地球にあしあと

地球の色々なところに足跡をつけてきました。

Jjim Jil Bang

2011年07月04日 | Weblog
チムジルバン。

それは、魔法の響き。


かねてから良いと聞いていた韓国式サウナの場所をようやく教えてもらい、ようやく行ってきた。

一言でいうと、「素晴らしい

ブラボー、コリア!
マンセー、コリア!
デーハミングック、チャチャッチャチャッチャ!


このはしゃぎようからもお分かりの通り、大変気に入った。
このサウナ、大通りから1本外れた、マルガイ通りという小さな道沿いにあるのでやや分かりにくいかも知れないが、「マカティ中央郵便局の裏手」「マカティゴルフクラブの隣」と言えば分るはず、と思った。
が、タクシーの運転手はよく分かっていなかった。

ヒル・プヤット通りを直進し、アヤラ通りに差し掛かった時、本来ここを左折であるが、「ここは左折禁止だから、そこをぐるっと回るね」と、そこまでは良かった。
いわゆる、「Pターン」である。
が、アヤラ通りに出て、先ほどのヒル・プヤット通りを越えると、タクシーがそのまま直進。

「ああっ!おじさん!今のちっちゃい道がマルガイ通りだったと思うんだけど!」
「あれ~、そうだった?こっちから回ってみるね。」

だけど、回れなかった…。
工事現場の兄さんたちに聞く。
Uターンしてもう一度別の工事の兄さんたちに聞く。
だからさっきの道だってば。
待ち合わせしてるのに遅れるよぅ。


どうにかこうにかマルガイ通りに入る。
「どこ?」
「ARAっていう韓国料理屋を目指してるんだけど。」

看板が見当たらず、また運転手が通りすがりのガードに大声で聞く。
「そこだよ。」と指差された先に、あった!


運ちゃん、「えっへっへ。ごめんね。今回で道分かったから、次は大丈夫。あんたコリアン?」
コリアンと答えようかとも思ったけど、案外コリアンは海外で評判よろしくないし、チャイニーズも今領有権問題でもめてるので、正直にジャパニーズと答えておいた。

「タガログ語分かるの?」と聞かれたので、「ちょっとだけ。」と返事。
マニラではタクシーも危険なので、できるだけ道はよく知っているフリをし、タガログ語も分かるフリをすることが鉄則。

たまにタガログ語しか話さない運転手に出くわすが、まあどの道を使うかとか言ってることぐらいは分かるので、こっちは英語で返事。
相手はタガログ語、私は英語のままやり取りが交わされ、無事に目的地に到着ってなこともある。

私ももう4か月以上住んでいるので、マカティ中心部のことは分かっている。
自分が宿泊しているホテルは非常に分かりにくい場所にあるが、見事にタクシーを誘導することが可能。
マカティ外へ出てしまうと地理がよく分からないので、事前に地図を見てしっかり頭に叩き込む。


さて、ARAは閉まっていたが、ガードのおじさんに聞くと、「サウナはこの裏手だよ。」とのことなので、回り込んでみると大きな建物があった。

先に到着していたSさんが開口一番、「完全にアウェーな感じですよ。」という。
ここはすっかりリトル・コリアな環境だということらしい。
いやいや、アウェーとかホームとかじゃなくて、お友達になりましょうよ。

受付でメニューを見せてもらうと、「サウナのみ」「サウナ+チムジルバン」「サウナ+チムジルバン+マッサージ」で料金が異なる。
この時点で「チムジルバン」という言葉すら知らなかったので、「チムジルバンって何?」と思いつつ、とりあえずマッサージも受けたかったので3点セットにした。

マッサージも色々種類があって選べるが、「ドライマッサージとオイルマッサージのコンビネーションもあるよ」と言われ、なんでもコンビネーションがお得だと思ってしまう性格上、コンビネーションを選択。
一緒に行ったSさんはオイルマッサージを選択した。

