『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  976

2017-02-27 08:34:29 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 オロンテスは、その足で集散所の詰め所へと向かう。
 『お~、ハニタス殿、おいででしたか。午前中はいろいろとありがとうございました。ちょっと、頼みごとがあってきました』
 『何でしょう?』
 『テムパキオへの地図のことです。テムパキオへは、クレタ島の西回りの航路で行くわけですが、その航路の地図がほしいというわけです。木板に書いていただければ幸いなのですが、お願いします。またレテムノンの港の図面が必要です。レテムノンへの航路についてはよく知っています。以上、2面の図面を必要とします。よろしく願います』
 『そうですな、言われる通り必要ですな。解りました。図面の事、夕刻までに売り場のほうへトミタスに届けさせます』
 『よろしく願います』
 オロンテスは売り場に戻り、図面の到着を待った。
 夕刻となり、トミタスが地図を描いた木板をもってパン売り場に姿を見せる。
 『あ~、オロンテス殿、依頼のありました地図を持ってきました』と言って、2枚の木板をオロンテスに手渡す。
 『おう、トミタス殿、世話をかけましたな。こちらがテムパキオへの地図で、こちらがレテムノンの港の図面ですな。確かに受け取りました。ありがとう、礼を言います』
 『では、よろしく願います』
 トミタスが売り場をあとにして去っていく、オキテスはその場をはずしていた。
 『おう、オキテス、地図が届いた。見てみるか』
 オキテスがとどいた2枚の木板に目をおとす。
 『おう、よく描かれておるではないか。一目瞭然、見てわかる。その木板をもって一緒に行こう』
 『どこへだ?』
 『スダヌスのところへだ』
 『おう、了解!』
 二人は、2枚の木板を携えてスダヌスの売り場へと歩を向ける。彼は売り場に立って、客対応の真っ最中である。
 『おう、ご両人!何か用か?』
 『ちょっと、見てもらいたい!』
 『おう、解った!』
 彼の言葉づかいは、売り場の客対応の言葉である。
 オロンテスが図の描かれた木板を手渡す、図に見入るスダヌスが口を開く。
 『おう、なかなか、よう描かれている。こちらのテムパキオへの地図は、ハニタスの描いたものだな。あいつ、このようなことはとても几帳面なのだ。うんうん、停泊地についても記している。まず、第一日目は、陽の出前に出航して、一路停泊地を目指すことだな、あとは順調航海で行けば夕刻前にテムパキオに到着する。オキテスとギアスであれば航海がうまくいく筈だ。洋上においての外敵との遭遇には注意せよだ。これは言っておく』
 『スダヌス浜頭、ありがとう。詳しいことはもう一度聞きにくる』
 二人は、売り場をあとにした。


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