『お~い、オキテス、俺の声が聞こえるか』
オキテスは、パリヌルスの一番船が接近してくるのに気づいていた。
『お~っ、聞こえる聞こえる。どうした、何用だ?』
『先導役の交替だ。頼む。クリテスに聞いて先導してくれ。この真っ暗闇だ、見当がつかん』
『判った。了解した』
オキテスは、アミクスに誘導の松明信号を掲げさせて船団の先頭に出た。
『おい、クリテス、今、我々がいる地点が判るか』
『え~え、判ります。暗闇と言えども大丈夫です。私の指示するように船を進めてください』
『この地点、進行はこれでいいのか』
『いいです。このまま真っ直ぐに進んでください。進行方向に座礁の危険はありません。水深も充分です』
『よしっ!判った』
パリヌルスの一番船は最後尾についた。
『オキテス隊長、いいですか。今日は、とりあえずキドニアの北部地区の浜につけます。明日、このクレタ島のことについて説明いたします。そのうえで、どの地点に上陸するかを決めてください。この湾はとてつもなく広い湾なのです。西の地にある北に突き出している半島まで150スタジオン(30キロ余り)もある広い湾です』
『そうか、この暗さでは見えないが、そんなにでっかい湾なのか。入り江なんていうちゃちなものではなさそうだな、判った』
彼らは暗い海を上陸地点へと向かって漕走した。
オキテスは、パリヌルスの一番船が接近してくるのに気づいていた。
『お~っ、聞こえる聞こえる。どうした、何用だ?』
『先導役の交替だ。頼む。クリテスに聞いて先導してくれ。この真っ暗闇だ、見当がつかん』
『判った。了解した』
オキテスは、アミクスに誘導の松明信号を掲げさせて船団の先頭に出た。
『おい、クリテス、今、我々がいる地点が判るか』
『え~え、判ります。暗闇と言えども大丈夫です。私の指示するように船を進めてください』
『この地点、進行はこれでいいのか』
『いいです。このまま真っ直ぐに進んでください。進行方向に座礁の危険はありません。水深も充分です』
『よしっ!判った』
パリヌルスの一番船は最後尾についた。
『オキテス隊長、いいですか。今日は、とりあえずキドニアの北部地区の浜につけます。明日、このクレタ島のことについて説明いたします。そのうえで、どの地点に上陸するかを決めてください。この湾はとてつもなく広い湾なのです。西の地にある北に突き出している半島まで150スタジオン(30キロ余り)もある広い湾です』
『そうか、この暗さでは見えないが、そんなにでっかい湾なのか。入り江なんていうちゃちなものではなさそうだな、判った』
彼らは暗い海を上陸地点へと向かって漕走した。