を循環している血液中の酸素量を感知するメカニズムがある。酸素量が足りない状態になるとエリスロポエチンを作り、血液中に放出する。放出されたエリスロポエチンが骨髄の中の幹細胞に働きかけ、赤血球へと変化させる。つまり、血液中のエリスロポエチンが増えるほど赤血球の量が増え、持久力が強くなる。この効能を利用して腎性貧血症や人工透析患者の治療薬として開発が待ち望まれていた。
なぜスペースシャトル上で開発されたかというとエリスロポエチンのようなホルモン精製には電気泳動法が使われるが、この方法は重力の影響を受けるため地球上ではほとんど精製できなかった。そこで無重力状態のスペースシャトル上で純度4倍のエリスロポエチンの精製が可能となったわけである。量にして700倍もの精製が可能となったのである。そして人工透析患者の社会復帰の道が開ける可能性が高まった。
エリスロポエチンを健康な人間が使用するとどうなるか。血液ドーピング以上に飛躍的に持久力が得られる。しかし、血液中の赤血球の割合は正常だと40㌫程度。健康な人がエリスロポエチンを大量に使用すると赤血球が最高で80㌫近くにまで達して命に関わる問題になる。血液中の粘度が上がるため血栓ができやすくなる。心筋梗塞などの心疾患を引きおこす。
とくに自転車レースのような長期間にわたる運動の場合体内の水分が失われ、血液が濃縮するため余計にそれらの疾患を起こしやすくなる。
一方ドーピング検査はほとんど尿検査によって行われていたが、エリスロポエチンの使用については特定できない。そのため血液を使った検査方法を現在開発中である。だが、血液検査でエリスロポエチンが検出されたとしてももともと血液中に存在しているホルモンなので、投与されたものかどうかの判定は極めて難しい。
そして現代ではエリスロポエチンの乱用はスポーツ界全体を覆う大きな問題となり、EPOという名で報道されている。
しかし、元来貧血治療の特効薬として開発され、使用されている。その売上は日本国内だけでも1000億円に達している。
さらに大きな可能性も秘めている。アメリカカルフォルニア大学ではエリスロポエチンの遺伝子を特殊なウイルスに組み込むことに成功し、病気の原因となる特定細胞を狙うウイルスの開発に漕ぎつけた。
愛媛大学と京都大学の共同研究で、エリスロポエチンは脳梗塞による痴呆症状を抑える効果を持っていることが確かめられた。
エリスロポエチンを投与すれば記憶を司る海馬の細胞が守られるため、脳死状態でも記憶が保たれ、脳梗塞による痴呆状態による痴呆が軽くなる。まさに百万人の命を救えるホルモンになる可能性を秘めている。
薬とスポーツ
筋肉増強剤、興奮剤などのドーピングは飛躍的な記録の向上が望める一方、その使用によって肉体に過度な負担がかかり、深刻な副作用をもたらす。つまりドーピングによって健康だった選手が突然、死にいたることも考えられる。
ドーピンングは1920年代、陸上の選手がアンフェタミンという興奮剤を使用したのが始まりである。
1960年ローマオリンピックでは自転車競技の選手がアンフェタミンの乱用で死亡。1967年のツール・ド・フランスでもアンフェタミンの使用で死亡事故がおこっている。
アンフェタミンは強い覚醒効果があり、極度の興奮状態に陥るため疲労困憊でも自覚することなく、運動を続けることが可能になる。そのため自分の体力の限界に気付かず、心臓などに過剰な負担がかかり、突然死にいたる危険がある。
しかし、アンタフェタミンが効果を発揮するのは使用直後から3時間ないし5時間だけ。競技が終了してから何日もたって死ぬことはない。アンフェタミンの持続性から言って何日も経ってから死ぬことはあり得ない。
IOC国際オリンピック委員会では1200種以上の薬品をドーピング対象にリストアップしていた。
ところが血液ドーピングであれば、発見しにくく、記録の向上も望める。血液ドーピングとは競技の1ヵ月ほど前に1千㏄ほど血液を抜いて保存しておき、血液の増血作用で元の血液量に戻った競技直前に保存しておいた血液を再輸血すると言うものである。これはドーピングの一つとして禁止されているが、自分の血液を出し入れしているだけなので、薬物反応は出ない。
たとえばツール・ド・フランス(Tour de France)の場合、200名以上の選手が、20日以上をかけて4000㌔㍍を走破する過酷なレース。