お値段は1,000ペソ弱。2,000円ぐらいだ。
お金を払い、ロッカーのカギと着替えをもらう。

「時間はどれぐらいかかるもんですか?」と受付のお姉さんに聞くと、「12時間滞在が可能です。」と。
そ、そんなに長居できるんだ…。


中は日本の健康ランドやスーパー銭湯と変わらない。
入ってすぐに脱衣所とお風呂があった。
ロッカーのカギは手首につけておくタイプだ。

体重計があったので久しぶりに測ってみたら、日本を出る前と特に体重に変わりはなかった。
がんばって今日1日で痩せるぞ!(水分が出るだけであろうが。)


手渡された着替えは、水色のTシャツ+短パンが1セットと、赤いローブ+短パンが1セット。
たぶんチムジルバンにはTシャツの方を着て、ローブはマッサージの時に着るんだろうな。
念のためその辺にいたスタッフに確認。

「チムジルバンの時は下着は全部脱いでこれを着るのよね?」と聞くと、「別にどっちでもいいよ。」と言われた。
「でもパンツはいてると汗でびしょびしょになるよね?」と言うと、「替えのパンツ持ってきた?」と聞かれ、「持ってきてない。」と答えたら、じゃあ「全部脱いだ方がいいわね。」と笑われた。


ここはフィリピンなので、施設の利用方法などはこっちから聞かないと誰も教えてくれない。
とりあえず水色のTシャツ+短パンに着替え、チムジルバンがあるらしき方へ廊下を進む。
途中、アロマオイルのいい匂いが立ち込めるマッサージルームエリアもあった。

チムジルバンと書かれたドアを開けると、そこには洞窟のような窯のようなのがいくつかあり、おじさんたちもウロウロしていた。
ん?ここでいいのか?

分からずまたちょっと廊下を戻って従業員を捕まえ、聞いてみた。
「じゃあ説明してあげるわ。これが泥とオークの窯、そっちが塩、そっちが石炭。向こうにアイスルームもあるから。そこの洞穴風のところで休憩もできるし。」とのこと。

なるほど。
どうやら脱衣所とお風呂は男女別に分かれているが、そこから先は男女共用らしい。

とりあえず一番手前にあった「泥とオーク」の部屋に入ってみる。
室温は50度ぐらいになっている。

中には筵が敷いてあり、木のいい匂いがする。
壁には「陳皮」とか「甘草」とか書かれた巾着がぶら下がっている。
数年前に広島の仙酔島で入ったお風呂もこういうのだったな。
壁にかかっている注意事項は全部ハングルなので全く分からない。


筵に寝転ぶと体から一気に汗が噴き出てくる。
あ~、気持ちいい。
極楽~。


しばし汗をかいたあと、一旦出て、脱衣所エリアにあるウォーターサーバーの水を飲みに行く。
ガラスコップが6個ほど伏せておいてある。
これ、ちゃんと洗ってくれてるのかなあ…。

水分補給して再びサウナへ。
今度は隣の「塩」サウナへ入ってみた。
ここの温度設定も50度ぐらい。

岩塩が一面に敷き詰められている。
この上に寝るのかな?

岩塩の上に横たわってみたものの、熱い!
やけどしそうなのですぐに退散。

次に「石炭」サウナへ入ってみた。
奥で石炭が燃えている。

ここは筵が敷いてあったが、横たわるとその筵も熱くてやけどしそう。
室温は60度ぐらい。
たまらずすぐに出てきた。
入れ替わりに入ってきた韓国人らしきおじさんは、木の枕を手にしている。
あ、そんなのあるんだ。


あまりに暑かったので、Ice Roomと書かれた部屋に入ってみた。
マイナス7度である。

う~ん、すがすがしい!
壁には雪と言うか霜というかがびっしり。
なぜか天井に電飾がチラチラ光っている。
畳2畳分ぐらいの狭い部屋に木の椅子というか、スツールというかが並んでいる。

