『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  40

2009-09-11 07:32:30 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『判りました。先ず、襲撃のなかったことについてですが、私たちは、このように思うのですが。』 トリタスは、顔を浜頭たちのほうに向けた。
 『あの~、浜頭の皆さん、私の話に、そうではないと言うことがあったら、訂正、注釈をお願いします。』
 トリタスは、アエネアスの方に向いて話し出した。
 『これについては、三つぐらいの原因が考えられます。先ず、第一に昨夕の浜における上陸決戦で、領主側の失った手勢が多かったことです。あの戦いで失った手勢は、領主が動員できる手勢の半分以上でないかと思われることです。次には、他の豪族たちが領主の要請に応じなかったのではないかと考えられます。第三には、ギリシア側によしみを通じているのは、領主ポリメストルだけで、他の豪族たちは、ギリシア嫌いで、ポリメストルには好感を持っていません。トラキアの豪族たちは、トラキア独自の国家建設をもくろんでいるはずです。また、ポリメストル以外の豪族、領主たちは、トロイに対して、特別悪い感情を抱いていないのではないかと考えられます。察していただければ幸いです。如何でしょうか、昨夕も私が、浜頭、浜衆たちと打ち合わせたところ、夜襲はなかろうと言うことになり、宴を催したのです。そして、もうひとつ、ポリュドロス様のことですが、浜の墓地に埋めてあります。おちつかれましたら弔ってあげて下さい。』 トリタスは言葉を続けた。
 『浜頭の皆さん、これでよろしかったでしょうか。』
 『うん。まあ~、そんなところでないかと、私らも思っている。』
 『それから、サレト浜頭、豪族たちの割拠、砦については、お主が詳しい。話して差し上げてほしい。』