終わったようである。その時、楼門をぬけて、こちらに向かって走ってくる影がある。三つである。二人は身体を、そちらに向けて身構えた。近づいてくる、殺気は感じない。星明りに見える顔には、見覚えがあった。会談の席に同席していた初老の男、アンテノールである。二人の小者を連れていた。
オデッセウスとメネラオスは、四つの屍体をはさんで、剣の抜き身を右手にしたまま、アンテノールと向かい合っている。アンテノールは、屍体を見て情況を悟ったようである。まだ、五人は無言である。アンテノールは、二人の小者に二言三言、何かを告げた。アンテノールは、オデッセウスとメネラオスに、手短に用件を伝えた。
『あなた方二人を、船まで送ります。変事がなければいいが、何事か異常があれば、二人の小者の指示に従ってください。』
そして、出来るだけ急ぐようにと重ねて念をおした。夏の夜明けは早い、急ぐにこしたことはない。
オデッセウスとメネラオスは、四つの屍体をはさんで、剣の抜き身を右手にしたまま、アンテノールと向かい合っている。アンテノールは、屍体を見て情況を悟ったようである。まだ、五人は無言である。アンテノールは、二人の小者に二言三言、何かを告げた。アンテノールは、オデッセウスとメネラオスに、手短に用件を伝えた。
『あなた方二人を、船まで送ります。変事がなければいいが、何事か異常があれば、二人の小者の指示に従ってください。』
そして、出来るだけ急ぐようにと重ねて念をおした。夏の夜明けは早い、急ぐにこしたことはない。
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