暑いサウナではムッとしていた空気が、寒いアイスルームでは途端に澄んで感じられる。
深呼吸。
気持ちいい。

アイスルームを出るとまた熱いサウナへ。
この繰り返しで新陳代謝を高める。


サウナの中は飲食物持ち込みと書いてあるが、韓国人らしきおばちゃんはマイウォーターボトルを持ち込んでいた。
さらにそのおばちゃん、後で休憩エリアでゆで卵を食べていた。
プロやな。

サウナの中で立ったまま本を読む男性もいた。
照明はかなり薄暗いんですけど。


サウナがあるエリアには飲み物や軽食を売るカウンターもある。
その前には大型テレビ(もちろん韓国製)と休憩スペース。
その先にもちょっとした個室のようなものがある。

売店の反対側には洞窟状の洞穴が並び、枕が置いてある。
そこでもちょっと体を休めることができる。
洞窟の上は板の間で、もちろんそこにごろりと横になってもいい。
「寝ている人がいるのでお静かに」と張り紙がしてあるが、従業員が大声でしゃべっている。
やっぱりピリピンだ。

さらに奥の方にはなぜかインターネットカフェ。
ネットカフェの横には韓国料理の食堂がある。
ネットで調べたところ、韓国のチムジルバン施設ではこれが標準装備のようだ。
サウナの中で本を読んだりするとも書いてあった。

ここの良いところは、日曜日なのに空いてること!
日本のスーパー銭湯だったら休日午後なんてごった返してるよ。


1時間ほどサウナを楽しんだ後、大浴場へ。
まずはシャワーで汗を流す。

日本の大浴場のように体を洗うエリアにはプラスチックの椅子もあり、ボディソープなんかも備え付けられている。
洗面器はなかった、ような気がする。

ボディソープの隣に置いてあるボトルには、Hair Packと書いてある。
あれ?シャンプーは?

このボディソープで髪も洗って、そのあとヘアパックかな?
なんせ、ボトルに書いてあるのがハングルオンリーなので、全く分からない。

まあいいや、とりあえず髪はお湯で洗い流すだけにしておいて、ヘアパックつけるか。
と思ってヘアパックを手に取り髪につけると、、、、泡立つ。

う~ん、Hair Packという名のシャンプーか。


シャワーエリアの横にはあかすりルームと普通のサウナもある。
つきあたりには大きな浴槽が3つあり、右から冷水、赤い色をしたGinseng(高麗人参)の湯、緑がかったGreen Teaの湯。
ここでも効用表示らしきものはハングルなので読めない。

他に誰もお風呂を使ってる人がいないので、ゆっくりとくつろげる。
高麗人参と緑茶の湯にはそれぞれ温度表示があり、高麗人参は40度、緑茶は41度と表示されている。
高麗人参にゆっくり浸かった後、次に緑茶に足を差し入れてびっくり。
熱っ!!!

明らかにどっちかの温度表示間違ってませんか?
高麗人参湯と緑茶湯、とても1度の違いとは思えません。


お風呂から上がって体を拭いていると、西洋人の女の子たちが数名入ってきて、ローブに着替えて記念写真を撮っている。
おいおい、脱衣所で写真撮んなよ、私真っ裸やん。
幸い、つい立の向こうにいたのでヌード写真は撮られていません。

また、体重は500gしか減っていなかったことをご報告いたします。


さて、お風呂の後はいよいよマッサージに行こう。
さっきの西洋人たち、来てすぐに赤いローブに着替えてたので、サウナは使わずマッサージだけなんだな。
マッサージ混んでるかもな。

赤いローブと短パンに着替え、髪の毛をドライヤーで乾かす。
日本のスーパー銭湯同様に、化粧品なども置いてあるが、相変わらずオールハングルなので分からず。


マッサージ前にお水が飲みたいと思ったが、ガラスコップが使用済みばかり。
すると従業員がやってきた。
「コップを洗うのか?」と見守っていると、4つほどあったコップのうちの1個を手に取り、シンクで洗い始めた。

なぜ1個だけ?