その選手達がペダルを漕ぎ続ける場合大量の酸素が必要となる。その酸素を全身の筋肉に運ぶのが血液中に含まれるヘモグロビンである。ヘモグロビンは1㌘あたり1・34㍉㍑の酸素しか運べないこの効率はどんなにトレーニングしても変化しない。そこでこの血液ドーピングは体内の血液量が増加するためヘモグロビンの量も増える。その結果筋肉に送られる酸素の供給量が30㌫近く増加する。当然持久力もアップし、記録の向上が望めるわけである。
しかし、赤血球が増えすぎると血液の粘度が上がり、ドロドロの状態になる。その結果、血栓と呼ばれる血のかたまりができて血管が詰まりやすくなる。心筋梗塞などの心臓発作を引き起こす可能性がある。
血液ドーピングが旧共産圏のスキー選手達に使われ始めたのは1970年代から80年代。時期的にもスキー選手達が血液ドーピングを使用した可能性は高い。ところが体内から抜きとった血液を変化させないで、長期間保存しておくのは技術的に大変難しい。しかも保存状態や輸血技術が悪いと感染症にかかる危険性がある。つまり血液ドーピングは専門的な医療施設でしか実施できない。
ツール・ド・フランスのような長期間にわたる国際的な大会の場合、税関などで血液パックや輸血器具が発見される可能性がある。
血液ドーピングは国家や組織のバックアップがない限り個人の選手レベルではできない。
そこで新たな方法が発見された。スペースシャトル上で貧血治療の新薬が開発されたことで、“数百万人の命を救える可能性がある”と報じられた。その新薬とはエリスロポエチン(Erythropoietin)という血液中の赤血球の数を飛躍的に増加させる造血ホルモンである。地球上では人工的に精製することが不可能と言われていた。これは血液中の赤血球を増やす指示を出す造血ホルモンである。血液中に微量に存在し、腎臓の中で作られる。腎臓には体内を循環している血液中の酸素量を感知するメカニズムがある。酸素量が足りない状態になるとエリスロポエチンを作り、血液中に放出する。放出されたエリスロポエチンが骨髄の中の幹細胞に働きかけ、赤血球へと変化させる。つまり、血液中のエリスロポエチンが増えるほど赤血球の量が増え、持久力が強くなる。この効能を利用して腎性貧血症や人工透析患者の治療薬として開発が待ち望まれていた。
なぜスペースシャトル上で開発されたかというとエリスロポエチンのようなホルモン精製には電気泳動法が使われるが、この方法は重力の影響を受けるため地球上ではほとんど精製できなかった。そこで無重力状態のスペースシャトル上で純度4倍のエリスロポエチンの精製が可能となったわけである。量にして700倍もの精製が可能となったのである。そして人工透析患者の社会復帰の道が開ける可能性が高まった。
エリスロポエチンを健康な人間が使用するとどうなるか。血液ドーピング以上に飛躍的に持久力が得られる。しかし、血液中の赤血球の割合は正常だと40㌫程度。健康な人がエリスロポエチンを大量に使用すると赤血球が最高で80㌫近くにまで達して命に関わる問題になる。血液中の粘度が上がるため血栓ができやすくなる。心筋梗塞などの心疾患を引きおこす。
とくに自転車レースのような長期間にわたる運動の場合体内の水分が失われ、血液が濃縮するため余計にそれらの疾患を起こしやすくなる。
一方ドーピング検査はほとんど尿検査によって行われていたが、エリスロポエチンの使用については特定できない。そのため血液を使った検査方法を現在開発中である。だが、血液検査でエリスロポエチンが検出されたとしてももともと血液中に存在しているホルモンなので、投与されたものかどうかの判定は極めて難しい。
そして現代ではエリスロポエチンの乱用はスポーツ界全体を覆う大きな問題となり、EPOという名で報道されている。
しかし、元来貧血治療の特効薬として開発され、使用されている。その売上は日本国内だけでも1000億円に達している。
さらに大きな可能性も秘めている。アメリカカルフォルニア大学ではエリスロポエチンの遺伝子を特殊なウイルスに組み込むことに成功し、病気の原因となる特定細胞を狙うウイルスの開発に漕ぎつけた。
愛媛大学と京都大学の共同研究で、エリスロポエチンは脳梗塞による痴呆症状を抑える効果を持っていることが確かめられた。
エリスロポエチンを投与すれば記憶を司る海馬の細胞が守られるため、脳死状態でも記憶が保たれ、脳梗塞による痴呆状態による痴呆が軽くなる。まさに百万人の命を救えるホルモンになる可能性を秘めている。