『アエネイスミッション』[Aeneas Mission ]

建国の使命を抱くアエネイスのフアストミッションは自軍団自民族引き連れて炎上壊滅するトロイからの脱出である。

『トロイからの落人』  FUGOTOVES FROM TROY   第7章  築砦  846

2016-08-15 08:41:38 | 使命は建国。見える未来、消える恐怖。
 クリテスは、そのように答えて来訪者が群れている新艇の建造の場へと移った。
 アヱネアスとオキテスが話し込む。
 『話している言葉を耳にしたことがあるがうまく聞き取れない、話していることが解らない、そういうことなら交流はあきらめだ。オキテス、聞くが、建造の場は、夜の張り番は何人くらいでやっている?』
 『はい、12名です』
 『それは多いとは言えないな。俺の考えだが、今夜から夜の張り番を倍の30名くらいに増やしてはどうかな。建造の場への来訪者にクレタ人でない者が訪れている。『海の民』言われる者どもが、このクレタに姿を見せていると耳にしている。真偽のほどは確かではない。オロンテス、ギアスに指示して、情報の収集をしてほしい。ところで新艇の出来上がり具合は、どこまできている?』
 『そうですね、八分通り仕上がっています。もうそろそろ、コールの塗装にかかろうかと思案しているところです。帆は全艇分加工を終えました。第1号艇納入の最終打ち合わせをしたいと考えています』
 『ほう、そうか。お前ら、ようやった!ここで新艇に何かあったでは話にならん。警備に力を注ごう、いいな。パリヌルスにも話して、手配を頼む。用心するにこしたことはない』
 『判りました。今夜から、直ちに実施します。統領の言われるように、万全を期します』
 言い終えてオキテスは、立ちあがり、ドックスを手招きで読んだ。
 浜の巡回を終えたパリヌルスが姿を見せる。オキテスがすかさずパリヌルスに声をかけた。
 『おう、パリヌルス隊長、統領から夜の建造場の警備について指示があった。ドックスも呼んだ、もう来る。3人で打ち合わせをしたい。緊急の用件だ、よろしく頼む』
 『おう、了解!どこでやる?』
 『ここでやろう!』
 ドックスが来る。
 『おう、ドックス、ご苦労。夜間の警備のことで打ち合わせをやる。打ち合わせを終えたら、即、手配をしたい!いいな』
 パリヌルスが口を開く。
 『オキテス、始めてくれ』
 『おう、近頃、この浜への来訪者が増えている。来訪者の中には、この土地の住人、クレタ島の住人ではないと思われる者が増えてきている。それはそれで結構なことだが、結構だといって喜んでいられないところもある。パリヌルスも耳にしていると思うが、『海の民』なるやからが、クレタのあちこちで騒動を起こしているそうだ』
 オキテスは、ここで話をきり、目を合わせ、互いの気持ちを確かめた。


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