ドライヤーを使いながらなおも盗み見ていると、彼女はその洗ったコップで自分がウォーターサーバーの水を飲んだ。
自分用かよっ!

その後、自分が使ったコップはきちんとまた洗ってコップ置き場に伏せて去って行った。
おいっ!4つとも洗えよ!

ま、私もその唯一洗われたコップを早速使わせていただいて水飲みましたけど。


さて、ようやく準備が完了し、マッサージ受付カウンターへ申し出ると、すぐにマッサージルームへ案内してくれた。

マッサージルームは大部屋だった。
6台のベッドが並んでいる。
隣の部屋にはお客さんがいるようだが、この部屋は私が初めて。
各ベッドの上には、バラの花びらを入れたカゴが置いてあったりして、なかなか雰囲気が良い。
アロマオイルの香りも心地よい。

しばらく待っているとマッサージ師のおばちゃんがやってきた。
なかなか力強いマッサージで気持ち良い。

私が頼んだのはドライマッサージとオイルマッサージのコンビネーションのはずだったが、最初にタオルの上からちょっと背中を押したりしただけで、そのあとはほぼ全部オイル使用だった。

凝っている肩がゴリゴリと音を立てる。
このおばちゃん、なかなかいい仕事をしてくれる。
ふくらはぎなんかも、マッサージされるとものすごく痛い。

しばらくすると他のお客さんも部屋に入ってきた気配がした。
たぶん連れのSさんと西洋人客数名。

最後にいつものようにタイマッサージ的に体をひねって骨をボキッと鳴らされ、前屈して終了。
大変気持ちようございました。
ありがとうございました。
マッサージ時間は30~45分ぐらいで、やや短めだったけど、十分に気持ちよかった。

料金に込みかと思っていたら、チップ用の封筒を渡されたので、やっぱチップは必要なんですね。


Sさんがまだマッサージ中なので、サウナエリアで休憩することに。
脱衣所にドリンクメニューがあり、「Ginseng Tea 40 pesos」と書いてあったので、とことん健康になろうと思い、カウンターで注文したら、「無い」と言われてしまった。
出たよ、メニューに載ってるのにないパターンが。
しかも、お兄さんは「Ginseng Teaって何のこと?」ぐらいの反応だった。
代わりに「冷たい緑茶ならあるよ。」って、いらんわっ!

仕方がないのでそのままふてくされて洞窟で横たわる。
が、夕方になり人が増えていて、周りはたいそうやかましい。
走り回るお子ちゃま、大音量のテレビ、大声で話すロシア人…。

しばらくゴロゴロしていたが、やかましいので脱衣所エリアに戻ると、マッサージを終えたSさんが出てきた。
マッサージは最初、「予約はいらないのでいつでも好きな時にどうぞ」と言われていたのに、Sさんが行ったときは「30分待ち」と言われたそうだ。
やっぱり西洋人がわさわさマッサージを受けに行ったからに違いない。

30分経ってもう一度行くと、「マッサージ師の休憩が必要だからあと15分待って。」と言われたけど、「待てない!友達が待ってるからすぐやって!」と言って無理やりすぐにやってもらったらしい。
お、鬼のような客だ…。


着替えを済ませ、サウナの建物内ではなく、すぐ向かいにあるARAという韓国料理レストランへ。
ナムルがいっぱい出てくるのが嬉しい。
普段の野菜不足をここで補える。

サムゲタンとスンドゥブチゲを注文し、今日は健康な1日だったな~と満足。
フィリピンでもキムチがきちんと辛いのも嬉しい。
久しぶりに辛い物を食べたような気がする。
ここは本当にリトルコリアだ。
従業員はフィリピン人だが、お客さんはほぼ全員が韓国人と見受けられる。


ああ、マニラにこんなにも素敵な場所があったなんて。
毎週末通いたいもんだ。
これがあればマニラで3年ぐらいがんばれそうだ。
と、帰国間際の私は思う。

もっと早く出会いたかったよ。