『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

第11章  権謀術数  18

2008-04-05 08:20:19 | トロイ城市は炎上消滅の運命であった。
 進発の一歩遅れたメムノン軍、メムノンは、鬨の声をあげる自軍を励ますためにも突き進んでくる戦車とその一隊を待ちの態勢で陣構えをした。
 メムノンは、この一隊と対峙した。戦車から降り立つアンチロコス、その正面に立ちはだかるメムノンは、狩猟者の惨忍な目つきで睨むと、身を引くと見せかけて、鋭い槍突きを繰り出した。身をねじって、これを避けたアンチロコスも槍の応戦である。彼の槍の穂先はメムノンの鎧に傷をつけて、体は前のめりに泳いだ。メムノンは体のくずれを見逃さなかった。メムノンの槍は、アンチロコスの鎧の右胸部分を突きやぶり、胸を深々と刺し貫いていた。アンチロコスの左手は、突き刺さった槍を握って、天を仰いでこときれた。
 父である老将ネストルは、この情景を荒れ狂う戦場の中に見た。駆け寄ったネストルは、鎧を剥ぎ取られた息子の屍体を身を挺して守ろうとしている。アキレスは駆け出した。ネストルが危ない!ネストルがやられたら、連合軍のヘソがなくなる。アキレスは、訪れようとしているネストルの危機を遮った。
 アキレスの目線の先にメムノンがいる、アキレスは、間をおかずに対峙した。巻き上がる砂塵の中に闘気がみなぎった。


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