『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1262

2018-04-10 08:32:30 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 パリヌルスが沖合に舟艇の姿を見てほどなく浜に舟艇が着く、オロンテスらが艇を下りてくる。
 『おう、オロンテス、ごくろう。今日は帰りが遅かったな』
 『パリヌルス、気にかけていてくれたのか。今日は、いろいろと集散所での仕事がてこずってな、帰りが遅くなった。待っててくれたのか。ありがとう、感謝感謝だ!』
 『俺も少し前に仕事のきりがついたところだ』
 オロンテスが同行の一同に声をかける。
 『おう、一同!今日は仕事の都合で遅くなった。無事に帰り着いた、ごくろうであった。身体を休めてくれ。明日はヘルメス艇でキドニアに向かう。漕ぎかたを担当してくれた一同は休日とする。以上だ』
 オロンテスの帰りに気づいたギアスが姿を見せる。
 『オロンテス隊長、ごくろうです!明日のキドニア行きはヘルメス艇ですね』
 『おう、そうだ!オキテス隊長も明日はキドニア行きだ。明朝は、いつもの浜で出船の荷積みをする。いいな』
 『了解です。待機いたします』
 『おうっ!』
 彼らの打ち合わせが終わる。パリヌルスがオロンテスに声をかける。
 『オロンテス、軍団長は宿舎の方だ。行こう、オロンテス』
 『おうっ!』
 二人はイリオネスの宿舎に向かって歩き始める。宵が二人を包み始めている。
 
 クレタ島の8月は天候が落ち着いている。今日も抜けるような青空である。射しかけてくる強い陽光、走行に程よい西からの風、ヘルメスは波を割ってキドニアを目指す。
 艇上の二人、オキテスとオロンテスが話し合っている。
 『おう、オロンテス、会議の日を明日に繰りあげた。船の売り出し計画、見込む結果を予測して建造する造船数を決めて建造用材の手配をしなければならない!そのようなわけで会議の日程を早めて、明日、朝から午前中、会議をやることに決めた。オロンテス、スケジュールをそれに合わせてほしい』
 『明日、会議をやるということだな。解った』
 『会議が終わったら、午後完成した戦闘艇2艇のテスト構想を行う。明日はそのように段取りしている。よろしく頼む』
 『解った!』
 『オロンテス、話をする、聞いてくれ』
 二人が目線を合わせる。
 『今な、仕事が好循環で展開している。喜ばしいことだと感じている。昨日のことだが、戦闘艇2艇の出来あがり具合をチエックした。その結果だが、チエック項目の多さに比べて、認めた不具合が少なかった』
 『いいじゃないか、それはいいことだ』
 『俺ら、船舶の建造に携わっている者らの建造の技術、能力が向上した結果と考えている。重畳と言ったところだ、喜んでくれ』
 『そうか、それはよかった。喜ばしいことではないか』
 『そう、感心してくれるか、ありがとう!建造を担当している俺として、その結果を喜んでいる』
 話し合っている間にヘルメスは、キドニアの船だまりに着く、パン売り場の今日がスタートした。