『トロイからの落人』 FUGITIVES FROM TROY 第7章 築砦 １６

　『何だって、テカリオン。あの中に知り合いの浜頭がいる？そうかそうか、今日、彼らとこの地につくる砦の場所について相談をする事になっている。軍団長と打ち合わせて、お前を会議に同席させるようにしようか。どうだ』
　『それはいいな、そのように事を運んでくれ。何かとお前らのためになるように力を尽くす』
　『そうか、それでいい。どうせ、昼めしは彼らと同席だ』
　『判った』
　パリヌルスは、オキテスとともにイリオネスと相談した。
　『じつは、こういうわけです。今日、スダヌス浜頭に同道してきた浜頭のうちの一人をテカリオンが知っているそうです。今日の打合せ会議にテカリオンを加えて、いいかどうかの相談だが』
　『ほう、そうか。パリヌルス、お前の考えは？また、オキテス、お前は、どのように考える』
　オキテスが口を開いた。
　『俺お考えは、テカリオンを出席させても害はないと考える。パリヌルスはどうだ？』
　『俺の考えか。オキテスの考えに同じだ』
　イリオネスは結論を言った。
　『昼めしは、彼らも彼も同席だ。会議の出席はかまわん。ただし、これだけは彼に伝えておいてくれ』
　イリオネスは、二人と目を合わせた。彼の目線は鋭さを増していた。