『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGITIVES FROM TROY   第7章  築砦  847

2016-08-16 04:52:20 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 『ほ~う、それはどこからの情報だ?』
 『話の出どころは、統領と来訪者との話らしい。それで統領が言われるのは、ここでもし何かがあれば、それは一大事ということになる。ということで夜の警備を万全のものにしたらどうだということだ』
 『それは言われる通りだ。万全のものにすることに異論はない。敵の攻めてきかたによるが、今の状態では心もとないことは確かだ』
 『それで、それをやると同時に情報の収集もせよということだ。情報収集については、オロンテス、ギアスと打ち合わせる。とりあえず建造の場の警備の増強について手を打とう。その打ち合わせだ。よろしく頼む』
 オキテスは、話のほこ先をドックスに振った。
 『ドックス、聞くが、夜のかがり火は何か所くらいにしている?』
 『かがり火は、1艇当たり建造の場に4か所です』
 『建造の場にかがり火を4か所か、そして、周りは真っ暗というわけだな、ドックス』
 『はい、そいう状態です』
 『パリヌルス、それに加えて、夜の張り番、警備担当者は現在12名でやっている。統領の見解では、『それは手薄だな』というわけだ。お前はどれくらいが適当と考える?』
 『そうだな、そうだなではない。ちょっと状況を想像してみよう。敵が来るとすれば、何を目的に、どのように攻めてくるかと考える。それができたら、どのような警備体制がふさわしいか考えられる。それがこの場合の思考の原点だ』
 『パリヌルス、考えてくれ』
 『判った。任せろ!』
 パリヌルスは、身の回りに目を走らせた。彼は木板に使える板を探して手にとった。パリヌルスは、近頃になって、文字を書いて考える癖を身につけていた。
 『おう、オキテス、話をするぞ、いいか』
 『ちょっと待ってくれ、今、ドックスと話の真っ最中だ』
 『ドックス、建造の場の明かりについて考えよう。場の周囲を明るくするか、新艇の周りを明るくするかについて結論を出す。これには、敵が来たらどう戦うかが問題なのだ。ここにいて話を聞いてお前も考えろ!完成をまじかにした新艇に変事があっては困る。そのために手を打つのだ』
 『判りました』
 オキテスはドックスとの話を終えてパリヌルスと話し始めた。
 『おう、パリヌルス、待たせた。話を始めよう』
 『おう、話し合う項目を書いてみた。順不同だが話しあっている間にうまくまとまる』
 二人はうなずき合った。


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