『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第2章  トラキアへ  234

2010-06-16 06:34:01 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 太陽が南中するときが迫ってきていた。
 イリオネス、アレテス、パリヌルスの許に作業完了の報告があがってくる。西門前の広場に皆が集まり始めた。
 トリタスが浜衆たち、集落の者たちを引き連れて、砦の浜へ舟で乗り付けてきた。サレト浜頭たちも同道している。オキテスとカピュースらが出迎えた。舟からは今日の宴の肴にと膨大な量の魚介、果物、野菜類がおろされた。今日の宴の会場は浜に設営されることになっている。オキテスが彼らを広場へと案内してきた。アエネアスが歓待の言葉をかけた。
 『おうっ!トリタス、よく来てくれた。ありがとう』 と言って、トリタスの肩をひしっ!と抱きしめた。そのあと、彼は、トリタスに対して姿勢を改めて向き合った。
 『トリタス殿、このたびは、砦の建設に際して、ひとかたならぬお世話になった。厚く厚く礼を申します。ありがとう。貴方なればこそ、していただけたお世話でした。誠にありがとう。砦の出来具合を見ていただきたい。私が案内いたします』
 アエネアスとオキテスは、トリタス、サレト両浜頭と浜衆たちの案内に歩を運んだ。