『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  1021

2017-05-01 06:47:17 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『水夫長殿、私は艇長役を務めているギアスと言います。これより、新艇をクレタのの海に出し、操船に関する説明をいたします。一同、乗艇ください』
 『分かりました。ギアス殿、漕ぎ座の数はどれだけですか?』
 『はい、漕ぎ座の数は、20座です』
 『乗船の定員はいかほどですかな?』
 『35人です』
 『解りました』
 彼らは、テムノス以下水夫長を含めて25人が新艇に乗り組んだ。
 ギアスは、ゴッカスに声をかける、操舵担当を含めて、3人が乗り操船の説明にあたる。
 テムノスとオキテスはすでに艇上にあり、話し合っている。
 関係者全員が新艇に乗り組む、水夫らは漕ぎ座に就く、ギアスが水夫長に声をかける。
 『とりあえず、櫂操作で沖に出ます。目指す方向はこの方角です』
 ギアスは手でもって北東の方角を指し示した。
 『解りました。出船指示は私でよろしいですね』
 『もちろんです。よろしく願います』
 『おう!一同!聞いてくれ!これから、この船の操船に関する説明の航走をする。櫂操作によって沖に出る。いいな』
 『おうっ!』
 気合が入る。
 『一同!櫂をとれっ!漕ぎかたはじめ!操舵手、進行方向は北東へだ!』
 『了解!』と操舵手より返事が返る。
 櫂が海面を泡立てる、艇が波を割り始める、折から吹きつける風にあらがって北東へと進む、漕ぎ座の水夫らは船速が目標速度になるまでの櫂操作の水の抵抗感がこれまで使用していた櫂に比較して少々の違いを感じているらしいことがギアスに見て取れた。
 船が浜を離れて四半刻(30分)25スタジオン余り(約5キロ)ギアスが予定した地点に到達する、彼が風を読む、浜に向かっていい風が来ている。
 『水夫長、方向を転じて、帆張りして浜に向かいます。私に同行している二人が帆張り作業ををやります、続けて、帆を下ろす作業もやります。見ていてください。それを終えて水夫の誰かに帆張り作業をやってもらいます。いいですね』
 『解りました』
 『頃合いはよろしいです。方向を転じてください。反対方向に船首を転じてください』
 水夫長が操舵手に指示を発する。
 『進行方向転換!船首、反転、船首南西方向!帆張りせよ!全帆!』
 『了解!』
 乗り組んでいるギアスの部下二人が帆張り作業にとりかかる、作業を見つめる水夫ら、帆張り作業を手際よくこなしていく、その作業ぶりに目を凝らす、そして、うなずく、彼らは納得したようである。
 ギアスが水夫長に帆おろしの指示を出すようにとうながした。


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